進由紀

馬と仲良くなろう part2

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。馬と仲良くなる第2弾です。
馬を馬房から出す時の方法や気をつける事をお話します。

「無口」と「引き手」を準備する

馬を馬房に迎えに行く時には、無口(ホルター)と引き手(リード)を準備しましょう。
馬を引いたり、繋いでおくために使う馬具です。
大抵の場合は、その馬専用のものが用意されています。
無口は、馬の頭に装着します。鼻の部分が抜けないサイズに調整しておかないと、馬が抜け出してしまうことがあります。

迎えに行く

無口と引き手の準備ができたら、馬を迎えに行きましょう。
馬と挨拶をする時と同じように、優しく声をかけて馬を呼びます。
入り口の方へ馬が来てくれるのを待ちましょう。
馬が入り口へ向いていない時に馬房へ入るのは危険です。
迎えに行ったら急に後ろを向いてしまった時などは、出たくない意思表示です。
そのままズカズカと部屋に入ってしまうと、蹴られてしまうかもしれません。
馬から自分の方へ近づいてくるまで待つと、とても安全です。
馬が来てくれたら、馬の左側(自分の右側)から近づき、馬の横に同じ方向を向いて並び、無口を口元へ持って行き、無口を装着しましょう。自分から無口に鼻を通してくれる馬もいます。
装着後は、必ず頬の金具を装着します。
鼻の下側についている環に引き手をかけて、引き馬の準備完了です。
馬が頭を上げてしまって、無口を付けさせてくれない時は、外に出たくないか、あるいはその人に対しての不信感からくる拒絶です。
馬が受け入れてくれないからと言って、腹を立てないでくださいね。
馬にしてみたら、必ず理由があります。

馬房から出して引いて歩く

いよいよ馬と一緒に歩いてみましょう。
引き手は繋いだ部分から10cmから15cm程離れたところを右手で軽く持ちます。
引き手の余った部分は左手で持ちます。
この時、手に巻き付けない様にしましょう。
急に馬が驚いた際などに引っ張られると怪我に繋がってしまいます。
引き手は巻き付けない!これは基本的な事ですが忘れてしまいがちな事でもあります。
まずは、右手で持ち、余りを左手で持つ。つまり両手で引き手を持っておく、これも大切です。
右手で対応できなかった時に左手が使えます。

引き手をきちんと持ったら、歩き出しましょう。
馬の鼻面の横に立ち、前を向いて歩き始めます。
自分のペースで歩きましょう。馬を気にしすぎて馬の方を覗き込んでしまう方が多いですが、余計に馬がきちんと歩いてくれなくなってしまいます。

どこへどんな速さで歩くかは、あくまでも人間がリードして馬がそれについてくる、そういう気持ちで引いてみてくださいね。

馬がどんどん早く行ってしまいそうになる時は右手で後方に引き手を引っ張って、ブレーキを馬に伝えます。
先に行ってしまうのは、人間を無視していますから、無視しないで欲しい事を伝えなければいけません。
逆に、馬が引っ張っても動いてくれない時も同じです。
今度は右手で引き手を前に少し引いて、前進を馬に伝えます。

引き馬も、馬とのコミュニケーションです。
馬に乗るのと同じで、馬を知り、馬と息を合わせる必要があります。
引き馬のトレーニングも沢山ありますが、人に合わせて馬が歩き、決して人より前に出る事なく、人が止まれば止まり、人が後退すれば馬も交代し、人が走れば追い越す事なく一緒に走れる様になると、信頼関係がかなりできていると言えます。うーん、引き馬も奥が深い。。。
いつか引き馬のトレーニングのお話をもっと詳しくしたいと思います!

次回は、馬のお手入れ方法についてのお話をします。お楽しみに!

 

馬と仲良くなろう part1

馬と仲良くなろう part3

進 由紀

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投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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