動物愛護センターから引き出した犬や猫を、一時的に預かって世話をする“預かりボランティア”は「ちばわん」にとって大きな戦力です。興味はあっても「自分にできるかな?」と不安に思う人もたくさんいるのではないでしょうか? 2006年から“預かりボランティア”をなさっている藤田圭子さんは、「ちばわん」からモカちゃん(バセットハウンド)を家族に迎えたことから、預かりの仕事に興味を持ちました。今回は藤田さんに「預かりボランティア」の実際についてお話を伺います。
‐預かりボランティアを始めたきっかけを教えてください。
藤田圭子さん
念願かなって犬と一緒に暮らすようになって、仕事一筋だった生活の中で犬が占める割合がどんどん大きくなってきたんです。仕事に対する情熱も失せてしまったし(笑)、モカを長時間お留守番させるのが可哀想と、仕事を辞めたことで時間もできて。「ちばわん」の預かりさんは、預かりっ子(保護犬)の様子を広く知らせるためにブログを持っている方が多いのですが、そういうブログを読んだり、我が家で迎えたモカの預かりさんにお話を伺ったりして、だんだんやってみようかなと思うようになりました。
‐最初に預かったのは?
和犬ミックスの赤ちゃん3匹。乳飲み子は抵抗力がないので、親がいないと育てるのは難しいんです。残念ながら1匹は亡くなってしまいました。でも1匹は いぬ親さんが見つかって、もう1匹はモカの次に家族として我が家に迎えました。名前はベスです。
‐預かりボランティアとはどういう仕事ですか?
幸せな第2の犬生のためのお手伝いですね。心から愛してくれる本当の家族を、預かりっ子に代わって探してあげる大事な仕事だと思っています。ボランティアって社会的な貢献の気持ちだけじゃ続かないと思うんです。実際に預かって、“この子のために”という思いがあるからこそ続くものだと思います。
‐預かりボランティアをやっていて、よかったと思えることは何でしょう?
預かりっ子(保護犬)の綾ちゃん
先住犬べスと一緒に
預かりっ子がその子にふさわしい いぬ親さん に出会って幸せになっていく様子を見ると、本当にやってよかったなって思います。それが第一ですね。巣立っていくときは辛いですが、その子の幸せを見ると、出してよかったなって思える。それを繰り返すと、悲しいのは一時の感情ということがわかってきます。自分のところにいるよりも、いぬ親さんと一緒のほうが幸せになれると信じられるようになるんです。
‐逆に、難しいと思うところはどのようなところですか?
強いて言えば預かりっ子と自分の愛犬との関係ですね。犬同士の関係をどのように築き上げていくかはそれぞれ違うので。世話自体は、切実に難しいと感じたことはないかもしれません。食事と散歩の時間と暮らすスペースさえあれば何とかなる! という感じでしょうか。
‐いぬ親を希望する人がいる場合、どのお宅に譲渡するか判断するのは誰ですか?
その犬をいちばん理解しているのは預かりなので、基本は預かりの判断です。犬の性格と、希望者の生活環境とか家族構成などを考慮して、譲渡するか、あるいはしないかを決めます。もちろん、判断に迷ったら代表や副代表に相談することもできます。
‐複数オファーがあったとき、迷いませんか?
もちろん迷います。力強い元気な子だったら比較的若い体力のある家庭に出すとか、寂しがりやだったらなるべく留守番のない家に…ということは考慮します。絶対譲れない条件を排除していきながら、その中で一番ふさわしい家庭を選ぶということですね。ただ、保護犬に いぬ親希望を出してくださる方は基本的に犬に対する愛情が強い方が多いので、どこに出しても心配のない場合が多いんです。だからお断りするときは辛いですね。
‐いぬ親さんを決めるとき、一番重視するのは何ですか?
人柄です(笑)。犬に愛情がありさえすれば多少のことは乗り越えていただけると思うので、そこをいとわない家庭かどうかがいちばん気になりますね。
‐預かっている間の食費や医療費などは誰が負担するのですか?
預かり犬にかかる医療費はちばわんが負担してくれます。それ以外の、生活に必要なフードやペットシーツなどはボランティアが提供します。
‐仕事をしながら預かりボランティアをすることはできますか?
フルタイムで仕事をしながら預かりをしている方もいます。子犬の預かりは時間に余裕がないと難しいかもしれませんが、散歩や食事の世話などのために、少しばかりの時間を捻出することが可能であればできると思います。
‐やってみたいけど、自分にできるか不安という人に一言
ベテランの預かりさんでも不安はあると思うし、私も実は毎回不安です(笑)。でも曲がりなりにもできているんですよね。それに、ちばわんは預かりのときに希望を考慮してくれますし、初めての方には扱いやすい子を担当させてくれます。預かりは簡単じゃないけど、やろうと思える人にとっては難しいことではないと思いますよ。もちろん、努力しなきゃいけないことは少なくないかもしれないけれど、それがやりがいにつながるともいえます。先輩がたくさんいるし、サポートもきっちりありますから、まずは心配しないでトライしてほしいと思います。
次回に続きます。