これからのペットと共に暮らす住まいのかたちとは?
その在り方を探るシリーズ「これからのパートナー(犬・猫)と暮らす住まい ~多様なライフスタイルに対応できる間取り~」
今回のテーマは、「ずっと一緒にパートナーと過ごせる住まい」
第1回「留守中も安心な住まい」と同じく、下記の基本プランをもとに、ライフスタイルに合わせた住まい方を考えていきます。
【ペット対応型集合住宅・57㎡】
間取り:3ROOM+水回り+HALL+WIC+用途を限定しない3つの「ROOM」。
世代やライフスタイルに合わせて使い方は自由です。
各部屋同士はゆるやかに仕切られ、ROOM1、ROOM2、ROOM3の間は施錠が可能です。
「ずっと一緒にパートナーと過ごせる住まい」=「飼い主とパートナー(犬・猫)がうまく共存して暮らせる住まい」
具体例として、次の2つのケースで考えてみます。
【CASE1】 飼い主が家で仕事をするSOHOづかいの住まい方
【CASE2】 シニア世代の在宅介護サービスが必要となる家での住まい方
CASE1 飼い主が家で仕事をするSOHOづかいの住まい方
【飼い主の想定】 30代男性(Webデザイナー)+犬2匹
これまでWebデザイン会社に勤務、昼夜不規則な仕事環境で愛犬たちを長時間留守にする生活が続いていた。
その後仕事の経験を積み、めどがついたところでいよいよ独立することに。
愛犬=パートナーと過ごす時間を大切にする働き方を選択し、自宅の中にSOHOスペースを持つ職住一体のライフスタイルとなった。
【部屋の使い方】 ROOM1をSOHOスペースに
*玄関ホールと一体的につながるROOM1をSOHO=仕事場として使用します。
プライベート空間とゆるやかに区切られた仕事環境が確保できます。
パートナー(犬)は、飼い主が仕事中は開け放した室内の思い思いの場所でつかずはなれずの距離で休み、一緒に過ごします。
*仕事の来客時には、ROOM3をペットスペースに
ダイニングルームのROOM2が打ち合わせスペースとします。
愛犬、ROOM3に移動させ、ペットスペースとして使用します。
パートナー(犬)と飼い主は、状況に応じてお互いの居場所が確保できる。
ストレスの少ない環境でいつも一緒に過ごしていられます。
CASE2 シニア世代の在宅介護サービスが必要となる家での住まい方
【飼い主の想定】 80代父親(要介護2)と50代娘(独身・会社員) +犬1匹
要介護の父親と会社員の娘の二人暮らし。
父親は日常生活の部分的な介護が必要となり、在宅介護サービスを利用、週に3回ほど
介護ヘルパーの方に訪問してもらっている。
娘は平日は会社勤務、母が他界後、父と、母が大事にしていた愛犬と同居生活をすることになった。
【部屋の使い方】お互いの居場所を持つ同居生活を
*玄関と水回りに近いROOM1を父親が過ごす介護スペースに使用します
ROOM1は、LDゾーンとひとつづきにできるので閉塞感がない。
介護ヘルパーは、動線が短いことで介護サービスがし易く、状況に応じてプライベートゾーンと分離することができます。
*介護ヘルパー訪問時は、ROOM3をペットスペースに
介護ヘルパー訪問時に、ペットが吠える・興奮するなどの行動は、近隣への配慮、また作業をよりスムーズに行えうためになるべく防ぎたいものです。
そこで、介護ヘルパー訪問時は、予め玄関から一番離れた位置のROOM3をペットスペースとして区切りパートナー(犬)を避難、犬が安心して過ごせる居場所とします。
まとめ
連載2回にわたり「多様なライフスタイルに対応できる間取り」というテーマで具体例を紹介してきました。
ペットの室内飼育が主流となり、飼い主の家族構成やライフスタイルが多様化している現在。
具体例とした
・長時間留守番をする
・職住一体の住環境で暮らす
・介護サービスの必要な家庭で暮らす
など、犬・猫の立場からも生活環境が多様化しているといえるでしょう。
ライフスタイルが多様化に伴い、パートナー(犬・猫)と暮らす住まいの在り方も多様になり、よりふさわしいかたちが求められています。
人もパートナー(犬・猫)も快適に、無理なく安心して暮らすことのできる住まいとは?
この問いに決まった正解がなく、その家族のライフスタイル、そこにいるペットの性質によって、導き出される答えは違い、それぞれにふさわしい対応と解決策が求められるのです。
しかし、集合住宅やマンションなどあらかじめ用意され画一的な間取りの住まいでは、それぞれの家庭ごとに対応することは難しく、一時的な対策やペット向けの設備・建材を使い「ペット共生型」の住まいとすることが多いのが現状です。
より具体的に生活の状況をイメージし想定することで、画一的な間取りでありながら、様々な住まい方のバリエーションが展開できないか?
たったひとつの間取りから多様なライフスタイルやパートナー(犬・猫)との生活に対応することはできないか?
そのようなテーマを改めて追求したのが今回の試みで、その一案がご紹介した間取りです。
パートナー(犬・猫)と暮らす住まい方の例をいくつかご紹介してきましたが、同じ間取りから、また違った住まい方を見いだせるかもしれません。
大事なパートナー(犬・猫)との暮らし。
どんな住まい方ができそうですか?
ご自身のケースに照らし合わせて想像してみてください。