アニマルライツ
イヌに教え、教えられ 第9回 競争は意欲を生む
今、私の家には犬が2頭いる。
1頭は飼い犬である柴犬のおまめ。もう1頭は前飼い主が飼うことができず保護されたテリアミックスのつとむ。新しい飼い主を見つけるまで預かっている。
2頭と一緒に行く散歩コースには、ボール投げをしている場所がある。1頭づつ順番に遊ぶので、順番を待つ1頭はベンチの足にリードを繫いで待たせている。
ある日、2頭でボール投げをやってみると2頭とも「取りたい」そして「取られたくない」からか、いつも以上に抜群の反応でボールを追いかけるおまめとつとむ。
お互い探り合いをしながら、押したり引いたりの「駆け引き」。
そして、取っても取られても気にせず、次も全力でボールを追いかける。
競争する相手がいることが刺激になり、いつもより意欲的で、ボールを追い・楽しんでいる2頭。
お互いの距離感、どのタイミングで出るか出ないか、ボールを取りに走るか、相手を見るか・・・
スピードだけではつとむに勝てないと分かったのか?
ボールを投げる僕から少し離れ、フライング気味な位置からスタートしようとするおまめ。
ボールがとっても大好きで、僕の近くで投げるのを待つつとむ(笑)。
こんな2頭のかけ引きは、それ自体コミュニケーションになっている。
そんな2頭を見て、ふと思った。
ある小学校で行われている「順位をつけない徒競走」
走る順番だけを決めて、その順番通りに走り、順位はつけない。
それを実際に、小学校の頃、体験したという知人の話を思い出した。
「速い=偉い」のではなく、頑張ることがいいことだと伝えるためなのだろう・・・しかし
競う相手がいるから頑張れる、そしてどうしたら勝てるのかを考える。たとえ負けたとしてもその悔しさを味わうことも大切だ。
大人になり社会にでれば、競走は当たり前だからこそ子供の頃から慣れておくことも大事だと思う。ただ、競争で勝ったからエライわけでもなく、負けたからダメなわけでもないことを知っておく必要はある。
体育が得意な子もいれば、算数や英語が得意な子、絵を描くことが得意な子もいる。いろいろなことを競うことで自分の得手不得手も分かってくる。
偏った平等意識に子供ながらすぐ気付き、居心地の悪さを感じたと知人は言っていた。
本来、競う相手やライバルがいることは、意欲ややる気を生み出してくれる。
どんどん競争して、勝ったり負けたりを経験し、慣れたほうがいい。
イヌのボール投げでこんなこと考える自分は考え過ぎなのか?それともイヌは、私たちにいろんなことに気付きを与え、教えてくれているのか?どちらにしてもこれ以上書くと堅苦しくなるのでこの辺で止めておこう、笑。
イヌはシンプル、楽しければやる気になるし、楽しくなければやる気にならない。競う相手がいるってやっぱり楽しい。おまめとつとみを見ていてそう思う。