二十四節気において春の始まりとされる日、節分の翌日『立春』
2022年の立春は2月4日ですが、まだまだ冬の寒さが続いていますね。
今季は体調を崩したお友だちの犬や猫たちが多かったように感じます。
今回は、私たちの身体の中で休みなく動き続けている『心臓』にいてのお話です。
なかでも小型犬に多く発症する『僧帽弁筋閉鎖不全症』について、学んでいきましょう。
「僧帽弁閉鎖不全症」を起こしやすい犬種
・チワワ
・ポメラニアン
・プードル
・ミニチュアダックスフント
・マルチーズ
・キャバリア
・ヨークシャーテリア など
「僧帽弁閉鎖不全症」とはどんな病気?
正常な肺は、左図の矢印の順番のように一定方向に血液が流れています。
僧帽弁は、左心房と左心室の間にある弁のことで、心臓が収縮される際に心房と心室を閉鎖し左心室への血液の逆流を防ぐ役割があります。
『僧帽弁閉鎖不全症』は、この弁が加齢とともに厚くなり、完全に閉鎖できず、血液の一部が左心房に逆流してしまう病気です。
この状態が長く続くと、左心房への負担が大きくなり、心臓のポンプ機能が低下して心不全を起こすこともある重大な疾患なのです。
「僧帽弁閉鎖不全症」の症状
初期では、全く症状がなく聴診で心雑音が発見されるのみです。
この心雑音は、血液が逆流する音のことをいいます。
病気が進行すると咳をしたり、散歩を嫌がったりします。
また、さらに悪化すると「肺水腫(肺に水が溜まる状態)」になってしまいます。
肺水腫になると、早急に治療をしないと呼吸困難を起こし、死に至ることもあります。
「僧帽弁閉鎖不全症」の予後と対策
残念ながら、一度悪くなってしまった心臓を元に治すことはできません。
しかし、進行を遅くするための治療として内科療法(内服薬)を選択することができます。
あくまでも進行を遅くするための治療であり、内服をしても悪化はしてしまいます。
その子によって、悪化するスピードに差があります。
そのため、定期検診をしっかり受けて、何かいつもと違うと感じることがあればなるべく早く動物病院で受診することをおすすめします。
また、心雑音を指摘された場合も早めにエコー検査を受けたほうがよいでしょう。
心雑音だけでは、どの程度まで病気が悪化しているかは分かりません。
そのため、確定診断として心エコー検査を受けて、それぞれにあった治療方法をしていくことが大切です。