おでかけ

馬とファッション-8 パリの競馬場

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬とファッション第8弾「パリの競馬場」のお話です。

競馬場というと日本ではギャンブルのイメージが強いと思います。
近年では女性や若者の競馬ファンも増え、競馬場にも女子が楽しめるスポットや可愛いスイーツが売られるなど、少しずつそのイメージも変わりつつありますね。

ヨーロッパでは、競馬場は社交界そのものであったという歴史と文化があります。
それは日本の競馬場とは全く違う世界!
その歴史を紹介します。

【 ロンシャン競馬場 】

フランスでは18世紀に入ると次々に大きな競馬が開催されるようになりました。
のちフランス革命で競馬は中断されましたが、ナポレオン3世の時代になって1852年にパリ市の所有するブローニュの森にロンシャン競馬場が新設されました。
現在でも、土地はパリ市の所有となっています。

観覧席には、等級がありました。
当初は、賭けは行われていませんでしたが、次第に非公認に行われるようになったようです。
当時、タバコ店で馬券が売られていた名残りで、公認になってからもタバコ店で売られています。

ロンシャン競馬場のトラックの脇には、名物の古い風車があり、風情に趣を添えています。
かつてその場所には「ロンシャンのノートルダム」と呼ばれる修道院がありました。

ロンシャン競馬場の二大レース

「パリ大賞典」は、1863年に第1回が施行されました。
「凱旋門賞」は、第一次世界大戦に連合軍が勝利した記念に1920年に創設されました。

1865年にパリ大賞典で勝利をおさめた「グラディアトゥール」は、ロンシャン生まれの馬でありながら、イギリスでも次々と勝ち、歴史に残る名馬として語り継がれています。
競馬場の正門に銅像が建っています。

現在では世界で最も美しい競馬場といわれ、凱旋門賞の当日などのパドックの周辺は美しく着飾った女性たちのドレスの見せ場ともなっています。

【 シャンティー競馬場 】

シャンティー競馬場は、1834年にできました。
パリから40キロの郊外に位置します。フランスにおける現存する最古の競馬場です。

この周辺の土地は、領主のモンモランシー家が城を建て、美しい庭を作り少しずつ形を作っていきました。
次の領主のコンデ家は7000ヘクタールの敷地に当時もっとも有名なマンサールに設計させた城はヴェルサイユ宮殿にも匹敵するような壮麗な建物となりました。

また、フランス中の駿馬を集めようとして建てられた大厩舎(グランドセキュリ)は素晴らしかったそうです。
狩の好きだったルイXV世はシャンティーの森で狩猟を好み、この城は狩のための基地となりました。
当時大厩舎には240頭の馬と4000匹の猟犬がいたそうです。

狩猟を楽しんでいた王子が即席の競馬を思いついて、シャンティー城の庭の芝生で競馬を行ったのが始まりと言われています。

毎年6月に開催されるディアンヌエルメス杯は、ロンシャンの凱旋門賞に劣らない華やかさがあります。
5月パリの帽子職人は、このレースを目指して注文が殺到し大忙しとなるそうです。

ディアンヌエルメス杯の招待状には

「帽子は義務ではありませんが、シャンティー競馬場にふさわしいエレガンスをお忘れなく」という注記まであるそうです。
帽子に羽や花を飾るのではおとなしすぎると、オブジェのような帽子が招待席では溢れると言います。
エルメス杯を描いたHERMESのスカーフがあり、そちらも雰囲気がとっても素敵です。

もちろん招待客にはなれませんが、一度でいいからパリの競馬場に行ってみたいです!!

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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