犬と共に踏み出す一歩
「KIDOGS」
第2回 保護犬
KIDOGS 犬の講師 里見潤
KIDOGS 犬の講師 里見潤
今回は、KIDOGS(キドックス)のプログラムに参加する保護犬をご紹介します。
茨城県土浦にて、現在4頭の保護犬がキドックスに参加しています。
彼らは、人間の様々な事情で飼うことが困難となり、保護団体「CAPIN(キャピン)」に保護されました。キャピンでは、常時十数頭の犬が保護されており、その多くは10kg以上の中型犬、そして犬種はほとんど雑種犬です。
キャピンで保護された犬たちは、一般ボランティアが日々交代で世話をしています。忙しい時間の合間に、車で山間にあるキャピンの施設に通い、散歩や食事、健康管理をしています。
保護犬の中には、力が強い中型犬や人との良い関係を教えられずにきた仔もいます。そんな仔たちを散歩することは、大変なこともあります。犬が好き、という気持ちだけではボランティアを続けることは難しいことです。
キャピンで保護された犬達は、ボランティアが愛情をもって触れ合い、時間を掛けて世話をしていくことで、新しい家庭に迎えられるために必要な人との信頼関係の土台を築いていきます。
キドックスでは、そんな仔たちの中から自立に悩み他者とのコミュニケーションに難しさを感じている若者たちにとって、それぞれの若者が自らの課題を乗り越えていくために、若者と共にトレーニングすることが適していると判断した犬を選び、キャピンの協力を得て週4日のプログラムを行っています。
都心部で保護される犬達とキャピンで保護されている犬達には、特徴に違いがあります。
都心部の保護される犬は
小型で純血種が多く、室内でトイレをする習慣を身に付いているが、留守番が得意でない傾向があります。
キャピンで保護されている犬は
中型以上で雑種犬が多く、基本的に屋外飼育の仔が多いのでしょう、人との距離感がある環境で暮らしてきた為、人は好きだけど離れていることも平気なので留守番が苦手ではない。
キャビンの保護犬たちは、新しい家族を探すとき、比較的どんな家庭環境でも一緒に暮らしやすい仔が多いと感じます。
ただ、トイレは小さい時から完全に外でしてきた為、外でしかできない仔が多く、雨の日でも風の強い日でもトイレのために外に連れ出さなくてはならないことを考えると大変です。しかし視点を変えれば、家の中でトイレの匂いや粗相の心配がない・食糞を防ぎ易い・トイレシート代は掛からず経済的とも言えます。
キドックスでは、人と安心できる信頼関係の構築という点に力をいれ、プログラムを通して保護犬たちに人と快適に暮らすためのルールや周りに迷惑をかけない躾を学んでもらいます。
その中で若者たち自身が、この目的のために
「その犬にとって何が必要か?」
をドッグトレーナーと一緒に考えながら、新しい家族の中で犬と人とが安心安全に暮らせるようなトレーニングを行っています。
若者たちが指示を出し、その指示通りの行動を保護犬ができた時、笑顔と喜びが自然とわき出し、犬に優しく声を掛けて誉めながら撫でている若者。
自分の気持ちを伝えることが苦手な若者たちが、犬たちに素直に感情を表す姿。
普段の会話では、まだまだ見られない光景ですが、彼らの中にこうした感情と行動が存在することを感じられる大切な時間です。
「自分が担当する犬のために行っているトレーニングが、自分自身のためになっている」
そう感じます。
保護犬が、人を信頼して家族と暮らすための一歩が、
若者たちが、今の自分を変えるための一歩に繋がっていく。
キドックスのプログラムに参加している保護犬たちは、若者たちと共に、日々少しずつ成長しています。
NPO法人キドックス(KIDOGS)
http://kidogs.org/
キドックス 犬の講師 山田有紀子 Dog Training Wind Blume
http://wind-blume.com/index.html
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