殺処分ゼロを目指して
~「ちばわん」の活動から~
~「ちばわん」の活動から~
第9回 今後の活動と読者に向けて
‐新たに展開していきたい活動は何でしょう?
TNR(Trap Neuter Return)活動(いわゆる地域猫活動)を市町村単位でやってもらえるようにしたいと思っています。将来的に必ずその地域のためになるので、業務のひとつとして取り組んでもらえるようになればと思っています。
野良猫の問題では、苦情の対応に非常に多くの時間がとられていると聞きます。 そういう猫は捕獲され処分の対象となるわけですが、処分費用もかかります。それでも野良猫はどんどん増えるので、処分のための費用は毎年かかり続けるわけです。TNR活動は、一時的には手術費などの費用がかさむかもしれませんが、確実に野良猫は減っていきます。そうすれば苦情は減り、処分費用は必要なくなります。自治体が業務として取り組むことで着実な成果が期待できると思います。何より殺さなくてすむんですから、これ以上のことはありません。
‐夢はありますか?
まずは殺処分ゼロを実現することですね。また、動物保護団体はたくさんありますが、横のつながりが乏しいと感じています。いつか、志を同じくする他の団体と協力してやれるようになればいいな、と思っています。
‐読者に向けて、何かひと言お願いできますか?
どんなに小さなことでも、できることが必ずあります。自分の今の生活を乱さずにやれることから、まずは始めてほしいと思います。気持ちよくやることが続けることにつながりますし、続けることが大きな力になります。
‐長時間、ありがとうございました。
市場に出てくる犬や猫たちは、どこからやってくるのでしょうか?彼らのお母さんはどのように育てられ、何度子どもを生んだのでしょう? 家族連れで賑わうペットショップで、いつもかわいらしい子犬や子猫が陳列されている一方、「もう、いらない」と言われる命がある現実。
動物愛護センターに収容されている動物たちは、ごく普通の、どこにでもいる犬や猫たちでした。部屋をのぞけばそばに来て静かに尻尾をふり、どこかに触れてほしいそぶりを見せます。彼らはかつて、たしかに人のそばにいたのです。心から愛してくれる飼い主と出会えた幸せな子と、人知れず闇に葬られる子の間にあるのは、運でしかありません。そして、その運はすべて私たち人間が握っているのです。
「 ちばわん」に賛同し、その活動を支えているボランティアのお子さんたちは、ごく自然に、当たり前に動物の命について考えるようになるでしょう。代表の扇田桂代さんは、なるべく地域の人や子どもたちの目に触れる昼間にTNR活動を行っているとおっしゃっていました。大人たちが積極的にこの問題に関わることで、次の世代の意識は確実に育っていきます。
世の中には、考えなければならない問題がたくさんあります。犬猫をめぐる状況も、たくさんの問題の中のひとつに過ぎないかもしれません。でも、私たちが世の中のすべての問題に大きく関与し続けることは不可能です。ならば、それぞれが自分のできる範囲で、自分の目の前に提示された問題に取り組むことが大事なのではないでしょうか。ペットたちの現状を「どこかおかしい」と感じる人は、ぜひ動物たちが直面している問題に目を向けてほしいと思います。センターにいる子たちにとっては、今日明日にも消えて無くなるかもしれない、自分自身の命の問題なのです。
保護団体から動物を譲り受けることが当たり前になり、どんなに小さなことでも、この状況を改善すべく行動する人たちが増え、いつの日か“殺処分”という言葉が無くなる日が来ることを願ってやみません。
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