これまで『ゆるっとワンコ薬膳のススメ』で、季節ごとに気をつけることやさまざまな食材の効能など、薬膳のことを知っていくと気になるのがウチのコの体質です。
「病院で検査しても何も言われないけど、どんな体質なのかしら、、、」
と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は薬膳レシピ紹介をお休みして「体質診断」についてお話しします。
小珠はどっちかな~?
『陽虚』の体質と『陰虚』の体質
『陽虚』… 体を温める力が不足している状態
『陰虚』… 体を冷やす力が不足している状態
「え?体を冷やすなんて悪いんじゃないの?陰なんて、暗そうだし」
そう考える方もいらっしゃるかもしれませんが、『体を冷やす力』も大切な要素です。
体の異常な火照りや熱は、アトピー性皮膚炎の引き金になりますし、血液や体液は「陰から作られる」とも言われています。
「体を温める力」と「体を冷やす力」どちらも欠かせず『バランス』をとることです。
まずチェックしてみよう!
【 陽虚チェック 】
1~2つ当てはまるなら「陽虚気味」・3つ以上は「陽虚」
◎舌が白い又は青い
薄くてピンクの舌が健康な証です。
その舌が、白かったり青かったり、ボテっと厚みがあったり、舌の中央のラインが見えない。
舌に歯形が付いているのは、浮腫みです。
◎寒がる
体が冷えていませんか?
頭の辺りは熱くても、足先や腰から下が冷えているのは要注意です。
肉球が浮腫んでパンパンなコも多いです。
◎顔に気力が無い・活力が無い
◎食欲が無い
体が冷えていて、お腹がうまく動かなかったり、内臓に余分なお水が溜まっていて食べられないのかも?
◎軟便・下痢しやすい
冷えると腸の動きも悪くなります。
◎毛の艶が無い
冷えは胃の動きも悪くしてしまいますので、毛艶も悪くなります。
◎動きたがらない
◎腹部が冷たい
「舌は嘘をつかない」と言われるほど、舌は内臓の様子を表してくれます。
なかなか舌を見せてくれないコのときは、舌を出した時に連写して写真撮影を出来たら良いですね。
我が家の小珠のように、あまりお口を開けないコは難しいです…
小珠の写真をみると浮腫んではいませんが、舌は白くて陽虚ですね。
※チャウチャウの舌は特殊で、元々紫だそうです。
紫だけど、白っぽくないか、歯形が付いてないかを観察してあげてください。
舌が見れないときは、肉球でも診断出来ます。
しっかりと張りがあり、窪みもある肉球は健康の証です。
浮腫んでいるコはパンパンに膨らんでいたり、冷えている事が多いです。
赤丸の部分に窪みがあるのが見えますでしょうか?
写真の窪みが見えないのは浮腫んでいる状態です。
幸い小珠は、浮腫んでないようです。
【 陰虚チェック 】
1~2つ当てはまるなら「陰虚気味」・3つ以上は「陰虚」
◎舌が赤くて細い
◎四肢の火照り
良く足先を舐めている場合は要注意です。
熱を冷まそうとして、熱くて痒くて舐めている事が多いです。
肉球が赤くなっていたり、カサカサ、湿疹が出たりします。
◎暑がり
熱を上手く出せないので暑がりです。
◎口や喉が渇きやすい・水を頻繁に飲む
◎空咳
心臓の疾患の場合もありますので、空咳は必ず検査を受けて下さい。
心臓に何もなければ肺や気管が乾いています。
◎皮膚、被毛、目、鼻、口の乾燥
お口の周りや目ヤニが赤や黒くなったりします。
透明なのは冷えです。
◎便秘
腸に潤いが足りないので、便秘になりやすいです。
◎精神不安定、イライラ
◎運動していない、暑くないのに脈が早い
『陽虚』と『陰虚』それぞれのケアの仕方
【 陽虚のケア 】
『陽虚』の体質の犬は、体が冷えて浮腫んでいることが多いです。
体を優しく上から下へと撫でてあげたり、皮膚を動かす様にマッサージしてあげてください。
尻尾の付け根に膀胱のツボがありますので、そこを前後にこするようにマッサージしてあげたり、温灸や小豆パック(人間用でもOK)で温めてあげると、それだけでオシッコがしっかり出る事が多いです。
病気や老齢で排尿がしづらくなっている犬にも有効です。
圧迫排尿する前に、是非お試し下さい。
「ウチのコ、太ってるのか水太りして浮腫んでるのか分からない…」
そんな時は、よく触ってみましょう。
脂肪太りのコは「プヨプヨ」、水太りして浮腫んでるコは「パンパン」です。
優しくマッサージして、お水を流してあげて下さいね。
※カイロを使う場合
絶対に直接犬に貼らず、飼い主さんが手に持って当ててください。
お洋服や腹巻きの上からでも長時間の使用は、低温やけどの原因となります。
15分程度温めれば充分です。
【 陰虚のケア 】
気温が上がってくる季節は、皮膚病を発症する犬が多くなります。
そして、その原因が『陰虚』にある場合もあります。
身体の熱は、出口を求めてお肌をカサカサにしたり、ベタベタにしたり、湿疹にしたり、真っ赤になったり、慢性化してしまうこともあります。
ステロイドは、「とにかく今!このコの辛いのを止めてあげたい!」ときに有効です。
薬と同時に、薬膳や漢方を使うと自力で熱を出せる様になり、症状の軽減が期待できるでしょう。
「陽虚」「陰虚」になる前に、バランスをとって改善させてあがるのがいちばん!
最近は、ペット用の漢方も相談に乗ってくれる漢方薬局も増えてきました。
お悩みの方は、是非「ウチのコの調合」をお試しください。
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「女性は年齢を重ねる毎に『陰虚』に傾く」とも言われています。
出産や授乳、手術やケガで血を失う事で陰虚になり、体調が変化することがあります。
犬はちろん、家族でも思い当たることがある場合は、しっかりと血を作るものを食べさせて、補給してあげて下さい。
陽虚・陰虚に関わらず体質を観察するとき、「何がきっかけでそうなったかな?」をメモしておくと、体を整えるヒントが見えてくるかもしれませんね。
今回は、ざっくり陰と陽のふたつの体質についてお話ししました。
中医学の体質診断は、この他にも『気血水の滞り』などもっと細かく分かれています。
続きは、次回お話させていただきます。