殺処分ゼロを目指して
~「ちばわん」の活動から~
~「ちばわん」の活動から~
第7回 茶々丸くんのこと
~藤田圭子さん(千葉県在住)に聞く
~藤田圭子さん(千葉県在住)に聞く
‐印象に残っている預かりっ子について教えてください。
みんなそれぞれ印象に残っていますが、 茶々丸くんは初めて預かった成犬なので思い出深いです。中型ミックス・推定4才の男の子です。
‐どのような経緯で藤田さんのところに?
センター収容時の茶々丸くん
我が家に来たのは2010年9月です。ちばわんでは、犬の引き出しに行く人や、清掃ボランティアに参加する人が、web上に「愛護センターレポート」(http://centrerep.exblog.jp/)をアップしてくれるのですが、そのレポートで紹介されていたのを見たのが茶々丸くんとの出会いでした。それまで子犬しか預かったことがなかったので、実は不安もありました。でも、体の大きい子は預かれる人がとても少ないということを聞いて、ウチはあえて体の大きい男の子を預かろうって思ったんです(笑)。 気になってセンターに直接見に行ったら、彼はいわゆる“最終部屋”と呼ばれる部屋にいて、翌々日には処分される運命でした。部屋をのぞくと、窓に飛びついて「出して!」って全身でアピールしていたんです。それを見て、やっぱり預かろうって決心しました。
‐命が尽きる寸前に救い出されたんですね。
そうです。2週間の検疫期間を終えて我が家に連れてきたときはガリガリで。今は22kgあるそうですが、そのときは14kg。散歩で会った人に「汚い犬」って言われたこともありました。でもものすごく人懐こくて、先住犬のモカとベスとも、とてもうまくやれる優しい子でした。今は本当の家族を見つけて幸せに暮らしていますが、毛並みもピカピカ。「すごくカッコいい犬ですね」って言われるそうです。
‐よい家族にめぐり合えたんですね。
我が家には約2ヶ月半いたんですが、私の姿が見えないとダメっていうくらい分離不安が強かったんです。甘えん坊だけど、男の子らしいきかん気もある子だったので、優しいだけでなくちょっと強いところもある女性の飼い主さんがいいのではと思っていたら、いぬ親会でピッタリの方に声をかけていただいて。私が離れると不安がる子のはずなのに、その女性には尻尾を振って甘えたんです。この人だと思いました。
‐お届けしたときはどうでしたか?
後で話を聞いたら、茶々丸くんを送り届けて帰りの車の中で涙ぐんでいたころ、すでに茶々丸くんはリラックスして、おなかを出して寝ていたそうです。茶々丸くん、わかっていたんだなって思いました。もしかしたら、この人たちに会うために動物愛護センターから出てきたのかもしれないって。その橋渡しができて本当にうれしいです。自分が預かりを申し出なかったら処分される運命の子だったので、よけいにうれしいですね。
渡辺さんは、以前から漠然と「犬を飼うなら里親に」と思っていたそうです。ただ、どういう手段で譲り受けることができるのかまったく知らなかったため、インターネットで調べているときに「ちばわん」のホームページにたどり着きました。そこで初めて犬を取り巻く想像以上の現実を目の当たりにして、改めて「保護犬を」と強く思ったそうです。
渡辺さんは、はじめから成犬を迎えようと考えていました。仕事で家を空ける時間が長く、しつけに割ける時間がないと考えたからです。「ちばわん」のように、HP上でその犬の性格や特徴を知った上で検討できるシステムは好都合でした。1ヶ月間のトライアルがあるということも、渡辺さん自身と迎える犬の双方にとって安心できる材料だと感じました。
初めて八王子で開催された いぬ親会に参加したとき、「実はお目当ての子がいて、茶々丸のことはノーマークだった」そうです。意中の保護犬と預かりさんが他の方とお話中だったので「暇を持て余して」会場の中を回っていたときに出会ったのが茶々丸くんでした。預かりボランティアの藤田さんからいろいろお話を聞いた後、一度はお目当ての子のところに行ったそうですが、再び戻ったときに「あ、また来てくれたんですね」という顔をして尻尾を振ってくれた茶々丸くんの笑顔が最大の決め手になりました。
「保護犬にはミックス犬が多いですが、純血種と違って、他のどこにもいない世界で一匹の犬です。これから犬を飼おうと考えている人には、ぜひ保護犬をと切に思います」と力を込めておっしゃいます。「自分の何かを変えてくれるし、間違いなく幸せを運んでくれるということを、ぜひ多くの人に知っていただきたいです。」 その言葉を聞くと、茶々丸くんが渡辺さんにとってかけがえのない存在なのだということがよくわかります。「茶々丸が家に来てくれて、心からありがとうと言いたいです。休日も一緒に出かけられるところを探すようになりましたし、茶々丸のことが気になって、以前より残業も減りました。帰宅すると大歓迎。毎回、感動の再会という感じです!」とうれしそうに話して下さった渡辺さん。最後に「茶々丸を愛護センターから出してくださった藤田さんに、心から感謝したいです。藤田さんがいなければ、茶々丸とは会えなかったんですから」とおっしゃっていたのが印象的でした。渡辺さん、茶々丸くんといつまでもお幸せに!
次回は再び、「ちばわん」代表の扇田桂代さんにお話を伺います。
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