アメリカの動物事情
第8回 アメリカ流犬の問題行動対策
土足文化のアメリカでは、動物を室内で飼育することに抵抗感が低く、室内飼育が主流になっています。そのため、人と同じ空間で過ごす犬に対してしつけの必要性は日本よりもずっと高く、ペットストアやシェルターで安価にしつけ教室が開催されていることもあり、しつけ教室に飼い犬を通わせる飼い主さんが非常に多くなっています。
犬のしつけに関して諸外国では「Tired dog is Happy dog(=運動で疲れている犬は幸せな犬だ)」というのが通説で、犬の散歩量やアクティビティは犬の問題行動を左右すると認識されています。
ですので、日本国内で見られるような「外で1日中鎖で繋いで飼っている」「小型犬に散歩は不要」「犬をアクセサリー感覚で着飾る」「バッグに入れて外出」といった飼育法はアメリカでは犬としての本質や生態を無視していると非難されることもしばしばあります。
日本では、土佐犬、秋田犬、ドーベルマンといった大型犬(パワフルブリード)は檻に入れて飼育する決まりを設けている自治体がありますが、アメリカでは、運動量の多いこれらの犬種こそエネルギーを消耗させるために自由に動ける敷地面積や時間が必要であるとし、檻の中での飼育は問題視されています。(州によって指定犬種に違いはあります)
そのためシェルターやレスキューグループ、良識のあるブリーダーさんでは、譲渡希望者と犬の運動量がつり合わない場合は、犬を手に入れることができません。また、アメリカ内では、外飼育や鎖に繋いでの飼育、ゲージや犬小屋などの限られたスペースでの飼育は違法または動物虐待と見なされ、警察やアニマルコントロールから警告を受け、改善が見られない場合は罰金や奉仕活動への参加、ひどい場合には裁判沙汰にまで進展することがあります。
この法律の背景には、アメリカは狂犬病の発生国であることもあり、なるべく犬がアライグマなどの狂犬病を保持する野生動物と触れ合う機会や、人を噛む機会、噛まれる機会を減らすためとも言われています。
次回は、
TNR(地域猫)について
【Dear Paws】
「アメリカの動物事情」より 2013/3/8引用
【注意】このテキストは2010年9月の情報です。告知なく変更や訂正をする事があります。また、文中アメリカと表現していますが対象はメリーランド州に限定しています。アメリカの動物に対する取り組みや考え方は州法や自治体、生活形態により違いがあるため、内容が全米に共通している訳ではありません。
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