乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。今回は馬にまつわる言葉、慣用句やことわざを紹介したいと思います。どれも知っている言葉だと思いますが、馬を知った後ですとより言葉の意味がよく理解できる気がします。私なりの視点から個人的な感想も言ってみたいと思います。。
人間万事塞翁が馬
昔、塞翁の馬が隣国に逃げてしまったが、名馬を連れて帰ってきた。老人の子がその馬に乗っていて落馬し、足を折ったが、お陰で隣国との戦乱の際に兵役を免れて無事であったという話から、人生において、幸せなことが起こるか不幸なことが起こるかは、誰にも予測することはできないという意味です。不幸なことが幸せに転じたり、その逆もあるので、その場の感情で安易に悲しんだり喜んだりしない方が良いことを伝えています。
この『物語』のキーとなっているのが馬という所がドラマチックですよね。
馬の耳に念仏
馬に念仏を聞かせてもそのありがたみがわからぬように、言い聞かせてもその価値がわからないさま。
大切な話や忠告を言っても聞く耳を持たなかったり、理解しようとしなければ意味がないという意味のことわざです。
良くない意味で馬が使われている言葉です。
馬の方がわかるよねって言いたい事がしばしばあります。
天高く馬肥ゆる秋
秋は、空が澄んで高く見え、野の実りによって馬が逞しくなる。秋の風情を表す表現。
由来は中国の故事。逞しくなった馬で攻め入り、収穫物を略奪しにやってくる、
敵襲に警戒せよと注意を促す言葉だったそうですが、敵の襲来の恐れがなくなった事から現在の意味で使われる様になったそうです。
秋晴れに馬を見ると、必ず言いたくなる言葉ですが、元々はこんな意味があったんですね。
馬が合う
気が合うという意味
馬と乗り手が呼吸を合わせ、順調に走っている姿から出来た言葉と言われています。
馬はただ乗れば何でも言うことを聞いてくれる訳ではなくて、きちんと乗り手が息を合わせようとする事が大切ですよね。
人と人が気が合うという意味で使われますが、その関係性は上下ではなくて、対等なリスペクトがあってこそ。それがこの言葉には隠れている所がとても好きです。
馬と順調に走るために、対等なリスペクトを持って息を合わせなければいけないことを、昔の人はわかっていたんですよね。忘れちゃいけない!
馬子にも衣装
ちゃんとした衣装を身につければ誰でも立派に見えるという意味
馬子は馬に荷物を乗せる仕事をしているような身分の低い人を指しています。
思い切り職業差別…こういう言葉は時代の流れで使われなくなっていくんでしょうね。
尻馬に乗る
他人が乗っている馬の尻に乗ったり、前を行く馬についていくという意味から
無批判に他人のすることに便乗して行動する。節操もなく他人の言説に同調することを表します。
人の真似をして調子に乗る姿を表す時に使われることもあります。
光景を想像すると悪くない♪
あまりポジティブな言葉ではないですが、尻馬に乗りたい、そんな気分の時もありますよね。
毛を以って馬を相そうす
毛並みだけを見て馬の良し悪しを判断する意味から、物事を表面上の事だけを見て判断するという意味。
いやでもね、毛並みって表面上の取り繕いで美しくなる訳ではないのですよ。
毛並みにはその馬の健康状態と人の管理の良し悪しがあらわれます。
「綺麗な馬ですね」は私にとっては最高の褒め言葉。
毛並みの美しい馬を見たら、その馬が丹精込めて育てられているなと、その馬に関わる人の事を思うので、私は『毛を以って人を相す』ですね。
小馬の朝駆け
小馬は朝のうちは元気に駆けているが、間もなく疲れてしまう。
この様子をはじめに力を出しすぎて早く疲れる例えに使った言葉です。
これは本当!子馬を放牧場に放すと、ひとしきり走り回ります。
でもすぐに疲れて、馬房へ帰すと、ぐーぐーとお昼寝ばかりしています!
馬にまつわる言葉って沢山ありますよね。
意味を掘り下げて見ると面白い。次回はPart2をお届けします。