乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話。
前回、馬の体重についてのお話をしました。
・馬の体重(前編)https://goron.co/archives/14022
・馬の体重(後編)https://goron.co/archives/14026
今回は、馬を太らせたい時にどうすれば良いかのお話です。
「太りやすい馬」と「痩せやすい馬」
馬もそれぞれで、太りやすい馬、痩せやすい馬がいます。
基本的には、人間と考え方は同じです。
それぞれの馬にとっての健康的な体重(馬の適正体重)を維持するために、現在の食事と運動プログラムを評価して、痩せやすいのであれば根本原因を特定し、馬の食事と運動のバランスをとるように努めます。
馬は、摂取カロリーよりも消費カロリーが多いと体重が減ります。
医学的問題を除外した後、食事を評価します。
痩せやすい馬は、干し草・穀物の飼料変更、または体重増加を促進するように設計されたサプリメントなどの追加を必要とする場合があります。
馬が痩せてしまう原因
《 体質 》
体重を維持しやすい馬を「イージーキーパー」
すぐに体重が減ってしまう馬を「ハードキーパー」
と呼びます。
ハードキーパーの馬は、体重を維持するのに苦労します。
夏の終わりまで食事のバランスを整えても、放牧地の草が減る冬の間に体重が減少してがっかりすることもあります。
逆に、冬の間に運動量が減って体重が増える馬もいます。
その馬によって飼料の量は随時変更していく必要があります。
よくある間違いは、飼料の重さではなく体積に基づいて餌を与えることです。
たとえば、飼料のブランドを変更したが、新しい飼料の重量を量っていなかった場合は、給餌量が不足しているか、与えすぎている可能性があります。
餌の密度は変化する可能性があるため注意が必要です。
同様に、乾草も入荷ごとに栄養価が異なる場合があります。
同じ量を与え続けているのにどの馬も痩せてきたり太ってきたりなどする時には、与える量を増やしたり減らしたり調整する必要があります。
《 運動量 》
食事を調整せずに運動量を極端に変えると、体重が減少する可能性があります。
馬が中程度の運動プログラムから重い負荷に移行すると、追加の飼料が必要になります。
今日は少し運動量が多かったなという日には増し飼いをしてあげましょう。
《 病気や怪我 》
病気や怪我で体重が減少する場合もありますが、増える場合もあります。
原因を特定して、馬の負荷が変化するたびに、その影響を考慮することが重要です。
こうした体重減少は、根本的な原因を見つけて対処することが重要です。
一般的な原因として「歯の問題」「寄生虫」「消化管の問題」などが挙げられます。
馬が体重不足か?を見分ける方法
前回お伝えしたボディコンディションスコアを使用して評価します。
〈参考:https://goron.co/archives/14026〉
これは 1 から 9 までのスコアになります。
「1」のスコアは非常に痩せており「9」のスコアは非常に太っています。
理想的には馬は、品種・種類・規律に応じて 4 から 6 の間である必要があります。
スコアを把握できたら、重量テープ(馬体重換算テープ)を使用して馬のサイズを測定しておくと、体重の増減をしっかりと記録できます。
写真などで残しておくことも良いです。
馬の食事は、常に徐々に調整してください。
急激な飼料の変更は危険です。
とはいえ、適切に行えば、1~2週間程度で改善が見られる可能性があります。