動物たちを知ろう
第3回 猫のボディーランゲージ
猫は、愛想がないように言われることもありますが、表情や声をさまざまに使い分けて人間に語りかけています。ただ、その表情やしぐさが微妙なために、理解しにくいと感じがちです。
今回は、猫のボディーランゲージの基本的な知識をご紹介します。耳や目、しっぽ、瞳孔の大きさ、鳴き声などを注意深く観察して、猫からのメッセージを正確に読みとれるようになりましょう。
ひげを見る
誰が見ても分かりやすい反応です。
満足しているときは、ひげがピンと立っています。
ひげの先までピンと立ったひげが、前面に大きく広げ先端が鼻より前に向いているときは、警戒・緊張しているとき。
大好きな玩具などを見て興奮しているときも、ヒゲがワサワサと前に広がります。
ひげが、下がっているときは、リラックスしている状態。
また、眠っているときは、ヒゲがほおにくっついて体の方を向いています。
耳を見る
耳がピンと立っているときは、平常心。
逆に、耳が後ろを向いた状態はストレスを感じているときです。
一時的に後ろを向いているだけなら、特に問題はありませんが、一日中続くようであれば、かなりのストレス状態にあると考えなければいけません。周囲にストレスの元となる(騒音や臭い、新入りの犬や猫、不快な生活環境の変化)があるはずなので、すぐに取り除いてあげましょう。
怖がっている時は、尻尾を巻いて耳をぺったんこにし、姿勢を低くする。萎縮して、相手の攻撃心をなくそうとしています。
目を見る
満足しているとき、喜んでいるときは目を細めます。
完全に目を閉じて、耳を前方に向け、ゴロゴロとのどをならしているのはリラックスしているサイン。
耳は後ろにぴったり倒し、瞳孔は丸く広がっているときは、威嚇や恐怖を感じている時です。
猫のしっぽは気持ちのバロメーター、犬と同様にとても多くのことを語っています。動きひとつにもさまざまな意味があります。
しっぽを立てて近寄ってくる
しっぽを垂直に立てて、近寄ってくる場合は、かまって欲しかったり、甘えたかったりする時です。ごはんやブラッシングなど、何か要求があるはずなので、飼い主の方で察してあげましょう。
しっぽを左右に動かす
猫が、左右にシッポを動かすのは、感情が高ぶったとき。
不愉快なとき、うれしいとき、戸惑ったときのシグナルです。
「しっぽを振ってしている時は喜んでいる」と、勘違いしている人もいるかもしれませんが、全く反対の意味もあるで気をつけましょう。
また、好奇心をそそられる獲物などを見つけて興奮しているときには、しっぽの先だけを小さく左右に動かします。
しっぽをお腹の下に隠す
猫が、何らかの恐怖を感じた時に、このポーズをとります。
猫は、自分の体を小さく見せることで、恐怖を感じる敵をやり過ごそうと考えているようです。
しっぽの毛を逆立てる
何かに驚いたり、恐怖を感じているときなので、猫が落ち着くまでそっとしてあげましょう。
また、相手を威嚇する時にも、猫は背中やしっぽの毛を逆立てます。
これは、自分の体を大きく見せて強さをアピールしています。しっぽの毛を逆立てて太くし、それを弓なりに持ち上げている場合は、ケンカに勝気満々、強気になっている状態です。
首をかしげる
首を片方にかしげたり、頭を上げたりするのは、猫の一般的なあいさつです。
外出先で知らない猫と出くわしたときに、ケンカを避けるためにとるポーズです。
体をすり寄せる
これも「あいさつ」ですが、首をかしげるよりも親愛の情がこもっています。
仲間の猫同士は、お互いの体をこすりつけあってあいさつします。これは本来、マーキングの仕草でもあり、顔の分泌線から出る自分のニオイを相手にこすりつけて、仲間であることの確認をしているようです。
また、飼い主の足に、しっぽを立てて体をすり寄せてくる猫もいますが、あれもニオイづけをして、飼い主との関係をより親密なものにしようとしていると考えられます。もし、猫がしっぽを立ててあなたの足に体をすり寄せてくるのなら、それは猫があなたを大好きな証拠です。
おなかを見せる
猫が床に転がっておなかを見せるのは、降伏のポーズです。
または、飼い主に対する信頼の証でもあります。
噛みつく
ブラッシングなどをしているときに、それまで気持ちよさそうにしていたはずなのに急に噛みつかれることがあります。少々理解に苦しむ行動なのですが、これは「もう充分満足したから、これ以上かまわないで!」という合図です。
自分勝手な行動のような気もしますが、これぞわがまま気ままな猫の本領発揮といったところかもしれません。
体をなめる
人間に触られたり抱かれたりした後に、猫が自分の体を一生懸命なめるのは、体についてしまった人間のニオイを取り除くためです。、飼い主としては、少しショックなしぐさかもしれません。
服やカーペット、自分の体をかみ続ける
ストレス信号です。食器やトイレが汚れていたり、部屋を模様替えを頻繁にしているなど、ネコのストレスは意外なものが原因で起こることがあります。大抵の場合、生活環境を改善する事でストレスは解消されるようですが、中には病気が原因で暴れている場合もあります。注意深く観察して、必要なら動物病院で診てもらいましょう。
猫は、犬に比べると、感情の起伏が顔の表情にあまり表れません。これは、犬の祖先がおもに草原などで群れをつくって狩りをしていたのに対して、猫の祖先は、一匹ずつ森や林などにひそみ、獲物にしのびよって狩りをしていたという生活様式の違いによるものと考えられます。
猫は群れで暮らさず、単独で狩りをするため、親子や兄弟以外、猫同士、お互いの顔がはっきり見えるほど近づいて、大げさな顔の表情で親愛の情を表現する必要はほとんどありません。また、家族同士で甘えることを別にすれば、猫同士が自分より強い仲間に「服従」の表情を見せることもありません。発情期や子育て中以外の接触は“獲物”だけという猫にとって、相対的に「表情がとぼしい」ことは理にかなっているのです。
猫同士、顔を合わせずにすむなら、それが一番!というのが猫の生き方・付き合いの基本なのです。
感情を強く表現して、身体や顔全体で威嚇するのは、猫がなわばりや家族を守るために相手を遠ざけようと必死になるときだけといえます。
すなわち、ほかの猫が自分に近づいてこないように、猫は毛を逆立てたり、耳をうしろに伏せ、口を開け、牙を見せ、おそろしい声をだして、からだ全体、あるいは顔全体で「あっちへ行け」というメッセージを伝えているのです。
静かな「無表情」は、むしろ友好のしるしといえるかもしれません。
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GORON 吉川奈美紀
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