健康・病気

ペットの医療・健康 第5回 ペットがかかるアレルギーについて

 ペットの医療・健康

 第5回「ペットがかかるアレルギーについて」


 私たちの生活で悩ましいものの一つ、アレルギー。第5・6回は、ペットと人のアレルギーについてお伝えしていきます。

 ペットに関するアレルギーにはまずペットたちがかかるものと、犬や猫などのペットと暮らす人間がかかるものとがあります。どちらも近年増えており、アレルギー反応を引き起こす免疫系のしくみは人も動物も基本的に同じです。

ペットたちがかかるアレルギー

 近年、ペットも人間と同様、花粉症を含むアレルギーが急増中です。飼い主さんとペットが共にアレルギーに苦しんでいるご家庭もあるかもしれません。現在、ペットとして飼われているすべての犬の15%がアトピー性疾患を抱えており、そのうちの9%が重い症状であるといわれています。アレルギーは犬や猫に限らず、ウサギやハムスターなどの小動物、鳥などでも起こります。アレルギー反応は、原因となる物資(アレルゲン)を吸い込んだり食べたり、接触することなどによって起こります。免疫系が異常に反応して、かゆみやくしゃみなどの症状が出てきます。中には命に関わるほどの症状が出る場合があり、あなどれません。

 ペットのアレルギー症状で一番多いのはアトピー性皮膚炎で、その半数はダニが原因とされています。アレルギーにかかるペットの大半は遺伝性の原因物質(アレルゲン)に応じて発症し、継続的なアレルゲンとの接触により症状が明らかになってきます。

アレルギーかな…?と思われる兆候

 特定の兆候などはありませんが、アレルギーにかかったペットは一般的に、顔をこすったり、体を引っかいたり噛んだりし始めます。かゆみなどの症状は目、口、耳の周り、体の側面、お尻周辺、足の裏などに特によく出ます。もしそのような行動をとっていたらアレルギーが原因かもしれないので、動物病院でアレルゲンを識別するための検査を受けるとよいでしょう。最近は体毛の郵送でアレルギー診断を行ってくれるサービスもあり、動物病院になかなか通えない飼い主さんや、病院へ行きたがらないペットにはこういった診断を利用するのも手っ取り早い方法でしょう。

ペットのアレルギーを引き起こす原因

 アレルギーにかかりやすい時期について考えてみましょう。アレルゲンが牛肉や牛乳、卵や小麦などの食物であったり、ハウスダストやダニ、胞子のような一般的ものの場合は、時期を問わず1年中発生させる可能性があります。植物の花粉などがアレルゲンの場合は、受粉期間に当たる数か月間に多くなるでしょう。杉やヒノキがアレルゲンとなることが多い人間と違って、犬の場合はブタクサなどの雑草が原因であることが多いようです。ブタクサの受粉ピーク期間は8月から10月ごろですが、花粉を出している期間が杉やヒノキに比べて長いため、これも通年で対策が必要です。

ペットのアレルギー治療

 アレルギーは、アレルゲンを摂取せず、アレルゲンと接触しないことである程度の対策はできますが、遺伝的要素があるために残念ながら完全に防ぐ方法はありません。現状、いくつかの治療法を組み合わせて行われることが多いです。症状がひどくない場合は、アレルゲンとの接触を断ち、症状をコントロールする投薬療法などがあり、症状が重い場合や通年で発症している場合は、アレルギー注射など特定の免疫療法が必要になる可能性があります。治療法については副作用も含め、かかりつけの動物病院で相談するのがよいでしょう。

 犬のアレルギー治療に使われるステロイドは、かゆみなどを沈静化させられますが、アレルギーを改善することはなく、あくまで対症療法です。かゆみが収まっても、アレルギーが完治したわけではありません。特効薬のない中では致し方のないことかもしれませんが、ステロイド治療についてはその危険性についても十分な説明を受け、納得して行うことをお勧めします。また、最近では少数ながらアレルギーを直すための体質改善療法を推奨し、行っている病院もあります。効果が現れるまでには長い期間を必要としますが、アレルギーと向き合い、根治させる目的であるという点では画期的だと言えるでしょう。

ペットのアレルギー対策に

 日常生活でできるアレルギー対策としては、室内の換気を良くし、清潔に保っておくことがまず挙げられます。ダニや真菌類、カビの対策のため、カーペットは掃除機をよくかけるか、フローリングなどに替えるのもよいでしょう。花粉対策は、飛散時期を把握し、多い日は外出を控えたり犬用マスクを使ったり、 散歩の後にはペットを軽く洗うことも効果的です。食物アレルギーがある場合はアレルゲンを含む食物を避けることに加え、薬や土など意外なものからもアレルギー反応が出る場合があることを踏まえておきましょう。

 その他、突然死を起こすこともあるアナフィラキシーショックへの注意も必要です。人間と同じく、自然治癒力を活性化させるため、普段から添加物の入っていないバランス良い食事を与えることが大切なのです。

 次回は人間のペットアレルギーについてお話ししていきたいと思います。

[goron_pagenavi]

このエントリーをはてなブックマークに追加 twitterこの記事をTwitterでみんなに教える。  

▲TOP
アバター

goron

投稿者の記事一覧

GORON スタッフ

関連記事

  1. ゆるっとワンコ薬膳のススメ 〜 がん(悪性腫瘍)のケア 〜 治療…
  2. ゆるっとワンコ薬膳のススメ ~今、ワンコはどんな顔してる?顔で見…
  3. ゆるっとわんこ薬膳のススメ 〜今年も注意!!熱中症を防ごう〜 《…
  4. ゆるっとワンコ薬膳のススメ 〜愛犬と一緒に体質診断 ~ 3
  5. 同伴出勤する猫「うにたん」完全介護の実体験コラム 第1回スコティ…
  6. ゆるっとワンコ薬膳のススメ 腎ケアと《レシピ紹介》お腹も温める冬…
  7. ゆるっとワンコ薬膳のススメ 〜しつこい「湿熱」を追い出そう!~《…
  8. 膀胱炎の話

今月の人気ランキング

PAGE TOP