乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は「馬着」についてです。
寒くなってくると、馬たちに馬着(馬の服)を着せますよね。
秋口は薄いものから、今の時期は綿入りの厚馬着を着せていると思います。
馬は、人よりも寒さに強いと言われています。
実際に冬の馬たち元気一杯ですが、馬はどの時点で寒くなるのでしょうか?
馬は人間よりも広い範囲の気温で快適に過ごせるので、人間が寒いからといって馬も寒いとは限りません。
毛を刈っていない、寒い地域で暮らす馬たちは地域の気温に順応するとマイナス10度になっても快適に暮らすことができると言われています。
冬場の運動時に汗をかかない様に、冬毛を刈っている馬の場合は、やはり馬着での管理が必要となります。
馬が環境に慣れるのに3週間程度はみた方が良いので、毛を刈った馬には、毛を刈った後の最初の数週間は普段より馬着を厚くするのが賢明です。
毛を刈った馬は、寒い時期には雨や雪に濡れたままにしないでください。
馬着を着せている時の注意点
・ストラップが脚に引っかからないような長さに調整する
・き甲や胸前や肩の毛が抜けてしまっていないかをチェックして、
擦れてしまっている場合は皮膚に優しいアンダーの馬着を着せる
・汗をかいて馬着や馬体が濡れていないか?
〈 馬着を暑がっている兆候 〉
呼吸数が増加します。
成馬の通常の呼吸数は1分間に10回から 20回であるため、この範囲を超える呼吸数がある場合、特に鼻孔が膨らんでいる場合は、問題があることを示しています。
汗をかいていないか確認して馬着を薄くしましょう。
〈 馬が寒いときの兆候 〉
震えや筋肉の震えは馬が不快なほど寒いことを示していますが、これらの症状は痛みや電解質異常の兆候である可能性もあります。
耳、尾、末端の四肢など四肢を触ると冷たい場合は、馬が寒い可能性があります。
汗をかいた後の快適さを確保するために理想的なのは、馬着を着せる前に馬の身体を完全に乾かすことです。
濡れた馬に馬着をかぶせると、皮膚のトラブルが起きやすくなります。
乾く前に馬体が冷えてしまうのも良くないので、薄めの馬着を着せて乾かしながら、馬体が乾いたら乾いた馬着に着せ替えると良いです。
馬が寒いときは、毛が逆立ち、とてもふわふわしています。
こうすると毛幹の周りに空気が入り、羽毛のような状態になり、断熱効果が最大限に高まります。
暖かい時期や運動中は、毛が横たわります。こうすると、熱を逃がし、汗を蒸発させやすくなります。毛布を外しておいて寒くなると、馬の毛はやがて逆立ちます。
馬着は、馬に合わせて、非常に若い馬や非常に年老いた馬は体重が軽いため、暖かく保つために通常より多くのエネルギーを必要とするので、厚めの馬着にします。また、消化によって代謝熱が発生するため、馬が干し草をあまり食べていなかったり食欲がなかったりする場合は、それほど気温が低くなくても馬着ををかけるのが良い場合もあります。
このように馬着は馬の状態や様子に合わせて臨機応変に対応することが大切です。
自馬オーナーさんの中には何着もいろいろなタイプの馬着を持っていたりしますが、気候、体調や場面によって馬にとって快適な馬着を着せてあげられるといいですね!