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イヌに教え、教えられ 第14回 「諦める」を教える

イヌに教え、教えられ

第14回 「諦める」を教える


シェットランドシープドッグの「サリュ」と「ラフィン」は、穏やかで人が大好き。
 
2頭はとてもいい仔なのですが、散歩中にオートバイに出会うと吠えずにいられない。
素早く動くもの、走り去るものに興奮し、吠えて追いかけようとする。それは牧羊犬であるシェットランドシープドッグのDNAがそうさせるのだ。大きな音で走り去るオートバイは、彼らには一大イベントです!
パパとママを困らせようなんて気持ちは無いけれど、頭で考える前に本能的に体が動くサリュとラフィン。困った家族たちとサリュとラフィンは、トレーニングを受けることになりました。
 
     バイクや猫・鳩など、動くものや逃げるものを追いかけるのが、狩りの本能。
     チャイムや来客に吠えるのは、縄張りを護る本能。
     食べ物を取られまいと威嚇するのは、獲物を群れで分けて食べる補食動物の行動。
 
人が改善したいと考える犬の行動は、犬にとって本能であったり、習性であることも多いため、犬にその行動を我慢するように教えることは簡単でない。
でも、「本能だからしょうがない・・・」と諦めてしまっては周りに迷惑がかかり、家族の生活が大変になることもある。
散歩中、愛犬の行動ひとつひとつを気にし続けていたら、飼い主のも愛犬にもいいことではない。
飼い主が「NO」のサインを出せば、犬が行動を我慢し諦めることができる。
それが、習性が違う犬と人が一緒に暮らし、社会の中で生活していく上で、何より一番大事なしつけだと僕は思っている。
 
さぁ、練習!
バイクが走って来る → サリュとラフィンが興奮し始めたら → すかさず「NO」を伝える
 
吠える習慣が身についている2頭なので、練習を数回しただけでは変わる変化はない。習慣を変えることは、簡単ではありません。「ダメなものはダメ」飼い主が一貫した態度を続けなければ犬は混乱します。
反復練習を重ね、バイクが通ってもサリュとラフィンが我慢できるようになってきたら、そこから次のステップへ。行動を変えていくチャンスです!我慢ができた時、ちょっとしたご褒美とともに愛犬を思いっきり撫でて誉め倒す。周りに人がいても恥ずかしがってはいられません。なぜなら、彼らは本能を我慢してバイクに吠えるのを諦めてくれているのですから!
 
愛犬に「NO」を伝え、諦めさせて、ご褒美に誉めて誉めて誉める。
飼い主の指示自体が愛犬にとって楽しものとなるように、「諦めること=もっといいことがある」と条件付けをし、行動を変えていく。
サリュとラフィンは、誉められた後にパパから小さいオヤツを一粒もらえる。
今では、バイクが近づいてくると「誉めてくれるでしょ?美味しいオヤツもくれるでしょ?」とサリュとラフィンが揃って振り返り、自ら座ってアイコンタクトをするようになった。嬉しそうなパパの顔が、サリュとラフィンには最大のご褒美だ。
 
パパとママには、もう一つ解決したいお悩みがあります。
他犬と挨拶をした後、別れるとき吠えてしまうことです。この課題を乗り越えられるのは、パパのがんばり次第!2頭と僕はそう思っている、笑。
 

2014年8月22日掲載

 

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里見 潤

里見 潤

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(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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