乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬の熱中症や脱水症状を防ぐ方法をお伝えします。
近年の夏の暑さはとても厳しく、暑さが苦手な馬にとっても辛い季節です。
人と同じように馬も熱中症になります。
まず基本的に
馬の熱中症や脱水症状を防ぐには、暑い時間に運動をしたり、放牧をしたり、日の当たる所に長時間立たせないようにします。
また、いつでも新鮮できれいな水を飲めるようにしておくことも大切です。
水をあまり飲まない馬の場合は、水分含有量が高めの乾草(ヘイレージ)に切り替えることをお勧めします。
これにより馬に水分が供給され、疝痛のリスクが軽減される可能性があります。
暑い日に運動した後は
できるだけ早く馬を徹底的に冷やして汗をかき続けないようにします。
冷たすぎない水(もしくはぬるま湯)で足元から徐々に上の方をシャワーで冷やします。
股の間を冷やすと、体温の上昇を防ぐことができると言われています。
馬の発汗が止まると、脱水症状も軽減されます。
熱中症予防のために馬にとっても大切な「電解質」
電解質は、汗によって失われる体内の必須塩分を補充するために使用する必要があります。
電解質はナトリウムやカリウムで、神経と筋肉の機能調節をします。
人も馬も汗をかくことによって体温調節をしますが、その汗の元となるのが水分と電解質です。
そのため電解質が足りなくなると、体温が下がりにくくなり、脱水症状に陥りやすくなります。
脱水状態の判断方法
馬が脱水状態か調べる方法としては血液検査の他に、濃い色の尿が出る馬、またはしばらく排尿していなかったり、粘膜が充血し外観が赤くなっている場合は注意が必要です。
よく、首の皮膚をつまんで、元に戻るまでの時間を見て脱水かどうかテストする方法が行われていますが、最近の研究ではこのテストはあまり当てにならないということがわかってきたそうです。
馬は、発汗によって熱を逃がすことに高度に適応しており、他のどの動物よりも効率的に熱を逃がすと言われています。
運動時は汗だけでなく呼吸数の増加によっても熱が放散されます。熱は、逃せますがどちらも馬の水分は失われてしまいます。
馬の汗は、体液より多くの塩分が含まれているので、発汗した馬は水分よりも多くの電解質を失います。
馬の運動内容や環境によっても違いますが、馬は最大で1 時間あたり15 リットルも発汗するそうです。人と同じでその際に水だけ補給すると、体内の塩分濃度が薄まり、熱けいれんなど熱中症の危険が増します。
そのため、発汗時や脱水になりやすい季節には水分だけでなく適切な電解質を一緒に摂取させる事が大切です。具体的には電解質サプリメントや塩を飼料に混ぜて与えたり、アップルサイダービネガーを薄めて与えたりします。
暑くて辛いのは人間だけでなく、馬も同じかもっと辛いです。
暑い時期は特に馬の健康に配慮して、安全に乗馬を楽しみましょうね。