小林豊和

ワンちゃんのごはん基礎知識 第2回ライフステージに合わせたごはんの選択と栄養素の役割

ワンちゃんのごはん基礎知識

  第2回
    ライフステージに合わせたごはんの選択と
    栄養素の役割

    


パピー、アダルト、ライト、シニア…うちの子はどれ?

いつまでも健康で元気なワンちゃんでいて欲しい。
そんな飼い主さんの願いを叶えるためにも、ライフステージに合わせたごはんの選択はとても大切です。
 
では年齢ごとにどんなタイプがあるのかご紹介しましょう。

【 パピー・幼齢期・子犬用 】
乳離れしてから1歳までのごはん。成長に必要な栄養素が多く含まれています。
小型犬用、大型犬用で分かれていることもあります。
また授乳期の母犬用として使えるものも多いのですが、その他の段階の子に与えると栄養価が高いため太る可能性が高いでしょう。
【 アダルト・成犬用 】
主に1~7歳(シニア)までの期間に与えるごはんです。
もっとも長期間あたえるものになりますので、より品質の良いものをこだわって選んであげてください。
【 ライト・ダイエット・体重管理用 】
成犬で太り気味の子向けのごはんです。
カロリー控えめで腹持ちがよく、少量で満腹感の得られるフードであることが特徴です。
【 シニア・老犬用 】
6、7歳~向けのごはん。
カロリーが抑えられていたり、関節強化などシニア犬に適した栄養素が多く含まれています。

 

まれに1才になってからもずっとパピーをあげていたり、シニアと呼べる年齢に達しても普通のアダルト用を与えている方がいますが、お薦めはしません。
子犬の時、わずか1年の間に、ワンちゃんは人間でいう17才にまで成長します(大型犬の場合は12才と、小型・中型犬に比べるとゆっくりです)。

よく大人になってから「学生時代はあんなに食べても大丈夫だったのに…」と増えやすくなった体重を嘆く人がいますが、これと同じ現象はワンちゃんにも起こります。
体の成長は止まってしまったのに、若い頃と同じ食事を続けていたら栄養の摂りすぎで太って当たり前なのです。カロリーの他、栄養素などもパピー用の方が多く摂取できるように作られています。そのため、1才を過ぎたらアダルトへの切り替えが必要になってくるのです。
 
同じく、シニアに切り替える時期というのも重要です。しかしシニア期の場合、フードによって適正年齢にある程度バラつきがありますので与える際はよく確認してみてください。
「7才といってもうちの子元気だし…」と切り替えを迷われるかもしれませんが、長生きして欲しいのなら、しっかりと先を見据えた食事管理がより大切になってきます。
代謝が落ちてくる高齢犬のために、シニアはアダルトに比べカロリーが減らしてあります。またマスターピースのシニアごはんには、関節が気になる子のために、グルコサミンの豊富なズワイガニの殻を、消化吸収のよい微粉末にして混ぜ、DHA・EPAを豊富に含むサーモンフィレと、低脂肪・低コレステロールで健康作りに適しているエゾ鹿肉を使用しています。(シニア サーモンと鹿肉より)

 

栄養素―タンパク質・炭水化物・脂肪


私たちの食事とも関わりの深い栄養素の表記。よくお菓子のパッケージなどにも表示されていますがあまりちゃんと見ない方も多いのでは?
動物でもタンパク質○○%という表記は、病気の子であれば獣医師として気にしなくてはいけない大事なポイントですが、健康な子であればそこまで気にする必要はありません。
その為、ここでご紹介する各栄養素の役割については、参考程度に読んでいただければと思います。
むしろ年齢によって区分されたフードの中からそのワンちゃんに合った適切なフードを選択する方がよほど大切な事なのです。

 

【 3大栄養素 】
タンパク質・炭水化物・脂肪の3つのこと。5大栄養素はこの3つにビタミン・ミネラルを足したもの。
【 水 】
栄養素ではないが、もっとも重要なもの。
体のおよそ60~70%を占めており、10%以上が失われると死にいたる可能性がある。
常に新鮮なお水を飲めるようにしておくことが重要。
【 タンパク質 】
アミノ酸から作られている。
エネルギーの供給源、体構成成分・酵素・ホルモン・免疫抗体の原料となる。
主な供給源お肉(牛肉、豚肉、鶏肉等)、大豆など
【 炭水化物 】
エネルギー源の糖質と繊維質に分けられる。主な供給源は米、小麦、さつま芋
【 食物繊維 】
お腹の調子を整えたり、コレステロールの吸収を抑制したりと重要な作用をもっている。
動物の消化酵素では分解できない、炭水化物の総称。
【 脂肪 】
水には溶けないが、有機溶剤(エーテル・クロロホルム)に溶ける物質の総称。
タンパク質・炭水化物(糖質)の2倍以上ものエネルギー(カロリー)をもつ重要なエネルギー源。
脂溶性ビタミンの供給源、食事の嗜好性を高めてくれる。
供給源として植物性の油(oil)と動物性の脂(fat)がある。
【 ビタミン 】
生体の機能や代謝過程を微量で円滑にする働きをもつ有機化合物。
   例)ビタミンA→皮膚・粘膜を正常に保つ。
   ビタミンB2→糖質、脂質、アミノ酸代謝の補酵素。
油にとける脂溶性と水に溶ける水溶性の2種類がある。
【 ミネラル(灰分(かいぶん)、無機質) 】
生体に含まれる元素のうち、炭素、水素、酵素、窒素を除いたもののこと。
生体にとって必要な量の多さによって主要(多量)ミネラルと微量ミネラルに分けられる。必要量は異なるがどちらも体の維持に必要な栄養。
   例)鉄(微量ミネラル)→ヘモグロビンの構成成分。

ワンちゃんのごはん基礎知識
第1回 ドッグフードの種類と目的食

小林豊和

小林豊和

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(こばやしとよかず) 

獣医師/グラース動物病院院長

1963年 東京都生まれ 
1989年 日本大学大学院獣医学研究科修了 
   都内の動物病院、大学病院で研修 
1993年 グラース動物病院 開業 
帝京科学大学非常勤講師/ペットシッタースクール(ビジネス教育連盟)講師/ペット栄養管理士/産業カウンセラー
((社)日本産業カウンセラー協会認定) 
動物の健康と長生きのサポートを理念とし、グラース動物病院を開設。 
食事指導、肥満管理にも積極的に取り組み、2010年より手作り無添加ドッグフード「マスターピース」の製作・販売を手がける。

グラース動物病院 ホームページ: http://grace-ah.com/index.html

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