前回は、ドッグシェルターのイベントやその他の活動についてお伝えしてきました。里親会やフリーマーケットなどのイベントも行ってきたというお話でした。
今回は、里見さんが活動のなかで経験した苦労や失敗、犬との共生生活についてお話します。
人と命の間で
人と人の間に入る仕事ですので、その間で命や保護犬を扱う難しさを感じています。
里親さんとは、最初から最後まで関わっています。店舗時代にくらべると頭数は減りましたが、1件ずつていねいに行っていますので、よろこんでくださる家族が多いです。
「里親候補」の方々との折衝は、とてもむずかしいです。「里親審査」というものを行ってまして、その間に里親候補の方の心証を害することがあります。「軽い気持ちで」ということはないのですが、保護犬を飼うのに審査があることを知らない方も多いため、驚かれる希望者さんもいらっしゃいます。といっても、最近は、ほとんどなくなってきました。
いったんお断りしたご家族でも、その方の生活スタイルに向いている相性の良い犬がいれば、そちらを薦めたりもしています。こちらでお薦めした犬がぴったりだったと感想をくださったご家族が、あとで笑い話で「あのときはびっくりした」なんておっしゃることもあります。
ただ、私たちは、飼い主さまの人間性や能力を否定するつもりはないんですね。あくまでも犬との相性で決めています。
里親希望者と預かり宅のように、人と人の間に入る仕事ですので、たいへんでした。それまで、ドッグトレーナーだったときは犬のしつけをするのが仕事でしたので、このように人どうしの連絡をしたり、間に入る仕事ははじめてでした。むずかしいことを説明するときに、相手を不愉快にして怒らせてしまったりもしました。段取りもあまりよくなかったと思います。いまでは経験によって、少しはよくなってきたかなと思います。
犬と人間の共生 -住まいと隣人関係-
いまは、ペット共生の賃貸マンションに住んでいます。マナーを守ること、犬を吠えさせない、などのマナーを守っていれば、となり近所の方とのトラブルもあまり起こりません。となり近所に疎まれるのはよくないですよね。生活も近所との関係もよくなれば、犬にもよくなります。このマンションでも大家さんや奥の部屋の方も犬を飼っています。犬が真ん中に入ってくれるので話しやすいですね。
設備については、部屋の通路がふつうの1LDKにしては幅が広く、大型犬と通っても狭く感じません。壁紙も床から1メートルくらいのところでいったん仕切ってあり、交換するときには下の壁だけ交換すればよいようにもできています。
洗面所の排水口が二重になっており、犬の毛が排水に入って詰まらないように工夫がされています。ほかにも空気清浄機がついているのもとてもたすかります。
共生住宅は犬を飼っている人がメインの住宅であり、犬可物件とはこの点がちがいます。人間関係もよく、居心地がよい。コミュニケーションでのトラブルもありません。
私自身では、とくに保護犬が、留守番中に吠えないように気を遣っています。
入居にあたり、ペット審査には少し時間がかかりました。ここまでしっかりやってくれると感じるか、そうでないかは、お客の好みによって分かれるかもしれないのですが、自分にはありがたかったです。仕事上、審査のハードルは高かったですね。自分がアドバンスネットさまに対して希望を説明する立場になり、まるで犬の里親と自分の関係と同じだなと思いました。
ドッグシェルターで保護してきた犬を連れてくるときにも、毎回、保護犬審査があります。いまはテンプレートを作っていただいて、すぐに提出できるようになっています。
何件か物件を見て回り、ドッグシェルターの事務所からの距離が車で30分以内ということで、この物件を選びました。
事務所は、犬不可の物件で、代表の会社の事務所の一角を借りています。そこでは、お金の管理、グッズ、データ処理などを行っています。木曜は一日事務所におりまして、あとは動物愛護相談センターなど外に出ています。空き時間に戻ってくるくらいです。