進由紀

オリンピック競技の中で唯一動物と共に行う「馬術競技」を知ろう!-1

乗馬インストラクターがお伝えする馬のお話、今回は「馬術」です。

2021年!延期になった東京オリンピック開催が予定されているオリンピックイヤーですね。
馬術は、オリンピック競技の中でも唯一動物と共に行う競技です。
また、男女の区別がなく同じ競技に出場し、性差に関わらず個人の技量を純粋に競える唯一の競技でもあります。
馬術と一口で言っても、国によってなど様々な種類があります。
今回は、オリンピックで行われる3つの馬術競技
「馬場馬術」「障害馬術」「総合馬術」
について紹介したいと思います。

 馬場馬術

馬場馬術は、演技の正確さや美しさを競う競技で20m×60mの長方形のアリーナで行われます。

アリーナの周りには、アルファベットが書かれた標記が置かれ、それぞれの運動の始まりや終わりの地点がその標記によって指示されます。
ステップを踏んだり、図形を描いたりする馬場馬術競技には、2種類あります。
「規定演技」… 演技内容が決まっている
「自由演技」… 決められた運動を取り入れて演技を構成し、音楽をつけて行う

オリンピックでは「グランプリ」というクラスの最高の難易度のレベルの競技が行われます。
グランプリは、高度な調教が必要なピアッフェ、パッサージュ、歩毎のフライングチェンジ、ピルーエットなど、まるで馬がダンスをしているかの様な演技が披露されます。
複数の審査員によって0~10点で運動毎や、演技全体の印象、芸術性などで採点され、順位が決まります。

馬場馬術は、Dressage(ドレッサージュ)と言い、元はフランス語で調教という意味です。
単に曲芸を仕込む様に運動を記憶させるのでは行う事は出来ず、馬体に必要な筋肉を付け関節の可動域を大きくしていくなど数年にわたる緻密なトレーニングが必要です。
その為、オリンピックなど上級の馬場馬術は8歳以上の馬でないと出場資格を得られません。

国際馬術連盟では、馬場馬術の目的を
「調和のとれた調教により馬を幸あるアスリートに育て上げることにある」
と定めています。

馬が演技を覚えていて騎手が何もしていないかの様に見えると思いますが、馬とコミュニケーションをとりながら緻密な指示の元に馬が運動しているんですよ。
それが馬が喜んでダンスしている様に見える演技でしたら素晴らしいと思います。

(写真:Pacalla/パカラより)https://pacalla.com/about/
【 服装 】
馬術の特徴として、他の競技と違うのはもう一つ、服装があげられます。
馬術の中でも一番エレガントで優雅な服装が規定されているのが、馬場馬術です。
グランプリでは、黒や紺の燕尾服とアスコットタイやネクタイで出場します。以前はシルクハットも規定されていましたが、現在は安全を考慮してヘルメットでの出場も可能になりました。

オリンピック競技の中で唯一動物と共に行う「馬術競技」を知ろう!-2

進 由紀

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(すすむ ゆき)
乗馬インストラクター
全国乗馬倶楽部振興協会認定指導者

2002年より乗馬クラブでインストラクターとして働く

「馬は自分を映す鏡」の様な存在です。
自分の行動に対しての答えを、いつも分かりやすく返してくれます。
だからこそ、いつでも正直に、真剣に、謙虚に、馬と向き合う事が出来ます。
それは時に苦しいけれど、そんな時にもポッと何か閃きをくれたりする。
馬はとても賢くて、優しくて、そしてどんな馬もみな、真面目で頑張り屋です。

出会った馬には、幸せを感じながら人間と仕事をしてもらえるように。
また馬の素晴らしさを一人でも多くの方に知って頂けるように。

馬と共に成長し、人々に貢献する事を目標に、日々奮闘しています。

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