お悩みグセ解消エクササイズ
5時間目「止まって、歩かない」
里見 潤 (ドッグコーチ)
散歩中、急に立ち止まって動こうとしない。
怖くて歩けない仔もいれば、歩かなければ抱っこしてもらえる、歩かなければ自分の行きたい方に行けることを学習している仔、気になる匂いがあると嗅ぎ終わるまで動かない仔など、歩かない理由は様々あります。
歩かないことが当たり前から癖になると、イヌは抱っこのままで歩くのは飼い主、愛犬が行きたい方にばかり歩く、外が怖くて散歩を楽しめない、少し歩いては匂い嗅ぎでなかなか歩く時間にならない・・・これではイヌはもちろん、飼い主も楽しめません。
お互いが楽しむための「しっかり歩く散歩」を練習しましょう。
原因と理由によって練習方法は変わります。理由が分からないまま練習を始め、その練習方法が間違っていると更に悪化する可能性もあります。愛犬が立ち止まる様子、状況、飼い主さんが対応した後の愛犬の態度などをよく観察し、歩かない原因、理由を見つけましょう。
愛犬の性格、歩かないときの状況と様子、好きなこと・苦手なことなどから、どのタイプか判断しましょう。
怖くて歩けない仔は、無理をしてはいけません。
怖さから動けない仔をリードを引っ張り歩かせようとすると余計に踏ん張り、怖さが増すこともあります。
このタイプの仔は、練習場所を車や人通りの少ない静かな裏道などから練習を始めた方がいいでしょう。マンション住まいの方は玄関前、廊下などから始めるのもいいでしょう。
③ 歩ける歩数を伸ばしていく
愛犬が、1・2歩ごとにご褒美を貰いながら歩くことに余裕が出て、飼い主もハンドリングに慣れてきたら、ご褒美をあげる間隔を伸ばしていきます。3、4歩、5、6歩、10歩、15歩、30歩、70歩・・・急に増やさないようにしながら、少しづつご褒美が貰える歩数を伸ばしていきましょう。
犬の怖さが減り、飼い主さんと歩くことに自信と安心が出てくるに伴って、ご褒美の回数もランダムにし、減らしていくことができます。
このタイプの仔たちは、「歩かない → 抱っこ or 犬の行きたい方に行く」を繰り返すうちに、抱っこしてもらうためや行きたい方向に行くためには歩かなければいいことを学習し、歩かないで要求することを覚えています。
この仔たちは、怖いから歩けないということは少なく、不安や怖さがあっても乗り越えられる程度であることが大半です。
だったところを、
「お悩みグセ解消エクササイズ」で繰り返しトレーニング
歩かない ⇒ 抱っこしない = 「抱っこの方程式」が通用しないことを教える
「お悩みグセ解消エクササイズ」トレーニング後
歩いてる ⇒ 飼い主さんから抱っこ = 歩いていた方が抱っこしてもらえる
歩かない自己主張には応えずしっかりと歩かせ、しっかり歩いている時にときどき、飼い主さんから抱っこをしてあげることを始めるのもいいでしょう。
抱っこするタイミングを変え、方程式を変えていきます。
「行きたい方向と違うから歩かない」も同じです。要求には応えず、飼い主が行きたい方に歩いている時にときどき、犬が行きたい方に飼い主さんから行くようにする。愛犬の要求を逆手に取り、どうしたら抱っこしてもらえるのか、行きたい方に行けるのか、愛犬の心理を変えていくことで安定して歩くように教えていきましょう。
「怖さ」の克服に急ぎ足は通用しません。
怖くて歩けない仔の中には、最初ご褒美が全く食べられない位外で固まってしまう仔もいます。玄関を出たところから動けない・・・そんな仔の場合は、まず玄関から1歩出たその場所に慣れるところから始める必要があります。
程度にもよりますが、怖くて歩けない仔の練習には、最初から数ヶ月を掛けて教える覚悟で時間と気持ちのゆとりを持っておくことが大事です。
練習を続けるのは大変だし、オヤツ出せば歩き出すから、歩かないときだけオヤツを出してあげればいいか・・・をやっていると犬は勘違いの学習をし、その時は歩き出しても立ち止まる回数が以前より多くなってしまうことも。
最初は歩かないときにオヤツ誘導をしますが、「歩かないからオヤツ誘導」から「歩いている時にこそご褒美」にどんどん変えていき、「歩くこと」=「いいことだ」と愛犬の印象を変えていく練習をしましょう。
やると決めたら、散歩に行く家族みんなが同じ対応をしないと犬は混乱したり、人によって態度を変えるようになります。
特に、「抱っこ」を要求して歩かないタイプの仔は、自分のやりたいことのために主体的に歩かない行動を取っている分、対応の徹底が必要です。
「だってママは3回に1回は抱っこしてくれるもん。だからもっと踏ん張って歩かないでいればいつか抱っこしてくれるかも」などと教えることになりかねません。
動かない愛犬を何回かに1回抱っこしてしまう、家族間で対応に違いがあるでは、愛犬の行動は変わっていきません。いつでも、家族みんなが対応を徹底することが必要です。
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