進由紀

馬の群れの行動を知る〈 前編 〉

ご存じの方も多いと思いますが、馬は本来群れで行動し、生活する動物です。
現在では、世界的に見ても完全な野生の状態で生きている馬たちはそうそういないと思います。
ですが、馬同士がある程度社会性を築けるような多頭放牧など、自然環境の中で自然な馬の行動や、群れの動きを観察することは、人間が馬とコミュニケーションをとる際の自分の役割を理解するのにとても役立ちます。

群れの全体の動きを念頭におくと、全ての馬が簡単に理解できる言語でコミュニケーションを取ることができ、人間との間で会話ができる様になり、馬のトレーニングにも効果的で、また充実したものとすることができます。

牡馬の役割

群れの中には通常、先頭の種牡馬と先頭の牝馬がいます。
群れの安全と移動を保つのが彼らの役割です。先頭の牝馬が群れの先頭に立ち、牡馬が後ろから押すことで、群れを食料と水へと導きます。

野生の馬の群れの力関係において、種牡馬には他の馬間の争いを解決するという第二の役割もあります。
全ての争いに介入するわけではなく、軽い争いの場合、特定の教訓を学ぶために単独で戦うことが関係馬にとって最善であると判断した場合、種牡馬は介入せずに、注意深く見守りながら、争いを続行させる事もあります。

戦いがより深刻で、群れが危険にさらされたり、主種牡馬としての立場が脅かされたりする場合、種牡馬は攻撃的なボディーランゲージを示して介入します。
ほとんどの場合、これは首を下げ、他の馬に向かって耳を平らにすることを意味し、多くの場合、短い突撃で行われます。
これで十分でない場合は、最後に噛みついたり蹴ったりして、この行動すべてを示します。相手が理解した事が見えると種牡馬はすぐに受け入れ、食事やグルーミングなど、争い前に行っていたあらゆる活動を再開します。

群れの階層

残りの馬群には、先頭の牝馬と牡馬の後の最高ランクの馬から、最も低いランクの馬までの序列が与えられます。
馬が群れに導入されると、最初は最下位からスタートします。
挑戦し、上の馬の尊敬を得ることで、上に進むかどうかは彼ら次第です。
彼らは上位の馬の物理的なスペースに入り込むことでうまく行くとランクが上がります。
これ以外には、仔馬が成長して、群れから追放されると、そのポジションに誰かが入ります。
力関係や序列は常に変化するものの、個々の馬のランキングが大きく上下することはほとんどありません。
上位の馬は通常支配的な性格を持ち上位に留まり、下位の馬は大抵が消極的で下位の順位を受け入れています。新しいメンバーが入ると、最下位から、徐々に自分の性格に合ったランクまで上がります。

毎日の行動

馬には毎日の日課とパターンがあります。
生活環境や時期によっても異なりますが、一般的には食事から1日が始まり、その後仲間とグルーミングをします。
毛が生え変わる換毛期などは、群れのメンバー間の絆を見るのに適した時期です。
多くの馬にはお気に入りのグルーミング仲間がいて、多くの時間を一緒に過ごす親友がいます。
馬はグルーミングだけでなく、横になって日光浴をしたり、半分うとうとしたりして休むこともあります。
群れの中には、捕食者を警戒するために起きている馬がいます。そして水飲み場へ移動して水を飲んだり、水浴びをしたり、ゴロゴロと転がって砂浴びをしたりします。


後編では、群れの中での出産の話と、人間と馬とのコミュニケーションのために抑えておきたいポイントのお話をします。

馬の群れの行動を知る〈 後編 〉

進 由紀

進 由紀

投稿者の記事一覧

(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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