動物たちも「むくみ」ことがあるって、知っていましたか?
「むくみ」は、医学用語では「浮腫(ふしゅ)」といい、多くの場合、病気ではありません。
身体の中の水分の分布が変化した状態と考えてください。
人も含め、動物の身体は、半分以上が水分でできています。
そのうち約2/3が細胞の中に、約1/3が細胞の外(血液と細胞間質液)に分布しています。
血液が流れる毛細血管の壁には微小な穴があり、細胞間質液には毛細血管からしみ出した酸素や栄養素を細胞に届け、細胞の代謝によってできる二酸化炭素や老廃物を毛細血管に戻すはたらきがあります。
また、細胞間質液はリンパ管にも液体を送り込んでおいます。
「むくみ」は、何らかの原因によって、
・毛細血管からしみ出す水分量が増える
・細胞間質液から血管に戻す量が減り、細胞間質液が多くなる
・リンパ管がつまる
など、いずれかでおこります。
「むくみ」は病気のサイン
人間は、立ちっぱなしやデスクワークでの座りっぱなし、水分の取り過ぎ・寝不足・疲労などでむくむことがあります。
しかし、犬や猫にそのようなことでむくみがおこることはなく、様々な病気を原因としておこる症状です。
ペットの身体のむくみを見つかたら、まずは動物病院で獣医師の診断をうけて下さい。
「むくみ」がおこる部位ってどこ?
むくみが現れやすく観察しやすい部位は、
《犬の場合》 四肢・目および口唇部周辺
《猫の場合》 四肢
です。
多くの場合、冷感がありさわっても痛みのない腫れです。
(打ち身・打撲の場合、痛がったり赤みがあります)
そして、指で押してそのままもとに戻らない圧痕がみられます。
むくみには、「局部性のむくみ」と「全身性のむくみ」があり、心臓や肝臓・腎臓の病気を原因とする全身性のむくみは、数日から数週間かけてゆっくりむくんでくることが多いので、注意が必要です。
むくみを伴う病気について、詳しくお伝えすることはいたしませんが、命に係わる重篤な病気が潜んでいることもある動物たちのむくみ。
早期診断と速やかな治療が、大切なペットたちの病気を回復することにつながります。
日頃から、スキンシップやマッサージなど、動物たちに触れ、身体の変化を観察してあげて下さい。
参考文献:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科