動物たちを知ろう
第4回 犬のカーミングシグナルを知ろう
「犬のカーミングシグナル」を知っていますか?
犬は、言葉を話さない代わりに表情や行動によって、人間や相手の犬に対してメッセージを発しています。
争いを避けたいと考える動物である犬は、カーミングシグナルを出すことで相手や自分を落ち着かせたりするのです。
今回は、この「犬のカーミングシグナル」について紹介します。
英語で、カーミング(Calming)とは「落ち着く」という意味で「シグナル(Signal)」は「信号」という意味です。
カーミングシグナル(Calming Signal)は、犬のボディランゲージのひとつで、興奮している相手を落ち着かせたいときや、自分のストレスを軽減したい時に発するシグナル(信号)です。
カーミング・シグナルは、見逃してしまうくらい小さなサインの場合があります。
犬は、身体のあらゆる部分を使い、また色んな方法でその信号を送ります。でも相手がその様々な信号を全く理解してくれないと犬は困惑し、自分の感情を示す最終手段(攻撃や逃避)に出なければいけなくなることもあるので、犬と暮らす中で私たちはこのカーミング・シグナルをしっかり理解することが大切です。
また、単頭飼いの犬の場合、できるだけ社交の場を与えて他の犬からカーミングシグナルを読む・送る練習をさせてあげる場をつくることも必要だと感じます。
その際、飼い主もしっかり理解していないと、愛犬が間違った行動をしている場合にきちんと導けないので飼い主としてやはりこのカーミング・シグナルはしっかり理解したいことです。
犬のカーミングシグナルには、様々な種類があります。
このシグナルは、相手や自分を落ち着かせるための行為なので、静かでゆっくりとした動きが多くあります。
「目を細める(ソフトアイ)」「まばたきをする」「視線(顔)をそらす」
目を細めたり、まばたきをすることで相手と視線を合わせず、相手に対して敵意がないことを伝えます。また、ストレスを感じている場合も行います。
顔を背けたり、背を向けたりするのも同じ意味です。
「鼻を舐める(舌をぺろぺろする)」
緊張や不安でストレスを感じており、自分を落ち着かせようとしています。
見知らぬ人が近づいてきたり、シャンプーなど苦手なことをされたりする時に鼻を舐めることがあります。また、鼻を舐めるために舌を出すことで、相手に攻撃することができない状態になるので、相手に敵意がないと伝えることもできます。
「あくびをする」
興奮している相手を前にして不安で怖い気持ちになり、相手を落ち着かせようとしています。
生あくび、犬がよくします。これは決して眠いからではありません。
犬がストレスを感じ、なんとかリリースしようとするときによくこのあくびをします。自分も相手もリラックスさせるための方法です。
また、あくびをするのはストレスを感じているサインでもあります。飼い主があくびをすることで、犬を落ち着かせることもできます。
「地面の匂いを嗅ぐ」
興奮や不安を抑制し、自分を落ち着かせようとしています。また、争う意志がないことを示し、相手を落ち着かせるためにも地面の匂いを嗅ぎます。
「おじぎのポーズをする」
プレイングバウ(playing bow)またはプレイバウ(play bow)といって、頭を下げ、お尻を上げてお辞儀のような体勢をとります。相手に敵意がないことを伝え、一緒に遊びたい時にこのようなポーズをします。
「座る・伏せる」
争いの意志がないことを示すために、わざと攻撃したり逃げたりする時に時間を要するような体勢をとります。追いかけっこなどの遊びに夢中になっている時にも、「一旦落ち着こう」という意味で座ったり伏せたりすることもあります。
「仰向けになる」
仰向けは子犬がよくとる体勢であるとともに、相手に急所であるお腹を見せる体勢ということになります。これをすることで相手に敵意がないことを伝えることができます。
「体をブルブルと振る」
体の硬直を和らげることで緊張を和らげようとしています。興奮状態を冷ますために体を振ることもあります。
「体・耳の後ろを掻く」
緊張していたり、ストレスを感じていたりして、それを和らげようとしています。遊びに夢中になって自分も相手も興奮しすぎている時にも、一旦落ち着くために体や耳を掻いたりします。
「くしゃみをする」
ストレスを感じている時にそれを軽減したり、相手が興奮している時にそれを鎮めたりしようとしています。
「ゆっくり歩く」
緊張を和らげるため、素早い動きを避け、ゆっくりと歩きます。
「弧を描くように歩く」
急所であるお腹と首筋を見せて歩くことで、争いの意志がないことを相手に伝えます。
言葉を話すことがない犬が考えていることを知り理解するために、犬の送っているシグナルをしっかりキャッチできるようになりたいものです。
そのためには、日頃から愛犬のボディーランゲージをしっかり観察し、適宜対応できたら「不必要な状況」の予防になります。また犬ともっとよいコミュニケーションが取れ、絆が深まるでしょう。
カーミング・シグナルという言葉を生み出したノルウェー人のトゥーリッド・ルーガス著書の『カーミング・シグナル 』は写真が一杯で説明も分かりやすく、とても参考になるお薦めの本です。
カーミングシグナルから犬の感情を理解することで、多くの方が愛犬たちとのより良い関係を築くことができますように。
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GORON 吉川奈美紀
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