本連載では、これまで、遠山さんのペットのお話や、設計のお話などについてお伺いしてきました。今回は、しめくくりとして、ペットと人との共生や、今後のお仕事などについてのお話をお伝えします。
ともに暮らすために
- ペット共生住宅の最近の設計ではどのようなことを考えていますか。
トイレを居間に置いても大丈夫なように、換気設備をつけています。居間の空気の流れを考えて、ペットのトイレに換気扇をつけてにおいが外部に出て行くようにしています。
公共のドッグランが少ないので、共生住宅にはドッグランも備えています。散歩がわりに遊ばせておくことができます。
壁の見切材を床から1mくらいのところに設けて、壁紙を下だけ交換できるようにもしています。修理代を安くするための配慮だったんです。以前のものは見切材が太めでしたが、最近はそれを細めにして、目立たないようにしています。
床材は新技術ではないのですが、尿が染み込まないようなシートになっています。
- ガーデニングなどはどうなのでしょうか。
特別にペットのため、というものはないのですが、芝生にすると犬が走りやすく、泥を家に持ち込まないので、よく使われます。木のチップを敷いたりもします。足の裏にもやさしいですね。
- 犬や猫、動物にまつわる社会的な課題についてはどう考えていらっしゃいますか。犬を捨てたり、それにともなう殺処分、しつけの問題などがよく話に上がりますが。
動物を捨てることが罪であるように、法律を変えないとだめだと思います。処分する、ということは犬を捨てる人がいる、ということですから。根本のところをやめさせないと、解決しないのではないでしょうか。
しつけはまずショップで、買ったときに講習を受けられるようにするのがよいと思います。簡単なものでよいので、初歩的な知識だけは飼い主に伝えていくべきでしょうね。
実際に犬を飼っている方は、犬をとても大事にしています。一部の捨てている人たちが問題なのだと思います。
ペットにも人にもストレスのない設計
- 最後にぜひ、お仕事のPRや今後の目標などをお聞かせください。
ペットにも人間にもストレスのない住宅の設計をすることはできます。
住宅の設計に力を入れていますので、これからも手がけていきたいと考えています。建築家に設計を頼むと「高くつきそう」という印象をもたれるかもしれませんが、建築費の入札見積もりを取りますので、建設会社間の競争が働くので結果的には安くなります。
また、工務店や建売では扱いたがらない斜面地に家を建てたりすることもできます。この家もエントランスから庭まで3m以上下がっています。でも、気づかないような作りになっています。このような斜面地に家を建てると、基礎にコンクリートを入れて平らにしたりと考えてしまうところですが、斜面をそのままうまく活かすことによってコストも抑えることができます。地価も安いので、全体的にも安く仕上げることができます。
お客様の要望を細かく聞いて、いちばんよい答えを出すことができます。
この家を建ててから、斜面地のご依頼が増えました。K邸もH邸もそうなんです。一戸建ては大きな家のご依頼が多いですね。
マンションでは敷地の限られたものも扱っています。目黒のマンションでは、北面に目黒公園があり、北向きに窓を取っています。北向きですと暗くなる印象があると思いますが、水周りなどもガラスを使って、景色がよく見えるようにし、明るく見せるようにしています。
また別の物件では、都会のマンションで住宅地のなかにありますので、吹き抜けや中庭を設けています。お風呂を中庭に向けて設置して、都心のマンションにもかかわらず、窓を開けっぱなしにしながらお風呂に入れるような設計をしています。中庭に光が入り、視界が抜けるように工夫しています。