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盲導犬を支援しよう ~第2回 補助犬の社会での受け入れ体制~


    


補助犬とは?

 そもそも盲導犬などの補助犬とは、どのような犬を指すのでしょうか。

 「身体障害者補助犬法」(2003年施行)では、補助犬を3つの分類に定義しています。「(1)盲導犬、(2)介助犬及び (3)聴導犬」です。
補助犬とはつまり、身体障害者の生活を手助けする犬を指しています。

 「盲導犬」は、目の見えない、または見えにくい人が街中を安全に歩けるように、段差や曲がり角、障害物などを教えます。「介助犬」は、手や足に障害がある人の日常生活の動作をサポートし、落とした物を拾ったり、ドアを開けたり、スイッチを押したりします。「聴導犬」は、耳が聞こえない人、聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。玄関のチャイムの音、電話やファックスの着信音などを聞き分けます。

 このような補助犬は、前述の「身体障害者補助犬法」で、公共施設をはじめ、飲食店、病院、宿泊施設などいろいろな場所で、補助犬を犬だからという理由で拒否せずに同伴者と一緒に受け入れることが義務付けられています。

 それにもかかわらず、“盲導犬使用者の7割以上の方が同伴拒否体験をしています。断られる理由として最も多いのが「衛生上の問題がある」「犬が嫌いな客もいる」です。”と、NPO法人日本介助犬アカデミー理事・高柳友子さんは言っています。

 “補助犬法では同伴を拒んではならないとしていますが、これに対する罰則規定は盛り込まれませんでした。(中略)法律がすべての国民に浸透し、補助犬を「外に置いてこい」「犬はダメ」と拒むことは、すなわち使用者自身を拒むことと同じであること、補助犬は公的基準に則って認定を受けた良質で安全な犬で、使用者が健康にも行動にも責任を持って管理していること、補助犬同伴を受け入れることは障害者の社会参加の問題であることを、広く知っていただく必要があるのです。”


 目の不自由な人が、盲導犬を同伴し外出することによって、「安全」で「快適」な歩きを取り戻すことができたとしても、出かけた先で「拒否」されれば、現実に社会参加できたことにはならないのです。



盲導犬への理解を広めるために

 「身体障害者補助犬法」が未だに社会に浸透していない側面がある一方で、東日本大震災で盲導犬ユーザーの安否確認に奔走した、金井正紀さん(日本盲導犬協会仙台訓練センター長)はこのように語っています。

 「避難所では、盲導犬の受け入れを拒否されたり、文句を言われたりといったことは一切なく、理解の広がりを実感しました」

 このように一般の人の理解を広めていくために活動しているのが「一般社団法人 盲導犬総合支援センター」です。盲導犬総合支援センターでは、チャリティーグッズを販売して、目や体の不自由な人の理解を広げる活動をしたり、そのパートナーである盲導犬の育成を支援しています。

 また、「公益財団法人 日本盲導犬協会」と連携し、盲導犬ユーザー支援・盲導犬の認知を広げるためにイベントも行っています。例えば、日本盲導犬協会の神奈川訓練センターでは、地域のみなさんを招待し、「わくわく盲導犬まつり」を開催しています。お祭りのように屋台形式の飲食販売やゲーム、地域の方々の活動発表の場としても施設を開放しながら、盲導犬デモンストレーション、盲導犬体験歩行、盲導犬ユーザーの話など、地域のみなさんに盲導犬についての理解を深める機会を作っています。

 その他にも、日本盲導犬総合センター「盲導犬の里・富士ハーネス」、神奈川訓練センター、仙台訓練センター、島根あさひ訓練センターでは、「盲導犬体験デイ」という見学会を行っています。近くへ出かけた際に、寄ってみてはいかがでしょうか?

一般社団法人 盲導犬総合支援センター
http://www.goguidedogs.jp/

日本盲導犬協会(日本盲導犬総合センター)
http://www.fuji-harness.net/

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/


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