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ようこそ猫カフェへ里親募集型猫カフェ「Hakobuneco」の取り組み 第3回.里親さん直撃インタビュー!

ようこそ猫カフェへ
里親募集型猫カフェ「Hakobuneco」の

取り組み
 第3回 里親さん直撃インタビュー!

    


兄弟猫との運命の出会い

 前回、Hakobunekoで里親になるまでのステップをご紹介したが、実際に里親になられた方にもお話を伺うことができた。ご夫婦で来店された秋山夫妻は、2012年1月に兄弟猫「シンゲン」と「ケイジ」と運命の出会いを果たした。水野さんとのお話も交えながら、なれそめや里親になった現在の様子などについてご紹介する。
 「昨年、猫を飼いたいなと思って、どこか譲ってくださるところはないかしらと、あれこれ調べているうちにインターネットでHakobunecoを知りました。山梨にも猫カフェがあるんだ、しかも里親募集型というので期待しました。扉を開けたら猫がいっぱいいて、とっても幸せな空間だなぁって(笑)」
と奥様。水野さんも言う。
「猫との出会いって人それぞれだと思いますが、やはりお客様によって全然違いますね。何度も何度もお店に足を運んでいただいて“この子にする”ってようやく決められる方もいらっしゃいますし、初めて来店されていきなり“この子!”と決まる方も本当にいます。秋山さんの場合も後者に近かったですね。シンゲンとケイジは、お店にいる期間がとても短かったですね」
「実は、その猫に出会う前に、すごく気になる子がいて、決心しかけたときに先に里親さんが決まっちゃった。知らせを聞いて、そうかと思っていたら、すぐに兄弟猫が2頭、ポンと入ってきたんです。グレーの若い猫で、本当にグッドタイミングだなと思いました。まだあどけなさも残っていて、私の顔をまっすぐ見上げてニャーって鳴いた瞬間、『うちに来たいの?』とキュンとなって、3日後にはもう決めていました(笑)。2頭飼えるのか最初は葛藤もありましたが、やっぱり兄弟離ればなれは寂しいですから、両方引き取りました」

何気ない会話が猫の世界を広げてくれる

「秋山さんと猫たちの運命だったんでしょうね。卒業した猫たちの近況を知らせてくれるのは、本当にありがたいことです。卒業した子たちが幸せに暮らしている様子を聞くと、スタッフみんなが嬉しいです」
と水野さん。里親型だから猫を引き取ったら猫カフェとのおつきあいが終わり、というわけでもない。秋山さんのように、おつきあいがずっと続いているお客様も後を絶たないそう。
「猫カフェに来る理由?…そうですね、ここにいる猫たちのことが気になるし、こうしてお店でいろんな話も聞けるので、つい来ちゃいます。早く仕事が終わった帰りとか、みんな元気かな?と気になったときとか、気軽に寄らせていただいています。うちのお父さんも、猫は分け隔てなく、みんなかわいいって言います。その中で、たまたま縁があったのがシンゲンとケイジだったと思います」
猫カフェでデートなんて、すてきなご夫婦。旦那様とのコミュニケーションも弾みそうだし、何より猫たちに囲まれて楽しそう。ところで、シンゲンとケイジは猫カフェで寄り道してきた気配は察知しているのだろうか。
「あ、それは多分気がついているでしょう。ものすごく私たちの匂いを嗅いできます(笑)」
「中には、知っている匂いもあるかもしれないですよね。一緒に暮らした猫たちの匂いが」と水野さん。
 シンゲンやケイジも、かつてのルームメイトが元気なことを匂いで察知しているのかもしれない。こんな風に、猫カフェでの何気ない会話が、猫との暮らしをさらに豊かなものにしてくれる。

初心者にも安心な動物病院との連携

話が弾んでいるところで、Hkobunecoの魅力についてさらに尋ねた。
「水野さんには本当にお世話になっています。話しやすいし、猫のことも相談できて、色々教えてもらえるので本当に助かっています。例えば、初めて猫を飼ってみたいけれども、ちょっと自信がないなんて方でも、身近に相談できる人がいると安心ですよね。そういえ以前、水野さんに叱られたこともありましたね、ご飯の量で(笑)」
「ええっ?! 何かありましたっけ? あ、思い出しました。ご飯の量が多くて“こらー!それ2食分や!”って言いましたっけ(笑)」
と茶目っ気たっぷりに笑う。生活面でのことなら、お店でも相談にも応じられるが、やはり、いざ病気となったときが肝心。病院探しも大変だ。そんな時も動物病院と連携しているという点は、心強いのではないだろうか。
「先日、ここでお世話になった動物病院にシンゲンとケイジを連れて行ったのですが、『Hakobunecoで譲ってもらった子です』と言ったら『はい、わかりました。じゃ、お名前教えてください』と、とてもスムーズに対応していただきました。今までのカルテとかもありますし、先生方も見慣れている猫たちだから、そういう意味でも安心でしたね」と秋山さん。

「もちろん、ここの病院に行かなければならない、って決まりはありません。先住猫の頃からの病院に通われる方もいらっしゃいます。それでもやはり、ここの動物病院で診てもらっている方は多いと思いますね。カルテもありますし、これまでの体調もよくわかってくれていますから」
 と水野さん。病院との関わりは、猫と暮らす上ではどうしても必要なこと。よく考えておきたい点である。去勢避妊手術やワクチン接種はもとより、保護されてからの病歴も把握している動物病院がバックについている安心感は、猫と幸せに暮らすための大きなメリットではないだろうか。これはあくまでもHakobunecoのケースであるが、猫たちとの関わり方などがイメージできただろうか。これからも秋山さんご一家のメンバーとしてシンゲンとケイジが、楽しく暮らしていくであろうと確信させていただいた。
 次回はいよいよ最終回、「猫カフェで働きたい!」のテーマでお送りする。

ようこそ猫カフェへ里親募集型猫カフェ「Hakobuneco」の取り組み 第2回.里親になるには

ようこそ猫カフェへ里親募集型猫カフェ「Hakobuneco」の取り組み 第4回.猫カフェスタッフになりたい

水野綾子

水野綾子

投稿者の記事一覧

(みずの あやこ)

Hakobuneco代表

北海道生まれ。
2010年よりノア動物病院、Hakobuneco昭和店勤務。
幼少の頃より猫や犬に囲まれて過ごしたことが、この仕事をこころざすきっかけに。1日1回は猫をさわることをモットーとしているが、実は家に帰ると5頭の猫たちが待っているため、1日中猫に囲まれる日々を送っている。趣味はガーデニング。

里親募集型の猫カフェHako bu neco:
http://www.noah-vet.co.jp/nekocafe.html

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