多様化するペットの飼育状況
一般社団法人ペットフード協会の平成29年全国犬猫飼育実態調査によると、犬の飼育頭数は2013年より減少傾向にあり、猫の飼育数が犬の飼育数を上回りました。
一方、日本人の世帯状況は、単独世帯と夫婦二人世帯(高齢夫婦を含む)が増加の傾向にあります。
人口の減少や少子高齢化による世帯割合の変化、ライフスタイルや価値観の変化により、家族の在り方も多様化しています。
それにより、ペットを飼う家庭の家族構成や飼育状況も多様化していると考えます。
求められる飼育サービスは?
同じく、ペットフード協会による実態調査によるとペットを飼うにあたって「あったらいいなと思う飼育サービス」は
どの世代でも上位にあがったのは「旅行中や外出中の世話代行サービス」でした。
また、50代以降の世代では「高齢で飼育不可能な場合の受入施設提供サービス」が大きな割合を占めていました。
この調査から、ペットを飼いたくても環境やサービスが整わず飼えない、という層が潜在的に存在すること、また高齢の方は、自分の健康とともにペットを生涯飼育できるか不安を抱えている、という状況が読み取れます。
これからのパートナー(犬・猫)と暮らす、住まいのかたちとは?
もはやペットは家族同然と言っていいほどの存在。
そんな愛犬、愛猫(=パートナー)と、できることならずっと一緒に長く過ごしたいけれど、実際は共働きで日中は留守にしがち。
その他様々な要因で、家で飼い主を待ち続けお留守番をしているパートナーも増えているのは事実です。
ではこのような理想と現実の中で、今後どのようなパートナーと暮らす住まいのかたちが求められるのでしょう。
上の調査でもわかるように
ペットサービスとして、世話代行=ペットシッターなどの需要が今後高まることが予想されます。
それと並行して、留守番をするパートナーが安心して過ごせる、また留守をする飼い主も安心できる住まいのかたちが求められ、必要となるのではないでしょうか。
パートナーと暮らすこれからの住まいとしての理想のかたちとは?
今回はその一例として、
集合住宅の基本プランをもとに「多様なライフスタイルに対応できる住まい」というテーマで考えてみました。
まず、第1回目は「留守中も安心な住まい」をご紹介します。
*基本プランのスペック*
【ペット対応型集合住宅・57㎡】 間取り:3ROOM+水回り+HALL+WIC
・用途を限定しない3つの「ROOM」
・世代やライフスタイルに合わせて使い方は自由です。
・各部屋同士はゆるやかに仕切られ、ROOM1、ROOM2、ROOM3の間は施錠が可能です。
【飼い主の想定】30代共働き夫婦 +犬2匹
平日は夫婦共フルタイム勤務。なるべく早く仕事から帰ってきてあげたいが犬2匹を長時間留守番にさせてしまう日も。。そこで、夫婦で相談し、早く帰る日、仕事を頑張る日と曜日ごとにメリハリをつけて取り組むことに。遅くなる日は信頼できるペットシッターさんに2匹の世話とお散歩を頼みます。
● CASE1: 留守中も安心な住まい ROOM1をペットルームに!
玄関とつながるROOM1をパートナー(犬)専用のペットルームとして使用します。
シッターさんはペットルームと水回り、キッチンを使って世話をしてもらいます。
動線が近いので作業もスムーズ。
その他のエリアとは施錠することで住人のプライベートが守られます。
また、愛犬も留守中はペットルームのみで過ごします。
犬にとっては守らなければいけない、と考える行動範囲(テリトリー)を限定してあげることで、留守中のストレスを減らすことにもなります。
*―― ドッグコーチ里見潤さんからのわんポイントアドバイス ――*
CASE1は、玄関横PETROOMでの留守番でシッターさんのお世話のし易さ、施錠によるプライベートの確保など「人」にとってとても便利です。
でも、少しだけ「犬」の気持ちから考えてみると、人の導線に近い玄関横は、住人や宅配などが通る音や気配に警戒し、吠えが出やすくなる犬もいます。
そんな心配があるタイプの犬は、CASE2を!
● CASE2 : ROOM3のリビングで安心してお留守番
普段の生活場所(リビング)で留守番をした方が落ち着きやすくなります。
《 警戒心の強いパートナー(犬)の場合 》
留守中のストレスをなるべく減らしてあげることが肝心です。
外部の気配がする玄関に近いスペースに居ると落ち着かず、怯えから吠えが発生してしまうこともあります。
そのようなパートナーは、玄関から距離があり、いつも居る場所のリビングを区切り、お留守番ゾーンにすることで安心して過ごせます。
※その他、留守中に気をつけてあげたいこと
留守中の無駄吠えと愛犬のストレスを減らす対策として、ドアホンの音は消設定にしておくと安心です。
今回は、留守番をするパートナーと留守をする飼い主の両方が安心して暮らせる住まいの形の提案でした。
*―― ドッグコーチ里見潤さんからのメッセージ ――*
犬も1頭1頭みんな違います。
愛犬の性格やタイプによる向き不向きを把握して、留守番する部屋を決められるとよりいいですね!
~ 家族ができるサポートを! ~
事前にしっかりとした散歩、運動、排泄、食事をきちんと済ませておくことが何よりの留守番特効薬です。
「疲れた犬はいい犬」それはいたずらや留守中の吠えることが減るというだけでなく、留守番中に犬が穏やかに落ち着いて過ごす助けになります。玄関通路に面したPETROOM、プライベートゾーンとの施錠や留守番グッズなど忙しく多様にある家族の生活スタイルにとっての便利さを、犬にとっての快適と合わせて考え、実行することができれば、お互い楽しく過ごすことができるようのではないでしょうか。
第2回目は「ずっとパートナーと一緒にいられる家 SOHO使いを考える」をご紹介します。