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犬と暮らす家づくり 第4回 人間が快適なら犬も快適

犬と暮らす家づくり

第4回 人間が快適なら犬も快適

遠山 信夫(建築家)


 前回は、遠山さんやお客様のご邸宅の設計についてお話をおうかがいしました。今回も引き続き、ペットと人に快適な家づくりについて、お話をお伝えします。

 犬と楽しく暮らすくふう

- 設計のくふうとしては、犬が優先なのでしょうか。

ヨークシャテリアのタロウちゃん

 ヨークシャー・テリアと楽しく暮らせるくふうが、この家の設計ではなされています。

 以前のすまいがメゾネットでベッドが2階にあったんです。そうすると犬が階段を怖がって、上にあがっていけないんですね。

 そこで、この家では平屋にしようと考えました。階段もゆったり作っています。小さい犬を飼うためのくふうでしょうか。

 人間が快適なら犬も快適

- 人にとってよい設計点としてはどんなところがありますか。

 家のなかに暑いところや寒いところを作らず、平屋で家の中を動きやすくしています。廊下に出ると寒いとか、トイレに行くときは寒いとか、よくありますよね。そういう不便のないように考えています。つながれた空間になるように、部屋と部屋も仕切っていないんです。玄関から内側はすべてつながっています。全体が同じくらいの温度になるようにしています。空調代が心配かもしれませんが、それほどでもなく多少よけいにかかるくらいなんです。

遠山邸リビングルーム

リビングルーム: 他の部屋ともつながっており家の中を動きやすい

 アドバンスネットさんと作成しているペット共生住宅のマンションプランでも同じ考え方です。家の中が同じ温度になるようにして、ペットも人も自由に家中を動き回ることができます。玄関など、ペットが入れないようにする場所にだけドアを設置します。

 人間が快適なら犬も快適という考え方で設計をしています。そして、犬も子どもも似たようなところがあると思います。入れない場所を作ったり、動き回れる場所を作ったり・・・。

- 足洗い場などはどうですか。

 この家の足洗い場は、あまり使っていないんです。一日中、何度も庭に出たり、部屋に入ってきたりの繰り返しですので、足を洗っているときりがないんですね。ですので、タイルが汚れたらモップで拭くようにしています。そういうところに気を使わなくてよい仕上げにしています。

 

 共生へと向かう生活スタイル

- 家を建てられた方々のお考えはいかがでしょうか。

ソファに横たわるアンとタロウ

 犬を飼われている方は、共生住宅という意識はないと思います。それが当たり前になっているという感じです。泥がついても過ごしやすいタイル床も、意識せず自然に選んでいらっしゃいます。特段「犬のために」という言葉がでてくるわけでもないんですね。それが当たり前になっているのでしょうね。

 また、賃貸で犬を飼っている方も、やはりいずれは一戸建てに住みたいと考えていらっしゃるのではないかと思います。

 いまは一戸建ての方でも、家の外で飼う方は少ないですよね。自然に「共生」の方向に進んでいるのでしょうね。病気になったらちゃんと病院に連れていったり、家族のようになっていますよね。

犬と暮らす家づくり
第3回 傾斜地を活かす家づくり

犬と暮らす家づくり
第5回 ともに暮らすために

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遠山信夫

投稿者の記事一覧

(とおやま のぶお)

建築家/一級建築士

ADD都市建築事務所を経て、2007年、神奈川県相模原市に遠山信夫アトリエ設立。
 1989年新建築社主催「都市の自然を呼吸する住まい」優秀賞受賞。
 作品掲載歴・テレビ取材歴に、『建築家の自邸2』(えい出版社)、『Esquire 2003年11月号
』(エスクァイアマガジンジャパン)、『犬と住む家 Vol2』(学研)、『シンプルスタイルのインテリア』(成美堂出版)、『いつかは住みたい憧れのインテリア』(成美堂出版)、『デザインリフォーム』(芸文社)、『建物探訪』(テレビ朝日、2003年)、『イブニングファイブ』(TBS、2007年)などがある。

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