犬と暮らす飼い主のみなさんは、毎年の狂犬病の予防接種は受けていますか?
「狂犬病ワクチン」は、狂犬病予防のために、年1回の接種が義務付けられています。
現在、4~6月に接種するとしている規定を通年に広げるよう厚生労働省が見直しを検討されています。
様々な問題や社会的意識を受け、接種率の向上を目指して行われている状況です。
今回は、改めて狂犬病について学び、予防接種の必要性を考える機会として、狂犬病と予防接種について、知っておきたい知識をお伝えしていきます。
狂犬病とは?
狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症であり、人間を含むすべての哺乳類に感染する可能性があります。
また、狂犬病は発病するとほぼ100%死に至る恐ろしい病気です。
日本国内では徹底した狂犬病対策が行われ、1957年以降、狂犬病の発症はありません。
しかし、狂犬病による死亡者の数は年々減少していますが、まだ世界的に問題となっています。
WHO(世界保健機関)によると、2021年時点で毎年世界中で約5万人が狂犬病によって亡くなっています。
多くの場合、これらの死亡は開発途上国で報告されており、特にアフリカとアジアで狂犬病が依然として深刻な公衆衛生上の問題となっています。
狂犬病は症状が激烈であることに加えて、死亡率も高いことから、非常に恐ろしい病気ではありますが、ワクチンを打てばほぼ確実に予防できる病気でもあります。
日本で狂犬病が撲滅できたのはなぜ?
《 狂犬病を撲滅した主な国の一部とその取り組み 》
・オーストラリア
これは、厳格な動物検疫や予防接種プログラムによって撲滅が達成されました。
・ニュージーランド
オーストラリア同様に、厳格な動物検疫や予防接種プログラムが功を奏し撲滅できました。
・イギリス
1950年代に予防接種プログラムが開始され、狂犬病は急速に減少しました。
これらの国々は、効果的な予防接種プログラムや動物検疫などの対策を実施し、狂犬病の撲滅に成功したのですね。
狂犬病を発生させないためにできることが「予防接種」
「狂犬病」という疾患は、知りえる疾患の中で、おそらく最も悲惨で最も恐ろしい疾患です。
犬や猫、ほかの動物の感染時も同様です。種によって症状の違いこそありますが、どれもとても恐ろしい症状により、ほぼ確実に死に至ってしまいます。
大切な家族に起こる苦痛に満ちた症状をなすすべもなく、対症療法しかできずに見守る人々の悲しみは大きいものだと思います。
幸いにも、狂犬病は予防接種で感染を防ぐことができます。
もし、他国から日本へ狂犬病が進入してきたとしても、ある程度の割合で予防できていれば、大規模感染および、野生動物への定着化を防ぐことができます。
しかし、現在の接種率では、残念ながら完全な防御ができるとはいえない状況です。
かつては狂犬病予防ワクチンの強烈な副作用で敬遠されてきたこともありましたが、現在では改良が加えられ、混合ワクチンに比べても格段に副作用を起こしにくいワクチンとなっています。
犬たちが安心して暮らせるように、公園や川原で安心してほかの犬たちとも触れ合えるような環境を保つために、非業の死を遂げる人間や動物をつくらないように、1頭でも多くの方が愛犬の予防接種をしていくことを願っています。
狂犬病についての予備知識
《 万が一狂犬病に感染してしまったら? 》
万が一感染していたとしても、即座に処置を行えば発症をほぼ確実に遅らせたり、防ぐことはできます。
感染自体を取り除くことはできませんが、進行を止めることはできます。
残念ながら感染してしまうと除去の方法はないのですが、発症しなければ死には至りません。
《 狂犬病予防接種が免除される場合がある 》
体調不良の老犬や病気があるなどの健康上の理由があれば、予防接種が免除されることもあります。
一般的には特定の健康上の理由によって医師または獣医師によって決定されます。以下のような場合には免除されることがあります。
-
健康上の問題
犬が予防接種によって健康上のリスクがある場合、獣医師は免除を検討することがあります。
例えば、アレルギー反応や免疫不全症などがある場合です。 -
年齢
一部の犬種や個体は、特定の年齢までに予防接種を受ける必要がない場合があります。
これは、獣医師の判断に基づいて行われます。 -
妊娠中または授乳中の母犬
妊娠中または授乳中の母犬には、予防接種が推奨されない場合があります。
この場合も獣医師の判断によります。 -
その他の特別な状況
特定の状況下で、狂犬病予防接種の免除が適切と判断されることがあります。
これには、一時的な健康問題や旅行計画などが含まれます。