しつけ・ケア

動物たちを知ろう 第6回 犬が「噛む」理由を知る

動物たちを知ろう

第6回 犬が「噛む」理由を知る

    


「噛む犬」と聞くと多くの人は「しつけが悪い」と考えます。
しかし、犬が噛む行動の要因となっているのは、
 
     ・性別
     ・犬種
     ・育ち方や飼われ方
     ・病気によるもの
 
これら4つの要素が絡み合い、結果として「噛む」という行動をとるようになります。

犬が人や犬を攻撃するには必ず理由があります。
それは「その犬の我慢の一線を越えてしまう」ことです。犬種や個体により、その我慢の一線に差があるものの、それが犬たちの理由なのです。
もし飼い犬が、人や他の犬を噛んでケガをさせてしまうことがあったら家族にとっても犬にとっても大きなストレスになってきます。
そんな犬たちをしつけをすることは当然ですが、なぜ「噛む」のか?その犬の背景を知ってゆくことも大切です。
では、この4つの要素について考えていきましょう。

性格

犬が噛む事件の多くはオスによるもので、雄性ホルモンが影響していることがわかります。
メスの場合は、避妊をすると体内の性ホルモンのバランスが雄性に傾いた場合、攻撃性が増すこともある。同じ犬種や兄弟姉妹犬であっても、性ホルモンの分泌には差があります。
これもひとつの要因であるととらえておきましょう。

犬種

あるドッグトレーナーさんが話されていました。
「疲れた犬は、いい犬だ」
 
牧羊犬・猟犬・ワーキンググループの犬たちは、それぞれ仕事をするために育てられてきた犬種です。これらの犬は、賢く覚えがよく好奇心も旺盛です。
その賢い犬たちが、生まれ持った能力を発揮することがなく、何もすることがなかったら、暇をもてあましストレスをためていきます。
優秀な犬ほどその傾向が強く、ストレスをためることで問題行動を起こす要因となるのです。
その犬種・個体にあった運動や頭を使うことを与えましょう。
「疲れた犬は、いい犬だ」

育ち方や飼われ方

仔犬の頃、小さくてかわいいからと、つい甘やかし過保護になりがちになります。
仔犬はどんな色にも染まっていきます。成長が早い犬を犬として育てることが大事です。
 4~6週齢
目も開かない状態で生まれてきた仔犬は4週間すると徐々に乳歯が生え、兄弟同士で取っ組み合いをするようになります。おぼつかなかった足も強くなり、より犬らしい動きができるようになってくるのは6週間頃です。
この時期から仔犬にとってすべての行動と経験が将来への大事な布石となってゆきます。
 
 8~12週齢
この頃になると離乳が終わり、兄弟犬とおもちゃやエサの取り合いを通して「戦闘遊戯」をはじめます。
親犬や兄弟犬との「戦闘遊戯」により仔犬は犬同士のルールを覚え、そして体に潜んでいる攻撃性も大半はこの時期に発散されてゆきます。
親犬・先輩犬と一緒に暮らしている仔犬は、常に度が過ぎたりルール守らないと怒られ、喜ばしい行動をした時には愛情を受け取ります。
つまりこの時期の犬の躾けは先輩犬に任せるか、人が躾けるならば犬たちのような一貫したしつけがとても大切になります。
 
ペットショップで販売されている犬たちは、こうした経験が不足していること。
そして、一人っ子で迎えられた犬は犬との接触することでの大切な経験ができず、飼い主がしつけしきれないことが後の問題につながってゆくことになります。
 
*トルムラー著書『犬の行動学』より
犬は生後4-7週を「刷り込みの時期」とし、この時期に犬が将来仲間として暮らして行くべき存在を刷り込まれるという。生まれた環境により、犬のほかに猫がいれば、猫を同類と受け入れ、またヒトの手に触れることが多ければヒトを仲間として刷り込まれる。

「レージ・シンドローム」とは

さっきまで大人しかった犬が突然狂ったように暴れだし、性質の二面性を持って激しい攻撃性を示す状態、「激怒症候群」といわれる先天性の疾患です。
 
この疾患は、典型的な威嚇のカーミングシグナル「歯をむき出す」「低く唸る」など犬が攻撃を始める前の外見的予兆がなく、直立不動の状態から突然最終攻撃にかかります。
相手が逃げ回ろうとも降参しようとも攻撃が止まらず、興奮がピークに達し、また突然電源が切れたかのように大人しくなります。
そして、最も怖く悲しいことは、このような状態が定期的に発症することです。
 
この症状は、脳の疾患であり現段階では薬で攻撃性を鎮めることしかできず、残念ながら根本的な治療方法はありません。

病気(レージ・シンドローム)である以外は、犬の社会化が出来ているならば、犬の反応を予測し対応することができます。これは犬同士だけでなく、犬がヒトを噛む場合にもいえることです。飼い主は、犬が歯を剥き出し唸った時点で気が付くはずです。
そんな愛犬のサインを見落とさないことは飼い主の責任でもあのです。
そして「噛むから」というのを理由に保健所に持ち込まれる犬が多くいる現実に向き合い、恐怖を感じ自己防衛として攻撃性を示す犬の行動を理解し対応してゆくことが、犬と暮らす人間の責任であることを自覚してくことが大切なのです。

 

2015年10月9日掲載

 

 

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 GORON 吉川奈美紀 

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