健康・病気

犬と猫と人間 『放射能と被ばく』のお話し 【その1】まずは、原発事故後の日本の状況知ろう!

犬と猫と人間
『放射能と被ばく』のお話し

【その1】
まずは、原発事故後の日本の状況知ろう!

    


先日、ある映画を観てから一緒に暮らす愛犬への放射能の影響について、深く考えるようになりました。

映画『小さき声のカノン ―選択する人々』
鎌仲ひとみ監督作品福島-チェルノブイリ 国境を超えて「被ばく」から子供を守る母たちのドキュメンタリー映画。
【小さき声のカノン ―選択する人々公式ウェブサイト】
http://kamanaka.com/canon/
 
”放射能”は、全ての生き物の身体に深刻な被害をもたらすもの。ということは知っている、、、
2011年3月11日の震災で引き起こされた原発事故から間もなく6年。
今、たくさんの情報の中で決して見逃してはいけない情報の埋没と記憶の風化が『放射能と被ばく』から人々の意識を遠ざけているのではないでしょうか。
 
基本的な知識を持ち、状況を正確に知ることで、危険な無関心や過剰な警戒がなくなり、必要な注意を払うことができるのだと思っています。
今回、一般人として筆者の知り得る知識と現状について、できるだけわかりやすくお伝えいたします。
我が子のように大切な愛犬・愛猫と暮らす多くの飼い主さんにとって、少しでも愛犬・愛猫を守るための助けと”選択する”切欠になることを心より願っています。

ベラルーシと福島県(関東)の土壌汚染比較

映画を観てなにより驚いたことは、福島県と関東圏内の広域にわたって、高い数値の土壌汚染データがでていることでした。
その土壌汚染レベルは、チェルノブイリ原発事故で放射汚染があったべラルーシと比較すれば一目瞭然で生き物の身体に悪影響を及ぼすレベルにあることがわかります。
《下図参照》
チェルノブイリ原発事故5年後に、ベラルーシでは被災者の社会的保護に関する法律を制定し、土壌汚染度に対応した住民避難の基準を制定しました。
そのベラルーシの避難区分の基準を福島県内のセシウム137の土壌データと比較すると、福島県とその周辺(関東など)で多くの人が暮らし続けている場所が、世界基準で避難を考えなくてはならない汚染状況にあることがわかります。
この現状に「知らないでは済ますことができない」という危機感を感じました。

福島県のセシウム137土壌沈着データ

※抜粋:『小さき声のカノン ―選択する人々』プログラムより

*ベラルーシとは
ベラルーシ共和国、通称ベラルーシは、東にロシア・南にウクライナと国境を接するソビエト連邦から独立した東ヨーロッパに位置する共和制国家。

土壌の放射能汚染とは?

原発事故後、大量に放出された放射性物質が空中を一定期間浮遊しながら地表へ降り注ぎ、放射性物質の堆積となり放射線を出します。
原発事故から数年経った現在、空間線量が減少し、除染(土壌を汚染した放射性物質を取り除く作業)が進み、以前より空間放射線量は下がってきました。
しかし、土壌に含まれている放射性物質がなくなるわけはありません。
物理的な法則からみて、放射性セシウムの放射線が1000分の1になるためには、300年の年月が必要になります(半減期)。
土壌汚染数値が高い場所では、空間放射線量も上がります。
空間放射線量が下がったらかといって安全なのではなく、土壌汚染を基準として考えていくことが必要です。

「半減期」ってなんのこと?

放射性物質が放射線を出す力が半分になるまで必要とする期間のことです。
その長さは、放射性物質の種類によって違います。
例えば、
     ヨウ素131の半減期:8日
     セシウム137の半減期:約30年
     プルトニウム239の半減期:2万4000年!!

※参考および抜粋:『小さき声のカノン ―選択する人々』プログラムより

「自然放射線」と「人口放射線」の違いは?

自然放射線・人工放射線のどちらも、核分裂時に放射線を放出するという点で全く同じものです。
 
【自然放射線】
     *大地からの放射線…
     大地の岩石や土にごくわずかに含まれている。
     ウラン、トリウム、ラジウム、カリウム40なの自然の放射性物質から出る放射線
     (日本では年間0.33ミリシーベルト)
     *宇宙からの放射線(宇宙線)…
     宇宙から地球に飛んでくる放射線(日本では年間0.3ミリシーベルト)
     *空気中からの放射線…
     大地に含まれるラジウムは、放射線を出して気体の放射性物質ラドンに変わる。
     ラドンは地中から空気中に拡散し、呼吸によって体内に取り込まれます。
     (日本では年間0.48ミリシーベルト)
     *食物からの放射線
     ほとんどの食物には放射線を出すカリウム40などが含まれています。
     私たちは食物を食べることにより、体の内側からも放射線を受けています。
     (日本人の摂取した食物から受ける平均放射線量は、年間約0.98ミリシーベルト)
 
     【人口放射線】
     *医療用放射線…
     レントゲンやCTスキャンなど診断やがん治療など医療現場で使われる放射線
     *放射性降下物などからの放射線…
     核実験や原発事故により大気中に放出されています。
     雨やチリと一緒に地表や海に降り注ぐ放射性物質
     *原子力施設からの放射線…
     原子力発電所など原子力施設から日常的に出ている放射線
 
参考:東京都健康安全研究センター「放射線基本知識編」
http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/etc/qanda01/
 
人工放射線は、自然界には殆ど存在しない物質であることが最大の問題点となります。
生き物は、進化の過程で微量の自然放射線に対する耐放射性能力を身に付けてきました。
微量であれば、修復機構や免疫機能によって適応できても、原発によって発生する大量の人工放射線への耐性は、ほぼゼロ。
自然状態ではほぼ発生しないような放射性核種が100種類以上。
原発事故により大量に拡散してしまった人工放射線は、すぐに対処できるようなものではなく、また自然に任せていても簡単には安定することのない、物質なのです。

 

次回は、
「散歩・食べ物からの”内部被ばく”を考えてみよう」をお伝えします。

 

2017年2月10日掲載

 

犬と猫と人間
『眠り』のお話し

犬と猫と人間
『放射能と被ばく』のお話し 【その2】

吉川 奈美紀

吉川 奈美紀

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(きっかわ なみき)

ヨガ・ピラティス・空中ヨガ インストラクター
メディカルアロマアドバイザー

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