アニマルライツ

鳥猟犬をたすけるために 第3回 クラシックバレエと挫折、夢

人と接する仕事に就きたかった

-歯科衛生士さんであることと、今のこちらの活動とはつながりはないようにみえますが、いまのご職業と、金子さんのこれまでのお話をお聞かせくださいますでしょうか。-

そうですね、現在の職業と犬の保護活動は、全く関係ないです。もう、物心ついた頃から、医療か教師かバレエの先生など、人と接したり、人に何かを教えたり、そのような仕事には就きたいと思っていました。ですから、夢というか、自分の目標というものには、向かってきたのです。挫折はしてきましたが・・・。挫折というのか、何というのか微妙ですね。

-最初は医学部などに行きたかったのでしょうか。-

 そうではなくて、私はもともと教師になりたかったんです。ですが、たまたま高校の時に歯科の健診のときに、歯科の器具を片付けたりしていたんです。そのときに、進路が決まらないという話を保健の先生にしたところ、歯科系の道に行ってみたらいいじゃないかと言われたんです。その保健の先生が、言語療法士がいいじゃないかとも言って探してくださっていたんです。

歯科衛生士専門学校 中央赤いエプロン
歯科衛生士専門学校 中央赤いエプロン

もともと、私は大学に進学するつもりはさらさらなくて、早く世の中にでて、自分の手に職をつけて働きたかったんです。でも希望した言語療法士、理学療法士などの学校を調べたらもうなくなっていて。言語療法士の学校は見つかったのですが、通うのにすごく遠くて、青梅の方まで行かなければならないということになって、歯科の担当していたそのときの先生が、君は歯医者の道に行けと。衛生士というのが今すごく数が少ないからって言われて、それで歯科衛生士の道に進んだのです。なぜかというと看護師は3年、でも歯科衛生士っていうのはその当時1年で国家試験が受けられたんですね。そうすると最短で世の中に早く出られる。まず外に出て働きたかったんです。それでその道を選んだわけです。

 

クラシックバレエの挫折

-さきほど、挫折という言葉をお聞きしましたが・・・。-

 親はクラシックバレエの先生です。そして姉も母のあとを継いでお教室を開いています。でも私自身は、中学3年生の時にその道から挫折してしまったのです。

中学3年の時、ロシアに行ったんですね。行って向こうの教室に入って、レッスンをするのですが、体格が違うんです。ルックスから、手足の長さ、柔軟性。バレエだと足の甲がぐにゅっと出ていないときれいにつま先が伸びないんですね。私は親がやっていたからバレエをやっていたというのもあって、真剣にやっていなかったんです。だけど、その親は進路を決めていくときに、娘が二人いるわけだから、教室を任せていきたかったわけです。

でも、私は宙ぶらりんにやってしまっていたので、ロシアに行ってもトンカチで頭を殴られたようにショックを受けてしまい、帰ってきてからバレエをすることが嫌になってしまいました。親に押しつけられたという意識になってしまって・・・。本当は、自分のせいなのですが・・・。それでバレエをやめて、医療の道に行きたいと強く思うようになっていたわけです。それで最短で早く、とにかく仕事をしてお金を稼ぎたいと・・・。

-ロシア留学というのは中学の時ですか。-

 留学と言っても、研修ですね。2,3週間のものですが。それで本当に自分で本気になって、うまくなってやる気があったら、親はロシアのバレエ団に子どもの頃から入れたかったんですね。やっぱり母は、バレエを継ぐ子を作りたかった。3歳の頃からやっていたので、姉も私も物心がついたら舞台の上という感じです。

ただ、姉は今でもバレエの先生をやっているんですね。途中、姉も挫折をしたのですが、本当に好きだったのだと思います。

結婚してから保護活動をはじめるちょっと前に、結婚を機にバレエをはじめました。その時は、母ではなく姉に教わりました。その時に、すごく嫌だったレッスンが姉のレッスンだと嫌じゃなくて、これだったら私もバレエを続けていたかもしれないって。

やっぱり教え方によっては、向き不向き、伸ばし方がちがう。とくに姉の場合、私の性格をよくわかっているのです。母もわかってはいるのですが、昔の人間ですから、やっぱりバレエの教室では、母ではなく本当に厳しいところがあるのです。

親に教わると言うのは、甘えもでるし、親も、子供だからといって、特別扱いしてはいけないと、よけい厳しく接するわけですが、姉に教わったときは、妹に変りはないのだから、楽しくお稽古をすることが一番だと、よくほめてくれましたね。

なので、本当に楽しかったです。

-今は、やっていらっしゃるのでしょうか。-

 今はやっていません。シェルターをやりだしてから、2年前に辞めました。本当に辞めたのは、35歳のとき。結婚して一人目の子ども、長男を産むというときです。産まないと離婚すると言われたので、これは一人産まなくちゃいけないということで、35歳の時に一人出産しましたが、その年までは踊っていました。子どもをちゃんと持つよと言ってから、バレエはやめました。

年子で二人目を産んだ後、やっぱりちょっとバレエが恋しくて、母の所にも姉のところにも行かず、もう甘えの教えというのはやめようと。自分がのびないじゃないですけど、ちがうバレエの教室に行ってみたくなって、すぐ近くにあるお教室に行き始めたのですが、これをやりだしたら、バレエで使う体力がなくなってしまって。バレエは断然ハードなので、無理だと思って2年前に辞めましたが、それまでは週に2,3回行っていました。楽しいですよ、本当に。

鳥猟犬をたすけるために
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第4回 いのちをまなぶこと

金子理絵

金子理絵

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(かねこ りえ)

コンパニオンアニマルクラブ市川代表

平成5年度より、千葉県市川市塩浜護岸沿いの捨て犬(三番瀬の犬達)をレスキュー。 平成20年度より千葉県動物愛護センター登録ボランティアとなりイングリッシュ・セッター、ポインターを主にレスキューをしている。
 職業は、歯科衛生士。
掲載:地元タウン紙に連載記事

コンパニオンアニマルクラブ市川ホームページ:http://cac-ichikawa.com/

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