進由紀

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話「馬の行動の特性を理解しよう」

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は、馬の行動の特性について。

皆さんにとって馬はどの位身近な存在ですか?
乗馬をやって、乗馬クラブで毎週会っていたり、自分の馬を持っている人にとってはすごく身近で家族やパート ナーと思っている人もいるでしょう。一方で、見たことはあるな、という程度の人もいますよね。
馬が身近な存在だとしても、馬は人でもなければ、犬や猫とも全く違う特性を持った動物です。それを理解して 接しないと、事故に繋がったり馬にとって不幸な状況になりかねないのです。
馬の特性を理解する事は馬ともっと仲良くなって、本当の家族やパートナーとなる為に大切です♪

草食動物である

皆さんご存じの通り、馬は草食動物です。
現代の日本人にとって 1 番身近な動物は犬や猫だと思うのですが、犬や猫は基本的に肉食動物(やや雑食傾 向もありますが)ですよね。
つまり、犬や猫が捕食する側で、馬は捕食される側(被食者)の動物です。 ですから馬と犬や猫は全く違う行動特性を持っている、という事です。 馬の行動特性は草食動物であるという事が軸となっています。

逃げることで身を守る動物である

草食動物である馬は、肉食動物から襲撃されると走って逃げます。
逃げて身を守って進化した動物です。

 鋭い知覚能力を持っている

肉食動物よりも知覚が鋭く、危険を察知する能力が優れていなければ身を守ることが出来ません。

危険を察知し、動作まで素早い反応ができる

危険を察知してから行動に移すまでの素早く機敏な神経を備えています。

 恐ろしい事に対して、安全であると判ると迅速に慣れる

馬にとって恐ろしいと感じる事であってもそれが無害ならば、恐ろしいと感じる感受性を即座にやわらげる事ができます。
例えば雷や他の草食動物を気にしていては、いつまでも逃げ回っていなくてはならなくなります。
そこで、馬は経験したことを安全か危険かの 2 種類に分けて理解しています。

 A:安全なもの=慣れてむ無視すべきもの
 B:危険なもの=逃げるべきもの

 優れた記憶力を持っている

逃避は物事に対する馬の本能的な行動だが、どこまで逃げるか、どこに逃げるのか等は、信頼できる記憶に頼っています。
この記憶力を利用して調教やトレーニングを進めますが、その過程ではなるべく恐怖につな がる経験を与えない様に気をつける必要があります。

 リーダーを必要としている

馬は群れで行動する動物であり、群れを引率するリーダーを必要とします。
リーダーは群れが移動する「ス ピードと方向」をコントロールします。
通常リーダーは、経験豊かな高齢牝馬であり、雄馬は群れを所有するボスであるが、群れの中の秩序や動きについては、力は弱くとも経験豊かな恒例の牝馬に従います。

 馬は安全と快適を求める

肉食動物からの襲撃に備えて鋭い感覚、反応力を持っていることは、それだけ馬が「安全・快適」への願望 を非常に大きく強く持っているということです。

 動きのコントロール=馬の心もコントロール

馬は逃げることで生死が決まるため、動きをコントロールすると信頼する仕草を見せます。
馬と接する上で、 馬の動きを適切に制御できれば、その馬のリーダーになれます。

 ○馬ではなく、人の意志で馬を動かすこと
 ○逆に人の意志で、馬の動きを制止できること

つまり、馬の動きのコントロールは馬を心理的にもコントロールすることにつながります。
大切な事は恐怖や力で制御するのではなく、馬とのコミュニケーションにより、馬が安心し信頼する事! 馬は安心を求めています。
馬がついて行きたくなるリーダーとしての行動をとれていますか?

馬の行動特性のいくつかをご紹介しました。
知らず知らずのうちに馬に恐怖心を与えたり、緊張させたりしているかも?
馬から見て、自分はどう見えているか、そんな風に常に省みながら接する事ができると、もっと馬と仲良くなれると思います。

 

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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