寒い冬が終わり、三寒四温、暖かい日が多くなってきました。
体調が変わりやすい季節ですが、穏やかな春を迎えていますでしょうか。
春は、芽吹く季節。
東洋医学では、冬の間隠れていたもの、溜め込んでいたものが芽を出し、活動的になるといわれます。
その溜め込んでいたものを解毒する為に、活発に働く五臓は『肝』です。
『肝』の中医学的な働き
* 全身のエネルギー(気)をコントロールする
* 精神を安定させる
* 内臓の働きをスムーズに保つ
* 血を貯蔵し、必要に応じて供給する
(血の調節)
気の巡りが悪くなると、興奮やイライラ、怒りっぽくなったり、逆に気分が落ち込んだりします。「うちの仔、春は体調が悪いのよね」
「シニアになってから、春が苦手みたい」など
思い当たる飼い主さんは、『肝』をケアしてあげるといいと思います。
体調を崩しやすくする「熱」を下げるマッサージもおすすめ
春は「気」が上がりやすく、「熱」も上に上ります。
『肝』に負担がかかる事で生まれる「肝熱」も上へ上り、体調を崩しやすくなります。
春に、癲癇や前庭疾患など、上半身の不調が多い理由の一つでもあります。
今回紹介する薬膳メニューと合わせて、上に上った熱を下げるために「上から下へのマッサージ」も是非オススメします。
撫でてあげるだけでもOKです。
マッサージに対して、動物に「痛気持ちいい」という感覚は殆ど無いそうです。
優しい力で流してあげるように身体にふれてあげて下さい。
『肝』は、筋肉と目にも関わりがあります。
ワンちゃん、猫ちゃんに肩こりの仔が多いって知っていますか?
歩くのが嫌になったり、疲れやすくなる仔もいるそうです。
また、病気や老齢で徘徊をする仔に肩こりが多いらしいです。
優しくマッサージして、筋肉のコリをほどいてあげて下さい。
ご飯粒付いてますよー!
** ワンコ薬膳レシピ紹介 **
さて!今回は、春のレシピ『春野菜とマグロで超☆肝ケアおじや』
< 材料 >
・マグロ 30g(今回はアラを使いました)
・卵 1/2個
・セリ 3本くらい
・セロリ 10g
・かぼちゃ 20g
・山芋 10g ・ピーマン 5g
・人参 10g ・大根 10g
・白米 20g
※グラム数は、我が家の愛犬小珠(体重4.4kg)を基準にしています。
(ワンコの手作りご飯1食の量は、そのワンコの頭の大きさ1つ分です。
それを目安に年齢や体調によって調整をしてください。)
〈 手順 1 〉
マグロは、骨を取り除く。(下茹でして火を通しておくと取りやすいです)
大根・人参・かぼちゃの皮を剥き、他の材料と共に「ウチの子が食べやすいサイズ」に切っておく。
〈 手順 2 〉
鍋に、かぼちゃ・大根・人参を入れ、具材がかぶる位のお水を入れて火にかける。
〈 手順 3 〉
手順2に火が通ったら、マグロを入れる。
〈 手順 4 〉
マグロに火が通ったら、白米と山芋を入れる。
〈 手順 5 〉
山芋に火が通ったら、ピーマン→セロリ→セリの順に入れる。
さっと火を通したら、解いた卵を回し入れる。
〈 手順 6 〉
卵に火が通ったら火を止め、冷まして盛り付けたら出来上がり。
薬膳豆知識 食材の効能をご紹介
「マグロ」
血を補い、造血作用があります。
肝の働きを向上してくれて、体を温めてくれます。
「セリとセロリ」
肝を労わり、体の余分な熱を下げてくれます。
のぼせやイライラ、頭痛、情緒不安定などを和らげてくれます。
ちなみに日本のセリは「水セリ」セロリは「洋セリ」お仲間なので、効能の説明を一緒にさせて頂きました。
「かぼちゃ」
お腹の働きを補い、息切れ・疲れ・目眩・食欲不振・浮腫み・下痢を改善してくれます。
「山芋」
ワンコ薬膳では、すっかりレギュラー選手です。
生きるパワーを司る「腎」を補い、体を強くしてくれます。
お腹と肺の機能を高め、消化も良いので一年中オススメしたい食材です。
「人参」
「食べる目薬」と言われるほど目のトラブルにオススメの食材です。
「肝」の働きを高め、血を補い、消化吸収能力アップ、更に咳を止める力もある「できるヤツ」です。
「ピーマン」
「肝」の気を巡らせ、心を鎮めて精神を安定させる作用があります。
血の流れを良くしてお腹の働きも良くしてくれます。
「大根」
ワンコ薬膳では、レギュラーの名バイプレイヤー。
消化を促進し、食べ物を消化する胃で生まれる熱を下へと送り出し、巡らせてくれます。喉や気管の不調にも良いです。
「ご飯(白米)」
日本人のソウルフード。
「補気類」といって、文字通り元気をくれるスーパー食材。
お腹も労ってくれます。
ワンコの場合、玄米だと消化に負担がかかる事が多いので、白米の方がオススメです。
「卵」
五臓全てに効いちゃうスーパーフード。
体を潤し、喉の熱を取り除き、血も心も補ってくれます。
今回は溶き卵で使いましたが、ゆで卵を飼い主さんと半分こしても良いです。
春の不調は、いつも以上に睡眠が大切になってきます。
肝臓に血が戻ると言われる23時〜2時までに熟睡できる環境と生活がオススメです。
飼い主さんが難しくても、ワンコには暗めの場所を用意するなどして、よく眠らせてあげてください。
花粉症のパパ、ママにもオススメですよ!
《 保護されていたワンちゃん、猫ちゃんの里親になられた皆様へ 》
ここからは、私の個人的な所感です。
先日、我が家の小珠が保護されていた動物愛護団体の同窓会に参加して来ました。
もちろんみんな幸せでしたが、目が見えなくなっていたり、見えづらくなっている仔が多かった印象です。
目にも関わりがある「肝」は、ストレスに弱い五臓です。
「大好きな人に捨てられた。いらないって言われた」
そのストレスが大きな負荷となり肝を痛めつけているのでは?と思い、小珠の鍼灸の先生に聞いてみると、恐らくそうであろうとのことでした。
全ての仔に当てはまるとは思いませんが、ちょっと気になるという方は「肝」をケアしてみてください。