アニマルライツ

あなたは、人目線ですか?犬目線ですか?

あなたは
     人目線ですか?
     犬目線ですか?


先日、長野市保健所にて開催された「犬のお悩み行動軽減セミナー」の講師を担当させて頂きました。
飼い主さんにとって、吠える・引っ張る・威嚇や攻撃するなど、共に暮らす犬の行動に対して様々な悩みがあります。
今回のセミナーでは、そんな悩みに対するトレーニング方法ではなく、犬の行動を『人の目線ではなく、犬の目線から考える』習慣をつけることが問題軽減の第1歩になることを伝えてきました。

困っている飼い主は、自分の目線や感情で愛犬のことを考えがちです。
例えば、
     「ハウスに入れるのは、閉じ込めるみたいで可哀想」
     「留守番中の粗相は、困らせるためにやっている」
     「叱っているのに止めてくれない」
     「犬をトーニングすれば、悩み行動が改善する」
 
――――――――――――――――――――――――――*――
 
子供の頃、実家で犬を飼っていました。名前は「アン」。
アンは、ブラッシンをする私を咬みました。
当時の私は、「綺麗にしてあげてるのになんで咬むんだろう?」と考えていました。
アンが、ブラッシングに慣れてないことに気づかず、ブラッシングされるのが嫌いなのに無理にブラッシングし、アンに「我慢しなさい」と思っていました。
 
――――――――――――――――――――――――――*――
 
―「ハウスに入れるのは、閉じ込めるみたいで可哀想」
犬は、囲まれた狭い場所で落ち着ける習性があります。
―「留守番中の粗相は、困らせるためにやっている」
留守番が苦手な犬は、部屋に自分の匂い(尿)を付けて不安を紛らわす。
―「叱っているのに止めてくれない」
飼い主が、叱った(つもり)の声を「かまってくれた!」と考える犬がいる。
―「犬をトレーニングすれば、悩み行動が改善する」
犬ではなく、飼い主が変わらないと犬の悩み行動は軽減しない。
 
犬を人間と同じ考え方や感情、願望や都合で判断すれば、犬の本当の気持ちに気付かず、ギャップがうまれます。
そんな状態でトレーニングをしても、なかなかうまくいきません。
「犬が何でその問題行動をするのか」
「犬は、どんな生き物なのか?どう考え学ぶのか?」

こうしたことを飼い主が学んだ上で「犬にとって本当に必要なこと」をしていくことが悩む行動の軽減につながります。
 
大切なことは、「犬」のトレーニングではなく、「飼い主」が自分自身の勉強なのだと気付くこと。
『人の目線ではなく、犬の目線から愛犬のことを考えること』
そのことを伝えていくのもドッグトレーナーの役割です。
 
「人目線ではなく犬目線で」と言ってはいますが、それはドッグトレーナーとして私も同じです。
飼い主に指導する時、この犬にはこうしてあげた方がいいと分かっていても、飼い主が費やせる時間や体力的に、日常生活でできないと言えば、飼い主ができる範囲内で取り組めるトレーニングを指導します。
それは、必然的に飼い主(人)目線の内容となり、うまくいかないこともあります。
飼い主の取り組みレベルや適性や都合に合わせることと、犬にとって本当に必要なことを指導することに優劣はなく、どちらも大事です。
ポイントは、バランス!程よいバランス加減は、飼い主と犬のペアでみな違うので、悩みどころです。

 

 
あなたは人目線?それとも犬目線で愛犬と向き合えていますか?

 

2017年2月24日掲載

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里見 潤

里見 潤

投稿者の記事一覧

(さとみ じゅん)

ドッグコーチ

1975年、横浜市生まれ。2004年、警察犬訓練校に入学、出張トレーニング会社を経て、保護活動団体「Dog shelter」の専属スタッフとして、保護犬のトレーニング、一時預かり家庭と里親家庭の間に入り、アフターフォローを担当する。
2012年7月より独立。出張、及び預託トレーニングを柱に活動する傍ら、保護犬の一時預かりを継続中。
 
日本警察犬協会公認訓練士
ジャパンケネルクラブ公認訓練士
東京都動物愛護推進員

 保護犬預かりを主に、トレーニングのことを書いている里見潤さんのブログ
 「イヌと歩けば。」http://setahachidog.blog.fc2.com

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