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日本は動物愛護後進国! ~海外に学ぶ動物愛護 第2回~

日本は動物愛護後進国!
-海外に学ぶ動物愛護 第2回-

    


 「日本は動物愛護がイギリスよりも100年遅れている」と言われる、その動物愛護先進国のイギリスでは、どのような施策がとられているのだろうか…。前回はイギリスの動物愛護の実情を、法律や団体等の事情から日本との違いも比較しつつ、お伝えしました。

 今回は、動物たちの権利を守るために日夜活動している、イギリスの動物愛護団体についてお送りします。

 動物愛護団体にも日本では見られないような活動が見られます。その一つが「アニマル・ポリス」です。これは「王立動物虐待防止協会」の中に設けられたセクションで、動物愛護に関する法律の違反を調査・摘発する、いわば動物愛護のGメン的な役割を担っています。
 たとえば、「野鳥を保護した」「犬がやせている」「ハムスターを食洗機で洗っている」と言った市民からの通報を受けたら、現場に駆けつけ動物を保護し、飼い主を告訴します。
 その他にも、イギリスの動物保護団体や環境保護団体は、日常的に、飼い主のない動物やケガをした動物に対するシェルター提供・医療活動や、関係団体が法規制を順守しているかの監視活動を行っています。
 今回は、中でも代表的な3つの動物愛護団体の活動について紹介します。

RSPCA


 娯楽のために行われていた動物虐待にも目を向けており、1840年にはビクトリア女王から「王立」の称号が協会に与えられました。このRSPCAは、世界で最初の動物福祉を目的にした慈善団体です。動物虐待の防止と、動物への優しさがあり、動物の苦しみをやわらげる社会づくりを目指しています。 前回でご紹介したとおり、RSPCAは世界最大かつ最古の動物福祉団体です。
1824年にリチャード・マーティンによって、動物福祉を目的とした慈善団体として設立されました。本部はウエストサセックス州(イギリス南部)のホーシャムにあり、20部門に分かれていて、各部に専門的なスタッフがいます。国内には、RSPCAセンター、動物病院、支店、動物を保護するシェルターなど多くがあります。
 2009年には、141280件の動物虐待に関わる問題を調査し、135293頭の動物を救出しました。主な活動として、動物保護法の執行、動物のケア、畜産動物の福祉、キャンペーン活動、国際的な活動などが挙げられます。動物福祉に関する条例を見直すこと、実行させることにも重きをおいており、2006年には動物福祉法を設立させました。犬猫のみならず、小動物や大型の爬虫類まで幅広い生物を対象としており、活動内容も動物実験を行った化粧品の販売禁止キャンペーンから、非政府組織と政府組織との連携による動物福祉思想の啓発活動など、多岐に渡ります。

RSPCA http://www.rspca.org.uk/

Animal Aid

Animal Aid

 Animal Aidはイギリスで最大規模の動物権利保護団体です。動物を虐待から守ること、動物が実験や食品の材料として使われないようにすること、を目的として活動をしています。たとえば、動物を使った競争(実験?)や屠殺されるための工場や農場の動物を「虐待」とみなし、廃止を求める運動を行なったり、動物製品なしの生活の推進のために肉や魚だけでなく卵、チーズ、ミルクといった動物性食品を一切とらない菜食主義者“vegan”(ベーガン)を推進しています。
 ポール・マッカトニーは「もし屠殺場がガラス張りだったら誰も肉を食べないだろう」とキャンペーンしています。日本人の感覚としてはやや過剰な活動にも思えますが、彼らは、「虐待」とは私たち日本人が一般的に考えるようなことだけではなく、「動物の命、生き方を尊重していないものが虐待だ」、という考えのもとで活動していると言えるでしょう。また、彼らの活動には、動物虐待と思われる活動を秘密裏に調査して、その情報をメディアに公表するなどといった、警察的な捜査活動も含まれていることも大きな特徴です。

Animal Aid http://www.animalaid.org.uk

Dogs TRUST

 Dogs TRUSTはその名の通り、動物愛護団体の中でも犬を専門に扱う慈善団体です。1891年に設立された歴史ある団体で、イギリス全土に17ヶ所のリホーミングセンター(保護センター)を持ち、ここで飼い主が飼えなくなった犬や野良犬の保護と、新しい飼い主探しを行なっています。
Dogs Trustは面接や家庭訪問などを行い、里親候補の家庭には、家族全員の意志確認、庭へのアクセスなど、細かいチェックをします。そして、新しい家庭に引き取られる前には、トレーニングや避妊・去勢手術なども行います。
 一方で、ホームレスの人々の飼い犬に獣医師のケアを受けさせたり、新生活を始める人の飼い犬を一時的に預かっておくことで犬への虐待を防ぐ、などの活動も行なっています。 Dogs TRUSTは、里親探しそのものだけではなく、施設に収容される犬の減少のために、教育活動やマイクロチップの導入、避妊・去勢手術も行い、問題の根本的な解決を目指していることが最大の特徴です。将来的に起こりうる問題を未然に防ぐ体制も整えられています。

Dogs TRUST http://www.dogstrust.org.uk/

 イギリスの動物愛護活動には、「人間も動物も対等であり、同じように生きる権利を有している。人間の都合で動物の権利が少しでも侵害されるようなことがあってはならない」、という強い愛護精神が反映されていると感じます。このイギリス人の動物愛護精神は、日本も見習うべきところがありそうです。


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