進由紀

馬と仲良くなろう part3

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。馬と仲良くなろうシリーズ第3弾。
今回はお手入れの中でも裏掘りについてのお話をします。

お手入れは、馬を綺麗にする、清潔にする、怪我などがないか確認して処置する、などなどの意味合いがありますが、馬とのコミュニケーションをとる時間としての意味が1番重要かもしれません。
そのため、そこにフォーカスをしたお話をしたいと思います。

馬を繋ぎ場につなぐ

前回、馬房から馬を出すところまでお話しました。
次は、繋ぎ場(洗い場)に馬を繋いでみましょう。

場所によって、繋ぎ場の大きさが違いますが、基本的には、繋ぎ場に向かって右側によって入り、左りでまわり正面に向いて、ロープに繋ぎます。

慣れていない馬だと、小さくUターンするのが難しく躊躇する場合がありますが、その時は顔を自分の方に引き寄せながら馬の少しお尻を押してあげましょう。

どうしても回れない場合は、腰などに問題がある可能性がありますので、インストラクターを呼びましょう。

裏掘り

お手入れのはじめに、裏掘りをしましょう。
「裏掘り」とは、
蹄に詰まっている敷料や土などを取り除いてあげることです。


蹄の裏に蹄叉という三角形になっている部分に沿って鉄ぴという道具で詰まっているものを掻き出します。
蹄から異臭がしないか、痛がっているところはないか、などを確認します。

蹄に敷料や土が詰まった状態が長く続くと、蹄が弱くなってしまったり、病気の原因となります。
必ず綺麗にしてあげてくださいね。

お手入れの中で苦戦する人が多いのがこの裏掘りです。
なぜなら、裏掘りをするためには、馬の肢を持ち上げないといけないからです。
慣れるまでは上手に持ち上げられないものです。

基本的にきちんと人が接してあげる事のできている馬は、スムーズに肢を上げます。
その施設によってどの順番で行われているかにもよりますが、まずは馬の左の肩のあたりに後ろを向いて立ち、馬の左前肢を上げます。

《基本的な順番》
左前肢→左後肢、右に回って、右前肢→右後肢、または
左側にずっといて、左前肢→右前肢→左後肢→右後肢
などです。

コツは、自分の肩で少し馬の肩を押して「肢を上げて」と声をかけます。
上げてくれたら蹄を包むようにしっかりと手のひらで蹄を支えます。

この時に肢を高く持ち上げすぎていたり、力んで馬の動きを制御しようとしすぎると、馬はとっても不快なので肢を下ろそうとします。
ここで馬の身になって心を合わせるのが何よりのコツです!

安心して肢を預けようと思ってもらえるように支える事が大切です。
左前がうまくいけば、あとは馬が覚えていますので、少しポンと触ってあげれば、大抵の場合順番に肢を上げてくれます。

下ろす時も急に手を離して落としたりせず、馬もゆっくりと下げられるように手を離してくださいね。

せっかく馬がお利口に肢を上げても、持ち方が雑だったり、おろし方が雑だったり、あまりに長い時間持ち上げられていたりすると、馬も嫌になってしまいます。

馬が肢を上げてくれない時は、何か原因がないか、振り返ってみましょう。

いつもは上げてくれるのに、どうしても上げてくれないなどがあった時は、どこかしらに痛みを抱えている可能性が高いです。
その時は、インストラクターにお知らせしてください。

あとは、馬が肢をおろした時に自分の足を踏まれないような位置に自分がいること、後肢をあげようとして馬が嫌がって肢を振り上げたりする事がありますので頭などに当たらないように注意しましょう。

 

馬と仲良くなろう part2

馬と仲良くなろう part4

進 由紀

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投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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