腎臓が疲れることで機能低下しやすい体質についてお話します。
※必ずしも腎臓病になるわけではありません。
「相生(そうせい)」と「相克(そうこく)」
専門的になりますが、東洋医学における腎臓疾患の話に欠かせないのが「相生(そうせい)」と「相克(そうこく)」です。
・「相生(そうせい)」とは
上記イラストの外側の円で表している関係性です。
母親の様な関係性で、時計回りに五臓にエネルギーを与えたり守ったりしてくれます。
例をあげると「肝」は「心」にエネルギーを送り、守ります。
肝のパワーが強すぎたら受け取る側の心は疲れてしまったり、逆に肝から送るパワーが弱いと心もエネルギー不足になってしまいます。
・「相克(そうこく)」とは
上記イラストの真ん中の星形で表されています。
こちらは、矢印の先の五臓が暴走したりすれば諌め、逆に動きが悪い様ならプレッシャーをかけて動かす「父親」の様な関係性です。
例えば、肝は脾の暴走を止めたり、動きが悪い時は発破をかけてくれます。
こちらも肝が強すぎるプレッシャーを脾に与えれば疲弊しますし、逆に弱いと脾が暴走した時に止める事が難しくなります。
「相生(そうせい)」と「相克(そうこく)」は、とても奥が深い話です。
これからのワンコ薬膳でも都度都度お話していきますね。
腎臓の不調に深く関わる「肝」「脾」「腎」
次に、「肝」と「脾」と「腎」が腎臓病へどんな影響を与えるかを説明します。
腎臓が疲れやすいワンコの体質で多いのが「胃熱(いねつ)」「肝熱(かんねつ)」です。
・「胃熱(いねつ)」とは
胃に熱がこもり、吐き気や嘔吐、胸焼け、ゲップ、口臭、口の渇き、多飲、胃痛、口の周りの着色などの症状が現れます。
「偽物の食欲」とも言われ、過食や草や砂利など、異物を食べたがったりもします。
「うちの子、食べても食べてもまだ食べたがるのよ~」というワンコは胃熱のある事が多いです。
・「肝熱(かんねつ)」とは
東洋医学で言う「肝」に火がつくように熱がこもり、肝の経絡が巡る部位に熱感や炎症が反復してしまい、のぼせ、イライラ、自律神経失調症、目、耳の異常(軽度なら充血など)、頭部、体の側面、肩甲骨周りの熱感、体表部の鬱血、高血圧、痙攣発作などの症状が出ます。
「え?腎不全のお話じゃないの?」と思われるかもしれませんね。
先ほどお話した相生、相克の図を見ると「肝」の相克の矢印が胃などの消化器系の働きを表す「脾」に、そして「脾」の矢印は「腎」へと向かっています。
つまり、肝のパワーが強すぎたり肝熱があると先ず「脾」へのプレッシャーが強すぎて攻撃となり肝熱は脾へと飛び火し、それが胃熱になってしまうことで「腎」を攻撃して疲弊させます。
「腎」は、肝にお水をかけて冷やすという役割があります。
この肝→脾→腎の強すぎるプレッシャーや熱は、中和される所がないまま堂々巡りになり、どこかで和らげてあげなければやがて五臓は疲れてしまい、病となります。
腎臓病のワンコの中には、膵炎や癌を併発している事もあります。
それはこの「五臓同士のプレッシャー」によってそれぞれの五臓に関わりのある場所が疲弊し、滞りが出来てしまい、炎症や腫瘍になりやすいためです。
「熱も冷えも、バランスをとれば体の強い味方になるよ」