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ペットの複数飼いの楽しさ、大変さ – 後編

ペットの複数飼いの楽しさ、大変さ

後編 

    


 前回は、複数飼いの飼い主さん側そしてペット側にとっての良い面・悪い面について考えました。今回は、複数飼いをするときの相性について探ってみます。先住犬と新住犬が自然に仲良くしてくれればよいですが、不幸にもペット同士の相性が悪く、苦労が絶えなくなってしまった飼い主さんも多くおられます。まずは、どんなところを押さえておけばよいのでしょうか。

犬種として不向きなのは

 大前提として、犬種や性別、大きさ、年齢などの諸条件によって相性の良さが保障されるわけではないようです。あくまで個体同士の性格や、ペットたちの主人である飼い主さんのリーダーシップ、しつけに左右される要素が大きいと考えられます。
 ただし、あえて初心者が選ばないほうが無難な犬種はあるようです。東京都国分寺市のオリーブ動物病院の有薗浩見院長にお聞きしたところ、このようなご意見が。「攻撃的な性質の犬、たとえばフレンチブルドッグを含めブルドック系、土佐犬、また、おっとりした見た目に反して闘争性の強いブルテリアなど、元々闘犬としてつくられたような犬は難しいですね。そういった犬を複数飼いして、ほかの犬たちとケージで分けて飼っている人もいますが、闘争心の強い種類は避けることをおすすめします。」

犬の大きさもポイントに

 もう一つの目安は犬同士の大きさです。小型犬同士、中型犬同士というほうが比較的うまくいくようです。むしろ犬種より大きさを合わせたほうが成功することが多いと、有薗先生も助言しています。加えて、こんなご指摘も。「小型犬同士のほうが世話をするという面でも無難でしょう。複数になれば、ペットが病気にかかったり高齢になって看病や介護するにも大変ですし、中型犬以上の大きさで複数になると、病院へ連れていくだけでも大変になってきます。」

複数飼いに向く組み合わせや性格は

 「私の経験では同性同士、特にメスとメスの相性が良いように思います。また、去勢していることが前提ですが、オスとオスもですね。オスの場合は双方去勢していないとあばれますから、去勢は必須です。」と有薗先生。「あとはやはり性格次第で、一匹でいるのが向いている子もいます。自分を人間と思っているようなタイプの子は、あとから2匹目が来ないほうがよいかもしれません。また、おくびょうで飼い主べったりの子などもそうですが、犬によっては単独のほうが良い場合もあります。」

 複数飼いに向く性格は、他の犬などに興味津々で好奇心が旺盛な子、フレンドリーな子だそうです。

対面前にワンクッション置いてみる

 先住犬と新住犬を最初からいきなり引き合わせるのではなく、ワンクッション置くという工夫も効果的です。先住犬からすれば、自分のなわばりに突然知らない犬が侵入してくれば、敵と見なして攻撃してもおかしくありません。初対面でいきなり仲良くなれば良いですが、逆のリスクも大きいので、少し段階を踏むとよいでしょう。
 有薗先生は、「新入りとの相性を見るために、飼育環境が許すならば、最初は別々の部屋に住ませて姿は見せないようにしておくといいですね。様子を見ながら段々、相手の存在が分かるようにしていくと互いに慣れていきます。」とアドバイスしています。

飼い主さんがリーダーで、先住犬を優先させる

 複数飼いに関して成功の決め手になるのは、やはり、飼い主さんがペットたちの良きリーダーとなり、それぞれの犬にふさわしく接することのようです。そのために最重要なことは、何事にも先住犬を優先させ、新住犬よりも上の地位に就かせることのようです。そうすれば新住犬は自然に先住犬に従い、もともと群れ動物の犬にとって重要な上下関係の秩序が保たれ、犬たちも平和を保てます。

 「新住犬を甘やかしたり優先させたりすると、先住犬がやきもちを焼き、地位を脅かされたと感じてしまいますので、先住犬を優先してください。先住犬が上位に立ち、しっかりしていると、新住犬も先輩のまねをしてトイレのしつけをはじめ、さまざまなことを学んでいきますし、相互の関係も良くなります。」と有薗先生は飼い主さん側の適切な対応がカギとなることを強調しています。

 ペットたちが互いに仲良く生活できれば、飼い主さんもペットも幸せが2倍、3倍になっていきますが、失敗すると辛さが2倍3倍という結果にもなりかねません。飼い主さんご自身のリーダーとしての心構えと共に、先住犬の性格や状態をよく観察しつつ、ベストな選択を見いだしてください。

取材協力:オリーブ動物病院(東京都国分寺市)http://www.olive-ah.com/index.htm


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