前回「ウチのコの体質診断をしてみよう!~陰陽編~」では、体質を大きく2つに分けて陰虚、陽虚についてお伝えしました。
ここからは、もう少し細かく中医学(中国の医学)における薬膳の基本的な考え方、「気・血・水 (き・けつ・すい)」の体を構成している3要素からの体質診断をお話ししていきます。
まずは『気』についてです。
『気滞』の体質『気虚』の体質
気滞…エネルギーがうまく体を巡っていない状態
気虚…エネルギーが足りない状態(気虚が進むと陽虚になります)
「気」は、目に見えないのでとても漠然とした感じがしますよね。
でも、「元気」や「病は気から」という言葉があるように、「気」は、心と身体の健康を保つためにとても大切なものです。
まずチェックしてみよう!
【 気滞チェック 】
1~2つ当てはまるなら「気滞気味」・3つ以上は「気滞」
◎舌の周辺が赤い(特に両端が赤くなります)
◎張るような痛み(あちこち痛がります)
◎触れられるのを嫌がる
◎お腹にガスが溜まりやすい(よくオナラがでる)
◎便秘しやすい
◎嘔吐しやすい
◎目の充血(黒い目やにが出ることも)
◎ため息が多い
◎春になると調子が悪い
気滞は「肝の滞り」と言われています。
*「肝の滞り」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください↓↓
ゆるっとワンコ薬膳のススメ 第6回 ~もうすぐ春ですね!~
《レピシ紹介》元気に春をむかえる準備を! 「目鯛と香の物のおじや」「サメと菜の花のポタージュ」
ゆるっとワンコ薬膳のススメ 第7回 ~五臓のお話 『肝』~
《レピシ紹介》春のレシピ 「春野菜とマグロで超☆肝ケアおじや」
肝が滞ると目の充血が出たりイライラしたり、皮膚の伸びも悪くなります。
肝は、筋肉にも関わってきます。
「うちの子、太ってるだけだし…」「シニアだしねえ」「運動好きじゃないからかなあ」「筋肉質だし」と思っていたものが、実は気滞ということもあります。
黒や赤い目やにはよく見かけますが、肝から出た熱(肝熱)が上って上って目から涙などの体液と共に出た結果ということも。
「肝の滞り」には、上から下へ身体をしっかり撫でさするだけでもケアになります。
愛犬の身体を優しくマッサージしてあげてください。
また、食べものでは、米麹のみの甘酒や陳皮(ミカンの皮)が「肝の滞り」対策に効果的です。
【 気虚チェック 】
1~2つ当てはまるなら「気虚気味」・3つ以上は「気虚」
◎舌が白っぽい、以前より白くなった(だらんとして締まりがない事も)
◎疲れやすく、動きたがらない
◎反応が鈍い
◎食欲が無い
◎足先が冷たい
◎病気にかかりやすい(病気と闘う力のない子が多いです)
◎お腹を壊しやすい
◎出血しやすい(下血や鼻血など)
◎足腰に力が入らない(靭帯の緩みも)
◎肉球に張りがない、弾力が無い
気虚のワンコは、ものすごく大人しかったり、運動が嫌いだったり、ほとんど動かない子が多いです。
そんな犬は「運動だ!!」と頑張らせてしまうことは、厳禁!
さらに「気」を使って身体の力が弱くなってしまいます。
気虚は、エネルギー不足からおこります。
先ずは、消化の良い吸収しやすい食事(米や芋類がおススメ)
お腹や腰が冷えていたら、身体を温めるてあげてください。
活動的な子でも、
・長期療養や入院した
・アジリティなどの競技をする
犬は、要注意です。
入院中は、大量の気を失い、運動量が多いとエネルギー不足になりがちです。
「気」と「血」が不足状態の「気血両虚」になる可能性があります。
舌の列紋が深いほど、疲労が大きいことを示しています。
列紋にそって舌に亀裂があったら、身体が相当疲れている状態です。
入院は、できるだけ短く。
競技をする犬は、「気」「血」を補充する食材の手作りご飯でエネルギーを補えるようにしていきたいですね。
『気滞』と『気虚』それぞれのケアの仕方
【 気滞のケア 】
エネルギーがスムーズに全身をめぐりにくい状態な『気滞』
気滞は、「血」「水」の流れも悪くなってしまい、さまざまな臓器の機能を低下させてしまう事があります。
「あれ?うちの子、気滞かも?」と思ったら、まず犬の身体を上から下に優しく撫で摩ってあげて下さい。
エネルギーを上から下に、四肢へと流して行き渡らせるイメージです。
気滞のワンコは「肝」という場所が滞ってる事が多いです。
「リラックス」と「適度な運動」、そして最も大切なのがしっかり寝ること「睡眠」です。
あまり深夜まで明るい部屋で遊ばせていると、自律神経がみだれてイライラや不調の原因となります。
明るい部屋にゲージがある場合は、ケージに布をかけてたり(暑くならない程度に)、照明を暗めにしてあげ、犬が寝れる環境をつくってあげて下さい。
◎気滞に良い食べ物
・香りの強いもの
… セロリがとてもおすすめ!肝の流れを良くして精神を安定させてくれます。
・米麹
… 米麹のみの甘酒が与えやすいです。
シニア犬や療養中の犬、競技を頑張る犬のエネルギー補給に!
・柑橘系
… 果肉ではなく、皮を使います。
みかんの皮「陳皮(ちんぴ)」は漢方の生薬として購入できます。
ご飯に少しかけてあげる程度でOK。
【 気虚のケア 】
気虚とはエネルギーが不足している状態です。
体を守るパワーが不足しているので、冷えやすかったり体調を崩しやすかったりします。
気虚のワンコは胃の弱い子も多いので、消化の良い食事で胃の負担を軽くしてあげて下さい。
できたら手作りごはんをミキサーにかけて、ペーストにしてあげると消化吸収されやすいのでおすすめです。
油分の多いドッグフードは、お腹に負担がかかりやすくなります。
身体が冷えていることも多いので、お腹や腰が冷えていたら腹巻きなどで温めてあげましょう。
日向ぼっこなど全身を温め、エネルギーを補充してあげてください。
◎気虚に良い食べ物
お腹を温め、消化も良く、気を補ってくれる食材
・米
・ジャガイモなどの芋類
・かぼちゃ
・鶏
・豚
・牛肉
ただ、お米は「湿」の性質もあり、食べ過ぎると水を体に溜め込んでしまいます。
お米は、手作りごはん全量の1/4程度に収めて下さい。