乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
今回は馬のいたずら「悪癖」についてです。
人にも色々な癖があるように、馬にも癖があります。
その中でも、良くないとされている癖を悪癖と言います。
悪癖は、運動不足やストレスなどが原因で引き起こされることがわかっています。
一度悪癖を覚えてしまった馬はそれを矯正するのはとても難しいです。
私がみた限りでは一生直りません。また厩舎に複数の馬がいる場合、悪癖はすぐに他の馬にも影響を及ぼしてしまうので、できるだけ悪癖を覚えさせない事が大切です。
馬の悪癖「さく癖」
馬房や放牧場で、柵を噛みながら空気を飲み込む癖です。
「ぐっぐっ」と音を鳴らすのでグイッポと呼ばれています。
馬房にいる時間が長く、リフレッシュができずストレスが溜まった馬がやり始めることがわかっています。さく癖をしている馬は疝痛になりやすいため、注意が必要です。予防&対処法としてはなるべく放牧時間を長くしたり、運動不足にならないよう、運動するなどです。
さく癖をする場所に苦いペーストを塗ったり、頭にバンドを装着して空気を飲み込みづらくする方法もあります。
馬の悪癖「ゆう癖」
馬房や洗い場に繋がれている時に、前駆を左右にゆらゆらゆらす仕草です。
舟揺りとも言われます。これもさく癖と同様に馬房内で退屈でやってしまったり、他の馬の真似でうつってしまったりで始まります。
重い身体を揺らすことで肢に負担がかかり、蹄が斜めに削れてしまったり、怪我や故障に繋がります。
ゆう癖の予防法もさく癖と同じく、退屈にならないように放牧時間を長くしたり運動不足にならないようにすることです。
ゆう癖は馬房の入り口に向かってやるので、馬房の入り口の扉が閉まるようにすることも良いかもしれません。
その他にもいくつかの癖がありますが、人に危険を及ぼす(咬癖、蹴癖、起立癖)ものや、馬自身の健康に害を及ぼすものでなければ、そんなに気にすることもないと思います。
できるだけ引き起こさないという予防が大切で、もし悪癖が出てしまった場合は悪癖をする時間や場所が少なくなるような環境の改善をして対処しましょう。