何もしていないときにほめる
家や散歩での、飛びつきや引張りの
失敗経験から学んだこと
桜沢ルミ さん
失敗経験から学んだこと
桜沢ルミ さん
散歩は人のことなどお構いなしで、ぐいぐいリードを引っ張る。
テーブルの上はおいしいものの宝庫だから、とりあえず飛びつく。
ダメ!と言えばやめるものの、またすぐに繰り返す・・・
この困った犬は、まさに我が家に来たころの愛犬です。
今回は、そんな犬の悪癖を楽しみに変える、ちょっとしたコツをお伝えします。
引っ張り・飛びつき(盗み食い)・吠えは、いつも犬の代表的な問題行動です。
しつけの本でも多く取り上げられるテーマでもありますが、スパッと解決できる飼い主さんは、どれだけいるでしょう?
私もしつけ本を見て、リ-ダ-ウォ-ク(*1)や飛びつきに対する無視、リ-ドを短く踏んで飛びつけなくする方法などを実践し、一度はうまくいったものの、いつのまにか引っ張る、どうしても飛びつく、果ては人が見ていないときを狙うようになる・・・という、さらに困った状態になってしまいました。
引っ張ったらショックを与える、飛びついたら物を落としてびっくりさせるといった、問題行動についてマイナスイメージをもたせてその行動を押さえ込むという手法もあります。
しかし、その刺激を犬が学習し、飼い主が動き出した途端にまた引っ張る、音に慣れてしまう、または必要以上に音に敏感になり別の問題が出てくるといった側面も持ち合わせています。
犬は、物事を天秤にかけます。
どういう行動をしたら嫌なことを避けられ、自分にいいことがあるかを学びます。
マイナスイメージでのトレーニングは、即効性があるかもしれませんが、持続性や本当の意味での理解は期待できません。
それに対し、プラスイメージ、『こうしたらほめてもらえる』ということを覚えてもらい、その行動をすると得があると犬に思ってもらえた方が、人も犬も楽しく健全にトレーニングが続けられます。
『 犬が何もしていないときに、いきなりほめましょう 』
何もしていないからほめようがない、と思われるかもしれません。
でも、何もしていないということは、少なくとも問題行動は起こしていないということです。
テーブルや人の周りでおとなしくしている、ただ見上げている・ぴったり隣についていなくとも、リードが緩んでいる瞬間。
だまされたと思って、そこを捉えて大げさにほめてみてください。
当然、犬は、びっくりします。そして、自分が何をしていてほめられたか考えてみるはずです。
「これかな?」と思う行動をしてみるかもしれないし、わけが分からずうろうろするかもしれません。そして、そこで問題行動をしていないなら、もう一度しっかりと『何もしないこと』をほめてみてください。
繰り返すうちに、自然と問題行動は減ってくるはずです。
そうとはいえ、我が家のように一度引っ張りやテーブルの上のものをくすねて、いい思いをしてしまった犬は、簡単には修正できないのも事実です。
そうなったらゲームだと思って、犬に飛びつかせる前・引っ張られる前に、どれだけ犬をほめることができ、どれだけ犬の問題行動をさせないかを楽しんでみてください。
犬が問題行動してしまったら、無言でやめさせ、また何もしていないタイミングを捉えてほめる・・・
毎日の散歩や家での時間が、愛犬との知恵くらべゲームに変っていきます。
ランダムにほめることで、いつほめ言葉やオヤツが飛んでくるかと期待する犬は、いつしか飼い主にほめられる行動を探していく犬になるでしょう。
手の届くところの食べ物を獲ったり、興味のあるものを確認しにいくのは、犬の本能から言えば当たり前のことです。
人間社会に適応するよう、本能を抑えてもらっているに過ぎません。
飼い主が一番陥りやすく、最もしてはいけないのが
『犬が悪さしないのは当たり前と考え、悪さしたときにダメ!と声をかける』ことなのです。
犬が何もしていないことを当たり前だと思わず、そのときこそ最大にほめるポイントだと思って接していきましょう。
きっとその先には、愛犬とのもっともっと楽しい生活が待っているはずです。
*1 リーダーウォーク
犬が人の前に出て歩かないよう、リードがピンと張った状態になったら人が立ち止まり、犬も止まってリードが緩んだ状態になったら向きを変え、反対方向へ歩く方法
Copyright © GORON by ペット共生アドバンスネット All rights reserved.