乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は『馬の品種』についてです。
小さい馬から大きい馬まで、沢山の種類の馬がいます。
皆さんは何種類くらいご存じでしょうか。
世界には、おそらく160種にものぼる様々な馬の品種やタイプが存在します!
家畜化される前は、環境に適応しながら馬の集団内の血縁関係を元に徐々につくられてきました。
そして、家畜化されてからは、意図に合わせて品種改良されています。
日本で出会う事の出来る代表的な品種やタイプについてご紹介します。
サラブレッド
日本で馬といえば、サラブレッド。
馬の代名詞になっている品種です。
世界で最もスピードがあり、高価な馬です。
17世紀および18世紀にイギリスに輸入された*アラブの種牡馬と在来種の「ランニング・ホース」と呼ばれていた馬を交配させて作り出されました。
体型は、頭部がすっきりと細く、皮膚が静脈が透けて見えるほど薄いです。
*世界の品種の大部分に影響を及ぼしている、最も純粋で最も古い品種
サラブレッドはご存じの通り、競馬で走る競走馬です。
世界で毎年約9万頭生産されています。
日本でも約7000頭のサラブレッドが毎年生まれています。
競走馬になれなかった馬、競馬を引退した馬たちが乗馬でリスタート出来る様な色々な取り組みも、近年では活発に行われる様になってきました。
日本の乗馬クラブで一番出会う事の多い品種です。
クオーターホース
純アメリカ産の品種と言われています。
カウボーイが乗って牛を追う「カウポニー」と呼ばれたりもします。
アメリカのクオーターホース協会には、約100万頭の馬が登録されているため世界で最もポピュラーな馬とも言われています。
名前の由来は、4分の1マイル(クオーターマイル)程度ならどの馬よりも早く爆発的なスピードで飛ぶように走る能力があることからつけられたそうです。コンパクトな体型で肉付きの良い後躯が特徴です。
日本では、ウエスタン馬術はもちろん、外乗施設などでも活躍しています。
とても温厚で勇敢な性質です。
私も長い間、あるクオーターホースと一緒に仕事をしましたが、どの馬よりも勇敢で頼りになるボスでした。
ハノーバー
ブリティッシュ馬術の障害馬術や馬場馬術用のスポーツホースとして世界的に評価されヨーロッパで最も成功している温血種です。
穏やかで従順な気質と、信頼感の持てる性質です。
歩様や直線的で正確、エネルギッシュで柔軟な動きをします。
体型は、非常にしっかりとしていて頸は長くて美しく四肢もがっちりしています。
日本では、競技用の馬として乗馬クラブで活躍しています。
背中合わせの馬をマークにした「H」がハノーバー特有の印です。
「最大の馬と最小の馬」
シャイヤーやペルシュロンは、重種の中でも特に大きい品種です。
シャイアーでは体高216キロ体重1524キロの馬の記録が残っていて、史上最大の馬と言われています。
日本では、世界的にも唯一となるばんえい競馬でペルシュロン系の馬が活躍しています。
ミニチュアホース
ミニチュアホースは、体高80㎝以下の馬の事を言います。
ファラベラという品種もあります。現在ではペットとして飼われる事も多いですが、体が小さいだけで、性質は大きな馬と同じため、愛玩動物である犬や猫とは違います。
きちんとした知識や馬を飼う為の環境を用意してあげて欲しいと切に願っています。
写真ではわかりづらいと思いますが、沢山の馬を見ていると、サラブレッド、クオーターホース、その他、ハノーバーなどのスポーツホース、いわゆる外産馬は見分けがつくようになります。(外国で産まれて日本へ来た馬を外産馬と呼びます。)
品種によって様々な魅力のある馬たち。
まだまだ他の馬の品種についても、また紹介したいと思います。
品種によっての性質や能力があり、さらに個々の個性もあり、馬の魅力は無限大です。
そして、ともに生きる私たちが学ぶべき事もその個性の数だけ延々と。
それが馬の魅力のひとつでもあるな、と思っています。