気候や生活環境、人間性や地域性、経済情勢と各国で異なり、全ての国で同じような公衆衛生を整えるのは難しいことです。
今回は、世界の狂犬病の現状と取り組みと対策をまとめてみました。
狂犬病死者数が1番多い国:インド (死者数:約7400人)
《 インドの現状 》
インドは、様々な歴史的背景があり、野犬がそのまま放置され、至る所に野犬がいます。
実際ペットとして飼われている犬は少ないようです。(飼われている犬は、富裕層が多い)
インドでは、狂犬病の感染源動物として95%以上が犬であろ、野犬には近づかないようにしてくださいと、外務省のホームページに記載されています。
《 取り組みと対策 》
WHOの情報によると(2017年9月28日付)、インドでは、狂犬病から命を守るために咬まれた場合の対処法を教える教育プログラムを行っており、命を救うカギとなっているようです。
また、2014年以降ワクチン接種と狂犬病撲滅キャンペーンにより、18万匹を超える犬に予防薬が接種され、狂犬病死者数が2014年17人から2016年から1人に減少したそうです。
前述は、インドのゴア州での取り組みのようですが、この取り組みがより多くの州でも実現することを願います。
狂犬病死者数の多い国:フィリピン(死者数 約200~250人)
《 フィリピンの現状 》
フィリピンでは、毎年約200~250人が狂犬病でなくなっており、その40%が子供です。
《 取り組みと対策 》
フィリピンでは、2022年までに狂犬病根絶計画に向けて、2020年までに7100以上の島々全てから狂犬病を根絶する計画を実行中です(2001年 ProMED情報)。
また、飼い主に犬を登録し予防接種を受けるように指導したり、犬に咬まれた際の対応方法を指導するなどの教育プログラムも作成しています。
他に、JICA(青年海外協力隊)では、2018年8月~2023年8月まで中部ルソン地域で狂犬病排除に向けた活動を行っています。
狂犬病死者数の多い国:ベトナム(死者数 約100人)
《 ベトナムの現状 》
ベトナム北部の山岳地帯で、狂犬病感染が多く発生しています。
農村部での狂犬病ワクチン接種率は50%未満と低い反面、都市部では、ペットの80%以上がワクチン接種受けています。
また、狂犬病を患った犬に咬まれ亡くなる人は、毎年平均100人程度と統計されています。
《 取り組みと対策 》
ベトナムでは、動物側からと人間側からの2本立てで予防策に取り組んでいます。
まず、動物側からは、ワクチン接種率を上げていくことと、摂取した犬に首輪をつけて周知すること。
人間側からは、犬に咬まれた際の対応方法の指導(小学校や中学校でも)とPEP(狂犬病暴露後予防接種)の重要性の説明を行っています。
しかし、狂犬病ワクチンもPEPも高価なため、家族によっては実施できないことが課題となっているようです。Ωベトナムで出会った犬。
暑いのでタイルの上で休んでいました。
https://youtu.be/w5sRoEPwOYc
上記動画は、GARCが作成した狂犬病のビデオです(教育プログラム)。
補足:世界狂犬病デー 9月28日
参考文献
・外務省(海外安全ホームページ)
・厚生労働省検疫所FORTH
・JICA
・Global alliance for rabies control (GARC)国際狂犬病非営利団体