乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。今回は馬への恐怖心についてお話しします。
馬に乗っているときや馬の周りで作業しているときに、恐怖を感じたことはありますか?
落ちて怪我をするのではないかとよく心配になりますか? 馬に乗ることを考えただけで緊張しますか?
馬に乗っている時に急に走り出したり、急に横っ飛びしたり。地上で接している時に威嚇してきたり、引き馬で走り出したり。馬が同じことをしても怖いと感じる方、感じない方、感じ方はそれぞれだと思いますが、みなさん少なからず一度は恐怖を感じた事があるのではないでしょうか。
恐怖の定義
スポーツ心理学では、恐怖には2つの種類があります。
実際の脅威 (危険と呼ばれることもあります) に対する反応である恐怖と、認識された脅威によって引き起こされる不安です。どちらも身体と心の中で同じように感じられます。
そのため、違いを見分けるのが難しい場合があります。
馬にとって、不安は、地面に置かれたビニール袋を見ることです。恐怖は、風に持ち上げられて馬に向かって浮かび始めることです。 これはライダーにとっても同様に不安であり、恐怖ですよね。
馬を使ったスポーツは他のスポーツと違います。体重500kgの、生きていて、息をしている臆病な猫とパートナーを組んでいるのです。私たちは自分の恐怖を管理するだけでなく、馬の恐怖も管理しなければなりません。馬たちの恐怖は、私たち自身の恐怖よりもさらに大きいかもしれません。
馬上や地上で、怖い思いをしてもやめられないのが乗馬ですね。ですがそのために命や身体を危険にさらすべきではありません。乗馬をする理由は、楽しい時間を過ごすためです。馬や友人と一緒に時間を過ごすことに喜びを見出すためです。 安心、安全に馬との時間を楽しんで欲しいです。
では、恐怖を感じさせるものに対してもっと強くなるにはどうすればいいでしょうか? 2種類の恐怖について考えてみましょう。本当の脅威(恐怖)と認識された脅威(不安)です。
〈 違いを知る 〉
最初のステップは、違いを区別することです。身体や心の中で同じように感じる事ができる恐怖が、実際にどのように感じられるか考えてみましょう。体のどこに感じますか? 胸が締め付けられる感じですか? 息を止めていますか? お腹の中で感じますか?
それを感じるのはいつなのかについても考えてみましょう。駈歩発進の前ですか? 外乗でどこかの犬が馬に向かって走ってきた時ですか? 繋ぎ場で馬装しているときですか? 厩舎に向かう途中?
それは恐怖(実際の脅威)なのか、それとも不安(認識された脅威)なのか。
〈 馬の選択 〉
自分のスキル、やりたい事、得意な事と馬とのマッチングは一番大切かもしれません。
どんなに穏やかな馬でも、特定の状況下では恐怖を感じることがありますが、同じことをしてもライダーの恐怖心には違いがあります。
この馬なら怖くない、という事は実際に結構ありますよね。
馬の選択に関する記事がいくつかあるので、以下にリンクします。
自分のスキルセットを理解する
乗馬におけるスキルセットは、馬との信頼関係を築きながら、安全かつ効果的に乗るために必要な技術や知識のことを指します。主なスキルセットには以下のようなものがあります。
〈 基本的な姿勢とバランス 〉
乗馬では、馬に乗っているときの身体の使い方が非常に重要です。
体幹を使い、馬の邪魔にならず馬の動きに合わせて自分のバランスを保つことが必要です。
〈 コンタクト 〉
馬をコントロールするためには、コンタクトは外せない要素です。
〈 扶助 〉
馬が不快に感じないわかりやすい扶助を適切にできることも大切です。
・歩様の理解と調整
・馬の動きを感じる力
馬は非常に繊細な動物で、その動きに敏感に反応します。馬の感覚や動きに対応できるように、身体の反応を合わせる能力が求められます。
〈 馬との信頼関係の構築 〉
乗馬において、馬との信頼関係が非常に大切です。
馬を怖がらせず、リラックスさせて、良い関係を築くことが安全に乗るための基本です。
〈 問題解決能力 〉
乗馬中に何かトラブルが起きたとき(例えば、馬が怖がって動かなくなったりする場合)、冷静に対処し、問題を解決する能力も必要です。
〈 馬への思いやりと感謝の気持ち 〉
馬に関わる人にとって一番大切なスキルです!
これらのスキルの中で、自分が得意なことや、上手くできたことを自分の中で整理しておく事は恐怖を乗り切るためにとても有効だと思います。乗馬日誌的なものを書いている方も多いかと思いますが、ぜひ自分の現在のスキルセットを書き起こしてみてください。
恐怖心はできれば取り除きたい感情ですが、恐怖心があることで、より深く馬を知ろうとしたり自分を振り返り馬が安心できる様な振る舞いをしようと心がけたりなど、馬との絆を深めるきっかけにもなります。ネガティブに捉えすぎず、馬と向き合ってみてくださいね!