第2回「住環境・散歩・トイレ」編
これからペットを飼いたい、という人にとって、悩ましいのが日本の住宅事情。賃貸ではまずペットOKの物件を探さなくてはならないし、OKだとしてもお散歩コースはどうするか、充分に遊ばせることのできるドッグランが近くにあるか…などなど、気になることもたくさん。
住環境はペットとの生活を大きく左右します。そこで第2回目は、ドイツでのペットとの住まいや、お散歩のマナーについてお伝えします。
部屋の大きさによってきまる-ドイツのペットとの住環境- |
ドイツではペット可か不可かというような住居選びの基準はあまり聞きません。
基本的には、ドイツの住宅は、ペットOKです。ただ部屋の広さなどで飼えるペットの大きさの決まりはあるようです。法律で定められているわけではありませんが、動物好きの近隣ドイツ人が常に目を光らせているので、狭い部屋に多頭飼いや大型犬を飼っていたりすると保護団体や警察に通報されることがあります。通報が2回、3回となると飼う資格がないとみなされ、ペットを没収されてしまいます。
ペットは大抵室内で飼われています。リードをつけて外で飼われる犬や猫はほとんどいません。外で飼うことは駄目ではありませんが、リードを付けての飼育の場合、犬が自由に過ごせる土地の広さやリードの長さなどの飼育環境の条件がついてきます。
また、ペットを長い時間放置することは禁止されています。これも法律で定められているわけではありませんが、近隣住民の通報により発見されると厳重注意、もしくは没収となります。無駄吠えなどもうるさく言われます。無駄吠え、長時間の留守はペットへの虐待とみなされるのです。
猫は放し飼いをする場合は避妊・去勢が義務付けられています。そして放し飼い・家飼い関係なくマイクロチップの挿入が義務付けられています。猫は犬と違い条例が少ないようです。
しつけの徹底がノーリードの文化を生む-お散歩とリード- |
ストレスなく犬に生活させるため、もちろん毎日の散歩は欠かせません。
リードの使用については、日本よりもゆるやかです。ドイツの犬たちは皆、ノーリードでもきちんと飼い主の命令に従うよう、しつけが徹底されています。ですから、ドッグランのように囲われたスペースでなくても、公園などで自由に走りまわることができます。
公園や川べりなどではノーリードでOKの場所とそうでない場所がありますが、そこのところの決まりはとても曖昧で、飼い主側も守っていたりそうでなかったりといろいろです。ノーリードの犬と男性が一緒にジョギングしていたりしても、警察も何も言わなかったりするので、本当に曖昧なのでしょう。
もちろんバスや電車では、リードをつけなくてはなりません。こうした公共交通機関を含め、ノーリードが禁止されているところでは、「Ordnungsamt」(オルドヌングザムト)という人たちがいて、不定期にチェックをしています。違反していると、違反金を徴収されてしまいます。
トイレは屋外で-お散歩の落とし物- |
ドイツでは、トイレは家の中でさせる習慣はなく、必ず外でするものとされています。そのため、ドイツではペットシーツの販売はありません。お隣のベルギーまで行くと、ペットショップに10枚で1000円近くするシーツが少しおいてあるくらいです。
そのため、犬の糞を処理するためのウンチバッグディスペンサーが街のあちらこちらに市によって設置されています。もちろん、都市によって設備や対策は異なります。州によって設置数も大きく違います。大都市へ行けば行くほど、設置数は多くなるようです。
日本と同様、ペットの糞は飼い主が処理をすることがマナーですが、公園や川沿いなどではそのまま置き去りにされているケースが少なくありません。人によっては、高い税金を払っているのだから飼い主が処理する義務はない、と主張する人もいますが、飼い主が持ち帰らなければならないと考える人もいるようで、後者は年配者に多いようです。
ただ面白いのが、例えばどこかの建物(アパート、会社)など清掃業者がはいって掃除をしてくれるようなところで糞をしてしまった場合、飼い主は糞を取る必要はなく、そこの清掃業者が行えばいいとなっているようです。
もともとは贅沢品!?-犬税- |
『高い税金を払っているのだから…』そう、ドイツにはなんと犬にかかる税金があるのです。それが「Hundesteuer(犬税)」。
ドイツで犬を飼う飼い主には必ず税金を払う義務があります。年単位で支払い、金額は州によって異なります。ちなみに私の住んでいるデュッセルドルフという市があるNRW州は約80ユーロ、ベルリンの方は約120ユーロだそうです。これは一頭あたりの税金で、2頭目以降はまた金額が違ってきます。
日本からみれば驚きの犬税。もともとの始まりは1800年代で、犬は牛や豚、鶏などの家畜と違い贅沢な存在とみなされたことから始まったそうです。もちろん、介助犬、盲導犬、警察犬などの働く犬はこういった税金は免除されます。
税金のほかにも、ペット先進国といわれるドイツには、日本にはないペットを保護するための条例がたくさんあります。次回は、ドイツの犬に関する条例についてお伝えします。