健康・病気

馬の体重の減量〈前編〉

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、「馬の体重」「馬の体重を増やすために」に続いて、今回は減量についてです。

〈参考記事はこちらから〉
馬の体重(前編)https://goron.co/archives/14022
馬の体重(後編)https://goron.co/archives/14026
馬の体重を増やすために〈 前編 〉https://goron.co/archives/14071
馬の体重を増やすために〈 後編 〉https://goron.co/archives/14077

食事や運動の管理

痩せすぎが健康上良くないのと同じ様に、太り過ぎも様々リスクを引き起こします。
増量の考え方と同じで、消費カロリーが摂取カロリーを上回れば馬は減量します。
逆に、摂取カロリーが上まっている状態を長く続けると、馬が太りすぎ、さらには肥満になる可能性があります。
太りすぎの馬はさらなる健康リスクを抱える傾向にあります。
長く健康的な生活を促進するために食事や運動の管理を考える事が必要です。

《 馬の消化機能に合わせた食事を目指す 》

馬の消化器系は、1 日を通して少量の食物を消化し続けていくようにつくられています。
しかし、乗馬クラブ等で飼育されている馬は、少ないと1日2回(朝夕)の飼付(食事)の場合もあり、必然的に1回の餌の量も増えてしまいます。
もっと少量の餌を、回数を増やして与えることができれば、馬の内臓に負担なく、馬にとって自然な状態になります。

《 摂取カロリーと消費カロリーのバランスを取る 》

通常、馬の食事の一環として乾草と穀物が与えられます。
一般に、乾草はイネ科のチモシーとマメ科のアルファルファ(ルーサン)などの2種類に分類されます。
チモシーは、アルファルファよりもカロリーが低く、栄養価が低く、タンパク質の含有量が少ないです。
通常、穀物は乾草から十分なエネルギーや栄養素を供給できない場合にのみ追加する必要があります。

馬それぞれに代謝が異なります。
「イージーキーパー」もいれば「ハードキーパー」もいます。
ハードキーパーには高カロリーの飼料が必要ですが、太りすぎの馬にとっては健康リスクの原因となります。

※イージーキーパーとは:体重を維持しやすい馬
※ハードキーパーとは:すぐに体重が減ってしまう馬

摂取カロリーと消費カロリーのバランスを取るためには運動量の調整が大事な要素です。

馬は、野生下で十分な食料を見つけるために広い範囲を探し回るので、かなり動き回ります。
運動は身体的な健康と精神的な健康にとって重要です。
しかし、通常厩舎で飼育されている馬の場合は、運動量は人間次第です。
どんな馬でも最低限の運動は健康維持のために必要です。

馬が過体重または肥満の場合は、通常の 1 日にどのくらいの運動量をしているか評価し、健康状態を改善するために徐々に運動量を増やすことを検討します。

また、馬が怪我をしたり病気になったりすると、通常の日常的な運動量が減少する可能性があります。
特に、休息が必要な怪我の場合、給餌量を計算する際にこの運動量の変化を考慮する必要があります。

たとえば、毎日レッスンやトレーニングで運動されている馬が、腱を切って6週間の休養となった場合、毎日の給餌量を評価し、仕事量の軽減に合わせて減らし、体重増加を防ぐ必要があります。
そして、穀物は減らし、頻繁に乾草を与え続けるのが最善です。


後編は、馬の肥満のリスクとより詳しい減量の方法をご紹介します。

馬の体重の減量〈後編〉

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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