乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬のストレスについてです。
私たちと同じように、馬も日常生活の中でさまざまな形のストレスを経験します。
通常、馬は短期間のストレスにほとんど問題なく耐えることができます。
しかし、慢性的なストレスは健康と幸福に悪影響を与える可能性があり、実際に悪影響を及ぼします。私たちが最善の努力をしても、馬は生涯ストレスを経験することになるということを覚えておくことが重要です。
しかし、馬をお世話する私たちの役割は、これらのストレス要因を管理し、馬たちの生活への影響を軽減することで馬をサポートすることです。
馬に起こるストレスの種類と原因
馬が経験するストレスの種類は、急性(短期)または慢性(長期)とあります。
・急性のストレスとは
《 要因 》 突然または短期間の出来事
具体的な事例:
- 突然の天気の変化 急に暗くなって強風が吹いてきたり、雷が鳴ったりなど不穏な空気を馬は感じとります。
- 輸送
- 食事の変更または授乳のタイミングを逃した
- 予想外の大きな騒音
- 日常生活の突然の変化 飼育環境が変わったりなど
- 子馬の離乳(子馬と母馬の両方に影響)
- 競技・イベント
《 解決策 》 馬自身が克服する・馬がその要因に慣れる
・慢性的なストレス
《 要因 》 長期間にわたって持続するより長期にわたる出来事
具体的な事例:
- 運動/トレーニング体制
- 跛行
- 偏った食生活
- 長期間にわたる異常気象
- 寄生虫
- 妊娠 特に初産の場合は、妊娠が分からず身体の変化に戸惑う馬もいます
- 長時間の拘束など 洗い場に立たせっぱなしや、馬房から出られないなど
《 解決策 》 長期にわたるストレスを馬が克服するには、その要因を取り除いたりサポートをしなければなりません。
馬にとってストレスとなる状況は数多くあります。
ストレスの多い状況に個々の馬がどのように反応するかにも大きなばらつきがあります。
重要なことは、急性ストレス要因と慢性ストレス要因を区別できるようになり、管理においてどのように対応すればよいかを知ることです。
後編は、ストレスが馬の健康と栄養に与える影響のお話です。